今参議院で審議中の「秘密保護法案」は、日本が太平洋戦争に突入した1941年に施行された国防保安法に酷似していることが報道されました。(しんぶん赤旗2/1号)
詳細を見ますと、国防保安法は、軍機保護法(1937年改訂)とともに、戦前・戦中の情報統制の中核をなした弾圧法です。軍機保護法が「軍事上の秘密」を対象としたのに対し、国防法案は「国家機密」全般を対象にし、最高刑は死刑でした。
「秘密保護法案」との共通点の一つは、秘密の範囲が広く曖昧で「何が秘密かは秘密」なことです。
国防保安法は「外交、財政、経済その他に関する重要なる国務に係る事項」が対象とされ、「その他行政各部の重要なる機密事項」も含まれたので、実際は無限定でした。秘密保護法案は、軍事も含め「安全保障にかかわる情報」を広く対象とし、同じように無限定です。
また指定するのが「行政機関の長」であるのも同様。国防保安法は、「主務大臣または会議の長が国家機密の指定を行う」(当時の司法省刑事局長答弁、41年2月3日)仕組みでした。国民は「国家機密の指定せられる限界について一般人は何も知らぬ」(『問答形式 国防法案早わかり』41年出版)状況でした。
「知らぬ間に」犯罪者とされ、処罰される仕組みは秘密保護法案も同様です。共通点は、秘密の漏えいとともに探知・収集が処罰対象とされ、それらを教唆、扇動したものその予備・陰謀までもが処罰されたことです。教唆は漏えいが実行されなくとも処罰されます。秘密保護法案では、「陰謀・予備」が「共謀」に置き換えられているだけです。
「法廷における手続きで弁護士が国家機密を知得したものを公にすれば犯罪になる」、「(国会議員が)秘密事項と指定されたものを委員以外の議員に内容を漏らした場合・・・本法に触れる」(前出『早わかり』)点も同じです。
国防保安法制定で、全国の主要都市には強力な強制捜査権限を持つ防諜係りの検事が配置され、軍部では憲兵が法施行を担当。「言論統制など戦時の様々な統制に猛威を振い、国民の知る権利を根こそぎ奪」(刑事法研究者の声明)ったのです。
以上しんぶん赤旗2/1号より。と、これが3面にも続き、類似性と危険性を指摘しています。
・・・しかも、国防保安法に基づく捜査は、尾行、内偵などのプライバシー侵害性の高い捜査方法が積み重ねられました。・・・
これは、「陰謀、教唆、扇動」などで処罰するという、国民の日常生活を監視したり、内心まで覗かなければ立証できない規定からくる、ある意味当然の結果でした。
「秘密保護法案」でも、「共謀、教唆、扇動」などで、一般国民が処罰されることを、政府は認めています。その際、盗聴やおとり捜査、内偵などのプライバシー侵害が再現しない保証はありません。
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戦時中の暗黒政治の始まりでしょうか。いつか来た道への逆戻りは絶対認められません。
言論統制。「戦争は嫌だ」といったら逮捕される。それを誰が通報するか分からない疑心暗鬼の暮らしを送っていた、戦時中の怖さを思うと、ぞっとしてきます。
私たちは戦後今の憲法を持ち言論の自由を保障されて、文化も芸術も科学も経済も発展してきたのです。
それを阻害し心の中まで、政府の方針に縛りつけられ、悪いことは悪いとも言えなくなる、口も耳も封じられるなんて、何と恐ろしいことでしょう。
安倍首相の言う美しい国とはそういうことだと、はっきり分かりました。
そんな国にされて堪るものですか。秘密保護法案絶対反対です。
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