280122 METライブビューイング2015-16
Lulu (ルル) @ 東劇 作: Alban Maria Johannes Berg 指揮: Lothar Koenigs 演出: William Kentridge 出演: Marlis Petersen, Johan Reuter, Daniel Brenna, Susan Graham, Franz Grundheber
(平271121上演。12音技法の音楽と、ドローイング・アニメが結合した本作は、「ルル」を10年以上にわたり持ち役としてきたマルリース・ピーターセンさんが「ルルは今回で最後」と宣言した必見の舞台。ドイツ語上演、聞き取りやすかった。ストーリーにはそれなりに起伏があるのだが、第2幕・第3幕は やや飽きてしまった。)
280121 National Theatre Live
Frankenstein (フランケンシュタイン) @ Bunkamura ル・シネマ 作: Mary Shelley 演出: Danny Boyle 脚本: Nick Dear 出演: Jonny Lee Miller (怪物)
, Benedict Cumberbatch, Andreea Padurariu, Naomi Harris, Karl Johnson (ル・シネマ満員御礼。英国の演劇の底力に打ちのめされた。生命生成のほのめきを天井の無数の電燈があらわす。のたうち回って産まれ、やがては「失楽園」も暗記し、善なるものを求めるが、自分が受けた仕打ちへの復讐心が突沸してしまい、罪と罰が均衡しないのが怪物の悲哀だ。)
280117
O Estranho Caso de Angélica (アンジェリカの微笑み) @ Bunkamura ル・シネマ 監督: Manoel de Oliveira 出演: Pilar López de Ayala, Ricardo Trêpa
(平22作のポルトガル語映画。中条省平さんが昨年本邦公開作のベスト1として激賞する、ひたすら玄人好みの作品。ぼく向きではなかった。)
280106 National Theatre Live
A Midsummer Night's Dream (夏の夜の夢) @ Bunkamura ル・シネマ 作: William Shakespeare 演出: Julie Taymor 音楽: Elliot Goldenthal 出演: Kathryn Hunter, David Harewood, Tina Benko, Liy Englert, Jake Horowitz
(劇場は見るからに小劇場だが、天井から布を吊り役者を吊り奇想で見せる場面展開、みごとな演出だ。2時間半にコンパクトにまとめた上質の舞台だった。)
271210
Art and Craft (美術館を手玉にとった男) @ ユーロスペース 監督: Sam Cullman, Jennifer Grausman, Mark Becker 出演 (本人たち)
: Mark Landis, Matthew Leininger (本人たちが後日談を語るドキュメンタリー。冒頭、贋作工藝家マーク・ランディス氏本人による再現ドラマ。そして彼の贋作を特集した個展の情景で締める。この微妙な状況下、ひとと人とがどう接し合うのか、米国人の流儀を見るのも楽しい。けっこう皆んな落ち着きはらっているんだ。)
271202 National Theatre Live
Skylight (スカイライト) @ Bunkamura ル・シネマ 脚本: David Hare 演出: Stephen Daldry 美術: Bob Crowley 出演: Carey Mulligan, Bill Nighy, Matthew Beard
(濃密な3人劇、というか2人劇+2人劇。キャリー・マリガンさんは魅力的な女優だ。場末感のある巨大なアパート群の1室。住居内のレイアウトといい、ときの移ろいを示す窓外の灯りといい、美術も絶品。)
271130 METライブビューイング2015-16
Tannhäuser (タンホイザー) @ 東劇 作: Wilhelm Richard Wagner 指揮: James Levine 演出: Otto Schenk 出演: Johan Botha, Michelle DeYoung, Eva-Maria Westbroek, Peter Mattei, Günther Groissböck
(平271031上演。「タンホイザー」は勇壮な英雄劇とばかり思っていたが、人間のデリケートな内面に迫ろうとする作だった。第1幕冒頭、悦楽の洞窟・ヴェーヌスベルクのシーンは、いろんなヴァージョンを見てみたくなる。第2幕は心躍る行進曲が流れ、わかりやすい。)
271119 METライブビューイング2015-16
Otello (オテロ) @ 東劇 作: Giuseppe Verdi 指揮: Yannick Nezet-Seguin 演出: Bartlett Sher 出演: Aleksandrs Antonenko, Sonya Yoncheva, Zeljko Lucic, Dimitri Pittas
(平271017上演。「ガラスの監獄」をコンセプトとした氷の城のような舞台美術。オテロとイアーゴに歌が集中していて、これを演じる2人は超一級でなければ務まらない。ブルガリア人のソニア・ヨンチェーヴァが、しっとりと美しく、心をうつ。Arrigo Boito の台本の展開がみごとで、オペラによる心理劇がシェークスピアの戯曲を超越したとも評されるのに納得。)
271117 National Theatre Live
King Lear (リア王) @ 東劇 作: William Shakespeare 演出: Sam Mendes 出演: Simon Russelle Beale, Adrian Scarborough, Stephen Boxer, Tom Brooke, Olivia Vinall
, Stanley Townsend (平26公演。服装やしつらえを20世紀に持ってきた。グロスター伯の執務机に扇風機、戦闘シーンはヘリの爆音。中世の服装に眩惑されることなく、純粋にそれぞれのキャラクターに入りこめたのは、大きな発見だった。この魅力ある芝居の魅力に開眼。)
271104 METライブビューイング2015-16
Il Trovatore (イル・トロヴァトーレ 吟遊詩人
) @ 東劇 作: Giuseppe Verdi 指揮: Marco Armiliato 演出: David McVicar 出演: Anna Netrebko, Dmitri Hvorostovsky, Dolora Zajick, Yonghoon Lee, Stefan Kocan
(平271003上演。いいオペラだ。観客がノリノリで、とくに脳腫瘍から恢復してのディミトリー (「ドミトリ」と音写すべきところ!)
は舞台に現れたところで満場の拍手でオーケストラがストップ。カテコでもオーケストラの団員らが一斉に花を投げ上げた。タイトルロールは韓国人のヨンフン・リー (漢字は「李勇」としか検索できず)
。舞台のソデで歌わねばならぬ場面もいくつかあり、豊かな声量は推し量れる。)
271229
経済大国なのになぜ貧しいのか? 新聞・メディアが伝えない「洗脳経済」の真実 (フォレスト出版、平成24年刊) 苫米地英人 (とまべち・ひでと)
著 (世界の経済カーストにおいて大国の政府のさらに上に君臨するのが欧米の銀行オーナーであるとの見立て。そいつらが日本潰しに使ったのが BIS 規制だと。生真面目な日本は BIS 逃れをせず国民経済を沈滞させた。通貨量を GDP に連動させることでインフレ・デフレの原因を除去しようという方法論も、良し。)
271223
地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図 (朝日新聞出版、平成26年刊) Robert D. Kaplan 著、櫻井祐子 訳
(歴史と地理を統合した知だ。欧露・中国については新鮮味がないが、イランと旧オスマン帝国領、メキシコの記述は示唆するところ大。)
271209
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ (翔泳社、平成24年刊) Clayton M. Christensen 語り James Allworth, Karen Dillon 共著、櫻井祐子 訳
(原著How Will You Measure Your Life? 明確な意図で目的を構想し、そこへの道すじは変化する状況に合わせた創発的戦略で開拓していけばよい。それは持続的、多様、無秩序なプロセスだ。そして本当にやりたいことが見つかったら、創発的戦略から意図的戦略に移行すればよい。最初から道すじを定められるわけがないと言われて、商社後人生の設計に立ち向かう気持ちがラクになった。人生において、自分の限られた資源=時間・立ち位置=をどう配分するか。≪幸せを求めることは、幸せにしてあげたいと思える人を探すことでもある。≫)
271125
人を助けるとはどういうことか 本当の協力関係をつくる7つの原則 (英治出版、平成21年刊) Edgar H. Schein 著、金井真弓 訳
(原著Helping: How to Offer, Give, and Receive Help. 手助けをする相手そのものをよく理解し、ニーズを把握することの大事さ。手助けする側も思い込みを捨てて心を開くべきことを説く。コンサルタントを志すにあたり、クライエントの話を先ずよく聞くべしという当たり前のことの大事さ。)
271115
イエス・キリストは実在したのか? (文藝春秋、平成26年刊) Reza Aslan (レザー・アスラン)
著、白須英子 訳 (邦訳題は売らんかなの歪んだもの。原著Zealot: The Life and Times of Jesus of Nazareth. ナザレのイエスという無学な熱烈男を生んだ時代背景と、ほんらいはユダヤ教の一派にすぎなかった「ナザレのイエスのメシア信仰」がパウロの手でローマ人の口に合う宗教へと全面的に変容させられた過程が描かれ、みごと。これを禁書にしないキリスト教国の寛容が世界を救っているとも言えよう。今後あらためて聖書を読み直すときは、本書を導き手にしたい。)
280121
Longman Dictionary of Contemporary English [1st Edition] (Longman Group Limited 昭和53年刊) Paul Procter 主幹
(名著の源流。創始グループのたぎるような思いが伝わる。)
280121
Longman Dictionary of Contemporary English [2nd Edition] (Longman Group UK Limited 昭和62年刊) Della Summers 主幹
(昭和53年の初版を継承しつつ充実度を目に見えて高めてある名著。今日のロングマン英英より見出し語は少ないかもしれないが、定義は詳しく用例もフルセンテンスのものが多数収録されていて、ケンブリッジ英英の初版を思わせる。わが本棚に殿堂入り。)
280118
ル・クレール仏和辞典 LE CLAIR Dictionnaire français-japonais (冬白舎、平成27年刊) 内田和博 編
(すがすがしい名著だ。著者一流の学習ノートを見せていただいているような。辞書が進化するひとつの形を示す。編者の略歴がないが、ネットで検索すると、フランス語教育で有名な暁星学園の副校長をなさっているようだ。)
280118
Chambers Essential Learners' Dictionary For elementary learners of English (Chambers Harrap Publishers 平成21年刊)
(英英の入門用に良いかと思ったが、使ってみると中途半端で物足りない。字もさほど見やすくない。)
271205
スペイン基本語辞典 Diccionario de vocabulario fundamental del espanol (白水社、昭和47年刊) 高橋正武・瓜谷良平・宮城昇・Enrique Contreras 編著
(スペイン語を宇宙に飛ばすべく性根を入れようと。この名著がいつの間にか絶版になっていた。)
271106
Black and White: The Monochromatic and Unequivocal Art of Trevor Brown (パリ Timeless 平成23年刊) Trevor Brown 著
(Bunkamura Gallery の2人展でトレヴァーさんの鉛筆デッサンの魅力にはまったところでこのモノクロ作品集を見て、即購入。カラーの油画作品集は長らく買ってないのにね。)