PR
カレンダー
キーワードサーチ
コメント新着
フリーページ
ようやく ティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」を観に行ってきました
2Dで・・・(爆
「あらすじ」
アリスは、6歳のとき不思議の国で体験したことは夢だと思っている。
不思議の国の夢を見る度に「自分は他と違うおかしな人間である」ことに不安に感じ、泣き出してしまう。泣いている幼いアリスに、父親は「お前はどうかしている。でも偉大な人間はみんなそうなんだ。」と優しく言う。
最大の理解者であった父親を亡くし、19歳になったアリスは母親や周囲のお膳立てで気の進まない結婚をさせられそうになり、プロポーズの場から逃げ出してしまう。
白うさぎを追って穴に落ち、6歳のとき体験したあの不思議な国に来てしまう。しかし不思議の国「アンダーランド」は赤の女王が支配する恐怖の世界に変わっていた。
白の女王の帽子職人だったマッドハッター(J・デップ)、三月うさぎ、ヤマネたちは何年もお茶会をしながら「予言の書」に書かれたアンダーランドの救世主となるアリスを待ち続けていた。
アリスは白の女王の戦士となり、フラブジャスの日に赤の女王の怪物ジャバウォッキーと戦い、アンダーランドに平和を取り戻す。元の世界に戻ったアリスは新しい世界に旅立つ・・・。
「19歳のアリス」
ティム・バートンの描く「19歳のアリス」は上流階級に属する女性だが、パーティーに向かう馬車の中で貴婦人として当然の身だしなみであるコルセットやストッキングを身に着けていないことを母親からたしなめられるシーンがある。まずこの点からアリスが「常識になじめない人物」であることがわかる。
パーティーの最中、姉の夫が不倫をしているのを知り、アリスが愛のない結婚に疑念を持っていることも伺える。対してアリスの姉は今の結婚生活に満足しているように見える。
親や周囲がお膳立てした婚約パーティーの席上で、意に染まない相手とそのまま結婚すること疑問を抱き、考えさせて欲しいとプロポーズの場から逃げ出してしまう。
当時の女性にとって結婚は人生を決める一大事であったから、どんな意に染まない相手であってもいい条件なら結婚を受け入れるであろう。ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を見ると女性の結婚事情がよくわかる。
「アンダーランド」とは
アンダーランドに来たアリスは「この世界では自分はいつも誰かに命令されて行動している」ということに気づく。
赤の女王が支配するアンダーランドとは周囲から強制された結婚や社会通念などに縛られているアリスの心象世界ではないだろうか。
赤の女王は「実世界に存在する理不尽な力」の象徴ではないか?
頭が大きく醜い赤の女王を取り巻く召使いたちは、付け鼻や付け耳、大きなお腹で自分を偽装して女王に媚びへつらっている。これは理不尽な事柄に盲従し、疑念を持たないで生きている人間たちの姿であろう。
怪物ジャバウォッキーとは、実世界での慣習に従わないアリスを咎める母親や周囲の人々の目、ひいては当時の社会=現実そのもののではないだろうか。
アリスもその怪物と戦う決意がつかず逃げ出したくなるが、逃げることをやめ、その強大な敵に立ち向かい、勝利する。
アンダーランドでの赤の女王や怪物との戦いは「自分の意志で決定し、運命を切り開いていく」ことが重要だと気づくアリスの心の成長の過程であろう。
アンダーランドに平和が戻る。白の女王の治めるアンダーランドとは「人と違う変わった人間」が自由に生きられる世界である。
自分の意思で行動する大人の女性へ成長したアリスは元の世界に戻り、結婚を取りやめ、父の後を継いで事業を展開するため新天地に旅立つ。
「アリスの衣装と 青い芋虫」
婚約パーティーの出席者はみな白い衣装を着ているが、アリスだけが少女の雰囲気を感じさせる少し丈の短い青いドレスを身に着けている。 アリスが「人と違っている」ことを印象付ける効果をもたらしているのではないかと思う。
プロポーズする男性の肩に青い芋虫がとまっているシーンがあるが、青い芋虫と青いドレスのアリスのイメージが重なる。芋虫は幼虫であるから、まだアリスが少女であることを暗示している。
アンダーランドで出会う青虫のアブソレムは、アリスの心の成長を見届けてさなぎになり、別れを告げる。
そして新天地に出発する船上のアリスの前に青い蝶に変身したアブソレムが現れる。アリスの着ている服はやはりブルーである。
青い芋虫が羽ばたく蝶に生まれ変わる様子は、少女から大人になったアリスの成長した姿を示していると思う。
「マッドハッター」
ジョニー・デップ演じるマッドハッターはもともと白の女王の帽子職人だったが、赤の女王が白の女王を襲い、自分の大切なものや家(仕事場?)をすべて焼かれてしまう。赤の女王の支配下では狂ったふりをして怒りを隠し、仲間とお茶会をしながら息を潜めて生きている。赤の女王に捕えられた時、女王の帽子をたくさん作るのだが、帽子を作っている時は楽しいと感じたのだが、ふと自分は何をしているのかと我に返ってハッとするシーンがあった(ような気がする)
自分のやりがいのある仕事を奪われ、本当にやりたい仕事ではないことしているマッドハッターとは社会で不本意に生きている人間を投影しているのではないかと思った。
「赤の女王と白の女王」
妹の白の女王ミラーナが無条件で愛されるのに対して、姉である赤の女王イラスベスは頭が大きく醜いことから誰からも愛されない。白の女王に対するコンプレックスから激しい憎悪を抱き、王座を奪う。「愛されるより恐れられるほうがいい」と言うが、周囲はおべっかを使う者ばかり。ハートのジャックに至っては赤の女王が王座についている時は愛していると言いながら、アンダーランドを追放される時は手のひらを返したように殺そうとする。本当の愛を得られない不幸な女性でもある。
白の女王は美貌と皆をひきつける魅力がある。「生き物は傷つけないと誓って」おり、血を見ると「おえっ」という仕草を見せる。怪物を倒すのはアリスに任せて自分は手を汚さない。善人かと言ったら必ずしもそうではないような印象も受ける。赤の女王と白の女王は姉妹であり、善と悪とは対立しているが表裏一体の存在でもある。
オマケ
チェシャ猫が 足で「もみもみ」するシーンがあります
一瞬ですので猫好きの方はお逃しなく~
ああ 久しぶりに長い文章を書いたせいで頭から煙が出そうだわ
G.W. の お出かけで 2011.05.03
満開の桜の下で 2011.04.08
いまさらながら バレンタインデーの話 2011.02.17 コメント(4)