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「クライエントの劣等感をすっかり取り除く必要はない。
なぜならば、劣等感は人にとって有用だからだ。
私たち(治療者=カウンセラー)がしなければならないのは、劣等感に対してクライエントが取っている不適切な目標を、共同体感覚を高めるような目標に変えるように助言することだ。」(アルフレッド・アドラー「個人心理学講義」より)
劣等感というのは、理想の自分に対して、現在の自分が劣っていると感じることです。
人は、皆、「今よりも、もっと良くなりたい。」と思っているので、必ず劣等感を感じますし、劣等感はそれを適切な目標を立てて行動していくことで、補償していく指標となるので、とても有用なのです。
「彼(クライエント)は、人間関係もうまく行かなかったし、仕事もうまく行かなかった。
なぜなら、彼は、深すぎる劣等感を持ち、いつもひどく緊張していたからだ。
彼は、自分のことを過小評価して、他人ややってくる状況を非友好的なものだと見なしていた。敵国にいるかのごとくふるまったのだ。」(アルフレッド・アドラー「個人心理学講義」より)
上の例では、このクライエントは、他人や状況をすべて敵だと警戒し、過剰に自分を守るために、他人の言動をすべて悪意に受け取り、疑い、親密に交友するのを避け、仮に交友する時も黙ったしゃべらないことで、自分を守ろうとするのです。
こんな目標を持っている限り、彼は、緊張して、ストレスにさいなまれる人生から逃れることはできません。
いつも緊張しているから、不眠で苦しむのです。(過度の緊張は交感神経の過刺激を招き、副交感神経優位になるはずの時間も交感神経が興奮しているので、眠れないのです。)
いつも緊張しているから、異常に肩こりがするのです。
いつも緊張しているから、ストレスを受けつづけ、とうとう限界に達して、うつ病になるのです。
いつも緊張しているから、気になる必要のないものまで気になって、神経症的症状になるのです。
いつも緊張しているから、限界に達してパニック発作が起こるのです。
いつも緊張しているから、体が低体温になり、生命の危機が来るのを防ぐために、癌になるのです。
いつも緊張しているから、アルコールに逃げ、アルコール依存症になるのです。
いつも緊張しているから、問題から逃げたくて、SEX依存になったり、ギャンブル依存になったり、何かに依存するのです。
私たちカウンセラーは、その人生のシナリオを変えるため、そうではない目標、共同体感覚を高める方向性の目標を持つように促すのです。
共同体感覚を高める方向性。それはどんな人も「仲間」だと思い、信頼関係を作り、親密に協力していく方向性です。
これこそが、幸せになる唯一の道なのです。
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