ザ・スーパー・ポップ宣言

ウォール・オブ・サウンド 音壁の世界(1)

ウォール・オブ・サウンド 音壁の世界(1)

THE WORLD OF "WALL OF SOUND"(1)

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フィルズ・フィル (PHIL'S FILL) ウォール・オブ・サウンドの革新的技法 へジャンプ

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60年代ポップスの黄金時代に数多くのヒット曲を生み出した偉大なる音楽クリエイターのPHIL SPECTOR。なかでも彼の生み出した分厚いサウンドは「WALL OF SOUND」(訳して音壁)と呼ばれ、その後の音楽シーンに多大なる影響を与えました。このページはそんなフィルスペクターに影響を受けた素晴らしい楽曲の数々を紹介するページです。「音壁(ウォール・オブ・サウンド)掲示板」は こちら となります。

【 ポップ偏差値 80

中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン) '21 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master



【原曲】歌・作詞・作曲/中島みゆき 編曲/船山基紀
【2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン】歌/中島みゆき 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master

往年の大ヒット曲で中島みゆきの代表曲を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したバージョン。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲となります。 ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽 にも書きましたが、本曲は約18年かけて1600曲以上紹介してきた当ブログにおける偏差値の上限である75を遥かに超越する偏差値80の曲、つまり個人的には現存するあらゆるポピュラーミュージックの最頂点に立つ史上最強の曲と評価しています。

本曲のオリジナルは1981年に発表されたシングル曲。ジャンル的にはいわゆるフォークソングで、泣かせる歌詞に稀代のメロディメーカー中島みゆきによる日本人の琴線に触れまくりな情緒的でキャッチーなメロディ、アコースティックで繊細なサウンドが特徴的です。また船山基紀氏によると思われるエコー感のあるピアノの音色も大きな魅力となっており、そこはこの曲の持つ音壁的側面でもありました。個人的にも長年愛聴してきた大好きな曲でありましたが、音壁的側面が垣間見えるゆえに「この曲が本格的に音壁化されたらどんなに素晴らしいことだろう」という想いが長年の間蓄積しておりました。曲自身が長年音壁化を待っていた・・・と考えるのはロマンチック過ぎるでしょうか。(船山基紀氏は本ブログで、やはり音壁なアイドル名曲 「荻野目洋子 / 2Bの鉛筆」 「若林加奈 / COOL~アナタガタリナイ~」 が既出です。)

@otokabe_master氏の手による本曲はオリジナルの静かでアコースティックな曲調とは異なり、超ド派手なウォール・オブ・サウンド仕様。しっかりとしたリズムを刻むドラムとエレキベースが入る点がオリジナルと大きく異なり、一聴すると軽快なロック調です。他にもピアノ、ハープシコード、アコギ、12弦ギター、エレキギター、ストリングス、ティンパニ、グロッケン、スレイベル、カスタネット、タンバリン、ヴィブラスラップ等、高音域~低音域まで幅広く様々な楽器が配備され、将に怒涛の如く分厚い音の壁が迫って来る内容。これだけ多くの楽器が使われているという事実だけでも気合の入り具合がお分かり頂けるのでは.

ピアノが高らかに鳴り響き始まるイントロは、軽やかに響くカスタネットの連打音を伴い実に華やかで、いきなり音壁全開です。基本、切なく胸をうつピアノのフレーズはオリジナルを踏襲していますが、全編通してエコー感たっぷりに様々な表情で軽快に鳴り響き、アコギに取って代わって効果的に主役的役割を果たしています。比較的おとなしめのAメロでは綿密に練られた綺麗に響き渡るカスタネットの音色が実に心地よい。その空間的拡がりのある繊細な響きは音壁の歴史を振り返っても最上位に位置する出来栄え。サビでは、優雅で品のよいストリングスや軽やかでなだらかなピアノ、カスタの連打音などが複合的に絡みあう華麗なサウンドをバックに中島みゆきの存在感のあるヴォーカルが映えます。メロディの出来の良さもありますが、史上屈指の厚い音壁をバックにしても全く引けを取らない彼女の歌声は流石の一言。

そして圧巻なのは、間奏のピアノの切なくも深く心を打つフレーズ。基本はオリジナルを踏襲していますが、迫力のあるドラムやベースの重低音、流麗なストリングスなどの豪勢なウォール・オブ・サウンドを伴い、その相乗効果により実に力強く、華麗に、綺麗に鳴り響きます。それは筆舌に尽くし難い感動的な瞬間で個人的には聴くたびに胸に熱いものが込み上げると共に、ビリリと体に電流が流れてしまいます。私の音楽人生はこの間奏を聴く為にあったのか!とすら感じてしまう程素晴らしい出来で、音壁有史以来最大の聴きどころかと思います。(本曲の記事タイトルを「史上最強の」としたのは、ここでのピアノの力強い響き所以です。)

鬼才フィルスペクターにより創生、発展し続けてきたウォール・オブ・サウンド(音壁)ですが、これまで100点満点に近い音壁はあっても、それが100点満点のメロディと結びつくことは有りませんでした。最高のメロディと最高のアレンジが絶妙な相性でピタリと噛み合う、これは技術の進歩という歴史的背景の元、二次創作だからこそ実現出来たことと言えるでしょう。

【 ポップ偏差値 79

The Rubettes / Sugar Baby Love (2023 Wall Of Sound Extended Version) 世界初公開! World premiere!



【Original】Composer / Bickerton-Waddington, Arranger / Gerry Shury, Producer / Wayne Bickerton

【2023 Wall Of Sound Extended Version】
  Vocal, Instrument / The Rubettes
  Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

名曲「Sugar Baby Love」を2023年に新たにウォール・オブ・サウンド・エクステンデット・バージョンとして作成しました。ベースやドラムなど一部楽器の音を削り、幾つかの楽器を新たに足したもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の7番目の作品となります。 「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは1974年のイギリスのバンド、ルベッツのヒット曲。日本でもたびたびCMで使われる大人気曲ですね。明るく元気一杯で高揚感があって、将に当ブログで取り上げるに相応しいスーパーポップな内容。ファルセット遠吠えにワッシュワリワリ(Bop-Show-Waddy-Waddy)コーラスの爽快感はCMソングにうってつけです。ただでさえポップス史に燦然と輝く超凄ポップな曲ですが、@otokabe_master氏にウォール・オブ・サウンド(音壁)化して頂いたら一体どこまでポップになるのだろう?と期待に胸が膨らんでの音壁化です。ただし残念ながらここまでの全6作品と異なり、今回はヴォーカル、コーラス部分を分離・抽出することが出来ませんでした。低音部分(ベースとドラムス)は分離できたので、低音域では完全新規録音でやりたいことが実現出来たのですが、中音から高音域に関しましては、オリジナルの演奏はそのままに、新たに幾つかの楽器を足す形での音壁化となりました。将来的に更なる技術の進歩により完全な抽出が可能となり、全て新録での100%理想の音壁化が出来る日が来ることを待ちたいところです。

オリジナル自体グロッケンやピアノなど音壁的側面のある曲でしたが、本バージョンでは、更に高音部において鈴やカスタネットなどを大幅に導入してあります。また、低音部はドラムの4つ打ちを8ビートへ変更することにより、カスタネットが際立つように工夫し、更にティンパニを加え迫力ある重低音が楽しめる内容へ。全体として新たに数多くの楽器が加わることによりこの曲の持ち味である爽やかで透明なヴォーカル&コーラスワークが聴こえにくくなった嫌いはありますが(そこを楽しみたい方は是非オリジナルで!)厚みと奥行のあるウォール・オブ・サウンドにより、オリジナルを更なるポップの極みへと昇華させられたのではないかと思います。また、オリジナルではおそらくはラジオでのオンエアを意識してのことだと思いますが、終盤のナレーション後は山場のファルセット遠吠えフレーズが完走されることなく約20秒ほどでフェイドアウトしてしまいます。かなり消化不良な内容でしたので、本バージョンではファルセットフレーズをなんと延々4回、合計2分ほどループさせ、この曲最大の聴きどころをたっぷりと堪能できる仕様と致しました。更にこの終盤部分では、カスタネットの激しい連打が大爆発、これでも食らえ!とばかりに盛り上げるアレンジを追加するなど音の洪水状態。爽やかなファルセット&ワリワリコーラスと共に永遠に聴き続けていたい・・・と思うのはきっと私だけではないはず。是非フルヴォリュームでご堪能ください。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
10
10 10 8 7 8 10 8 8 79


The Rubettes / Sugar Baby Love (2023 Wall Of Sound Extended Remix) 世界初公開! World premiere!



名曲「Sugar Baby Love」を2023年に新たにウォール・オブ・サウンド・エクステンデット・バージョンとして作成しました。ベースやドラムなど一部楽器の音を削り、幾つかの楽器を新たに足したもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の7番目の作品となります。 「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

既に本曲の音壁版は Sugar Baby Love (2023 Wall Of Sound Extended Version) として5分4秒のバージョンを公開済みですが、今回は4分21秒のバージョンの公開となります。前バージョンとの大きな違いはイントロからいきなりティンパニが重く響くこと、そして最初のハイトーンコーラスからいきなりカスタネットの連打が激しく鳴り渡るところです。前バージョンでは後半に一気に爆発といった趣きでしたが、本バージョンでは冒頭からテンション全開という感じですね。実はこちらのバージョンが最初に作成されたものでした。どちらも甲乙付け難い魅力があると思うのですがいかがでしょうか。是非フルヴォリュームでご堪能ください。

Frankie Valli / Can't Take My Eyes off You (2022 Wall Of Sound Long Version) 世界初公開! World premiere!



【Original】Composer/B. Crewe, B. Gaudio Producer/Bob Crewe Arranger/Artie Schroeck, Bob Gaudio

【2022 Wall Of Sound Long Version】Vocal/Frankie Valli Instrument, Arrange, Produce/@otokabe_master

名曲「Can't Take My Eyes off You」を2022年に新たにウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の4番目の作品となります。 「YOU TUBE」 でShort Edit版が聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは4シーズンズのリード、フランキーヴァリによる1967年のヒット曲。secondhandsongsによると396ものカバーが存在する大人気曲ですがウォール・オブ・サウンド(音壁)化でのカバーは皆無のようです。4シーズンズ自体も1964年のRAG DOLLがウォール・オブ・サウンド(音壁)的ですが、本曲は音壁ではありませんでした。然しながらサビではタンバリンが使われるなどかなり音壁が嵌りそうな素材ですし、私も大好きな曲なので@otokabe_master氏に音壁化を依頼致しました。

オリジナルの将に60年代な古めかしいサウンドは味は有りますが、現代でも通用するかと言われればかなり疑問符が付く内容。音壁版では転がるドラムなど60年代の風味を残しつつも現代にも通用する絶妙なアレンジになっています。特に音圧が大きいのが爆音での鑑賞に十二分に対応出来ているかと。これまでの@otokabe_master氏の作品同様ピアノやカスタネット、鐘の音などが中心の音壁ですが、オリジナルと比べかなり華やかな雰囲気になりました。フランキーのリードを盛り立てるカスタネットの音色はオリジナルに入っていても良かったのに・・・というぐらいの相性の良さ。特にこの曲最大の特徴であるキャッチーなサビでのすこし大きめのカスタの音色や音壁群はフランキーのリードの盛り上がりを更に盛り立て抜群の相乗効果となっています。これを聴いてしまうとオリジナルには戻れなくなってしまいそう。

そして圧巻なのは、オリジナルにはなかったインストパート。ここではオリジナル以上に世界的ヒットとなったボーイズタウンギャング版のインストのメロディを流用、追加挿入して頂きました。「君の瞳に恋してる」として日本でもヒットしフリーソウルコンピにも収録された人気曲ですが、ロングバージョンで聴けるインストパートはオリジナルの世界観を踏襲しながらも独自に創造されたメロディ。上品なストリングスで奏でられるメロディは実に清々しく心に沁みる優雅な内容で私も大好きです。軽いディスコサウンドは全く好みではなかっただけに、このパートをフランキーの歌声と繋げて聴けるのは将に二次創作ならではですね。

一回目はサビの終わりと共に消えてしまった力強いカスタの連打がそのまま継続し、華麗に舞い上がるストリングスを伴いこのインストに突入。重厚な音壁をバックにボーイズ版ではストリングスが奏でていたメロディをここではピアノが力強く、優雅に音壁してくれます。音楽万歳!音壁万歳!と叫びたくなる将に超極上のサウンドかと思います。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
8
10 9 7 7 10 10 8 10 79


【 ポップ偏差値 78

The Beatles / Please Mister Postman (2025 Wall Of Sound Extended Version)



【Original】
Composer / Dobbins-Garrett-Holland-Bateman Producer / George Martin

【2025 Wall Of Sound Extended Version】
Vocal / The Beatles
Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

史上最高のロックバンド、ザ・ビートルズの名曲「Please Mister Postman」を2025年に新たにウォール・オブ・サウンド・イクステンディド・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の10番目の作品となります。 「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

原曲はモータウンのガールグループ、マーヴェレッツの1961年のヒット曲で、そのカバーソングとなる本バージョンのオリジナルはビートルズの1963年のアルバム「With The Beatles」収録曲。当ブログでも、 史上最高のカバーソングは? BEATLES / PLEASE MR. POSTMAN '63 として取り上げた個人的に極めて評価の高い曲です。そちらに書きました通り個人的にはビートルズの作品の中でもベスト中のベスト、初期ビートルズの魅力が凝縮された、これ以上望みようが無い程の完璧な曲だと思います。これまで@otokabe_master氏に依頼してきた歴史的名曲の数々はウォール・オブ・サウンド(以下音壁と略)的には改変の余地が十分ある、ある意味音壁的には不完全な楽曲ばかりでした。然しながら今回は『非の打ちどころのない完璧な曲』に挑戦して頂きました。歴史的に高い評価の確立した世界的名曲であっても、音壁化により少しでも向上が見込めるのなら『極限を追求し、更なる高みを目指す。それこそが 音楽グルメの流儀 であろう』ということで。

前回の The Beatles / No Reply (2024 Wall Of Sound Extended Version) においては、現代風の音壁アレンジを世界中の多くのビートルズファンより好意的に受け止めて頂きましたが(「YOU TUBE」のコメント欄ご参照下さい)、今回はオリジナルの瑞々しさやロック的荒々しさを損なわず、更に多くのビートルズファンが気に入って頂けるような音壁化を目指して頂きました。音壁化にあたり一番の気がかりは荒々しさが魅力のハイハットと、更なる快活さに必須であったカスタネットとの相性でしたが上手く共存し、ジョンレノンの力強く瑞々しいヴォーカルを更に引き立てる役割を果たせたと思います。また新たにティンパニを加えたことにより重低音がズシリと鳴り響き、大口径ウーファーを持つステレオ装置でも楽しめる内容となっています。ポールのヘフナーヴァイオリンベースも上手く再現され原曲のイメージもしっかり維持出来たのではないでしょうか。新たに追加となったオルガンやピアノは今回は後半のみの控えめな登場となりましたが、オリジナルと音壁との相性の良さを垣間見せるいぶし銀的活躍となったかと思います。(後半、より派手に音壁が展開するバージョン2の公開も予定しています。)

明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
9
9 9 7 7 9 10 10 8 78

補足:前回「ビートルズの公式音源をいじる」ということで「絶対に認めない!」みたいなコメントを頂くこともありました。史上最高のロックバンドであるビートルズの傑作を神格化・絶対視する気持ちは理解出来なくもないですが、ジョンレノンがそうした行為こそを嫌ったことは彼の過去の言動からも明白です。至極の名曲の飽くなき追及の為のこうした姿勢こそがロックであり、音楽の更なる進化への道であり、音楽グルメの流儀であると私は思います。

【 ポップ偏差値 77

The Bluebells / I'm Falling (2021 Wall Of Sound Version) 世界初公開! World premiere!



【Original】Composer / Hodgens-McCluskey Producer / Colin Fairley & Robert Andrews
【2021 Wall Of Sound Version】Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

ネオアコファンにも人気のスコットランドのロックバンド、ブルーベルズのギターポップ名曲「I'm Falling」を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したもの。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の2番目の作品となります。

「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルはギターの刻みとピアノの軽やかな響きが心地よいネオアコ系バラード。恋人への後悔の念が痛々しくも、甘く悲しげなメロディが秀逸な人気曲です。泣きのギターも印象的ですが、個人的にはピアノの切なくも軽やかで感動的な響きにウォール・オブ・サウンド(音壁)的魅力を感じておりました。@otokabe_master氏に作って頂いた 中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン) の素晴らしさに感動し、同じくピアノを主軸としたこの曲の音壁版を是非聴いてみたいという思いから製作を依頼しました。

オリジナルではギターの活躍度が高く、それはそれで非常に魅力的なのですが、音壁的にはギターはそれほど相性は良くないので必要最小限にとどめて頂き、代わりにピアノの軽やかな響きをメインとしたサウンドとなりました。他にもカスタネット、カバサ、鈴の音といった高音域の繊細な響きからベースやドラム、ティンパニなどの迫力のある重低音まで、まんべんなく配された様々な楽器が分厚い音壁となって迫るかなりオリジナルとは異なる内容です。特に力強くメインフレーズを奏でるピアノは、音壁の相乗効果でより劇的に変貌しただけでなく、他にも随所で様々な表情を見せ脇役的にも大活躍します。

そして圧巻なのは、最初の間奏におけるピアノのメインフレーズをサポートするカスタネットの連打音。ここでの重厚な音壁、軽やかなピアノをバックにカスタが力強く鳴り響くことを夢に見なかったネオアコ系音壁者は私だけでしょうか。実に感動的な瞬間でこのバージョンの最大の聴きどころかと思います。後半でもこのコンボがエンディングまで展開されますが、史上最強クラスの良質な迫力ある音壁により、「I Should Have Known Better」と後悔の念を歌うリードの説得力が倍増したと感じますがいかがでしょう。なお、エンディング近くではカスタネットの鳴り方が変化しますので是非ご注目を。

Glen Campbell / I Love How You Love Me (2023 Wall Of Sound Extended Version)



【Original】
Composer / Barry Mann, Larry Kolber
Arranger / Larry Muhoberac
Producer / Jerry Fuller

【2023 Wall Of Sound Extended Version】
Vocal / Glen Campbell
Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

Glen Campbellによる名曲カバー「I LOVE HOW YOU LOVE ME」を2023年に新たにウォール・オブ・サウンド・イクステンディド・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「名曲のウォール・オブ・サウンド化シリーズ」の6番目の作品となります。 「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

元々のオリジナルは1961年のPHIL SPECTORのプロデュースによるPARIS SISTERSのヒット曲。Bobby Vintonはじめ多くのアーチストによりカバーされ続secondhandsongs.comによると87ものカバーソングが存在します。日本人ですと細野晴臣、大滝詠一といったマニアとしても有名な巨匠にもカバーされていて、その意味ではコアな音楽マニアも認める名曲と言えそうです。元歌はかなりゆったりとした静かなバラードで淡いヴォーカルとフィルスペクターによるエコー感のある品の良いサウンドが特徴的。そして超一流のメロディメーカーであるバリーマンによる甘く情緒的なメロディが素晴らしい作品です。カバーソングも元歌同様ゆったりとした静かな曲調のものがほとんどですが、1982年のグレンキャンベル版はドラムやギターなどバンド演奏を意識したかのようなテンポの速いカントリーなアレンジ。黄金旋律の魅力をそのままに更に明るく軽快&ポップに仕上げたバージョンは実に私好みでした。(当ブログでも カントリーで新たな魅力 として取り上げ済みです。)そして聴きこんでいくうちにオリジナルには無かったカスタネットとの親和性を強烈に感じ、ウォール・オブ・サウンド化することにより更に魅力が増すことを確信、@otokabe_master氏に音壁化を依頼をした次第です。

これまでの@otokabe_master氏の全ての作品同様に『黄金旋律プラス現在考えうる最高のウォール・オブ・サウンド』という言わばドーピング的な組み合わせにより、これまた空前絶後の音壁曲が出来上がりました。快晴の空を彷彿させる乾いた空気感を更に心地よく演出するカスタネットの響き、空高く舞い上がる爽やかな風を思わせるストリングスの駆け上がり、現代的かつ洗練された煌びやかなピアノの音色、迫力の重低音などの音壁アレンジにより、更に瑞々しく快活な曲に生まれ変わったと感じます。グレンキャンベルの情緒的で表情豊かなヴォーカルともうまくマッチしており、ますます魅力が増したように感じるのです。

そして一番の聴きどころは間奏のインスト部分。本バージョンではオリジナル及び多くのカバーが間奏を一小節の半分で終わらせているところを一小節分丸ごと完走して頂きました。またグレン版ではギターソロで簡素に終わってしまうところを、上品で優雅なストリングス、軽快で元気なカスタネットの連打をバックに流麗なピアノで主旋律を奏でて頂いてます。この間奏を聴いてハッと思われる方が多いかと思いますが、これまでのどのカバーでも無かった『転調』が効果的に行われているんですよね。流石プロの発想は違う!と個人的には驚きの展開でした。バリーマンによる歴史的黄金旋律を煌びやかで迫力のあるウォール・オブ・サウンド・インストで満遍なく味わう、音壁者にとってこの上ない至福の瞬間と言えるのではないでしょうか?

今から63年前、ウォール・オブ・サウンド萌芽前夜にフィルスペクターがプロデュース、バリーマン作曲のもと作られた曲が、21年後にグレンキャンベル版により軽快に変貌、更に41年後に分厚く快活にウォール・オブ・サウンド化。二度の大きな変化によりある意味究極の形態に変貌を遂げたのではないかと感じます。長年に渡り多くの偉人により脈々と受け継がれてきたメロディと進化し続けてきたウォール・オブ・サウンド。この歴史的名曲の変遷に壮大な浪漫を感じずにいられません。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
8
8 9 7 7 10 10 8 10 77


【 ポップ偏差値 76

Beach Boys他 / Help Me, Rhonda GLOBAL MEDLEY 2025 (Wall Of Sound Extended Version) 世界初公開! World premiere!



【Original】Compose, Arrange, Produce / Brian Wilson
【GLOBAL MEDLEY 2025 (Wall Of Sound Extended Version)】Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master (日本)

ビーチボーイズの名曲「Help Me, Rhonda」を2025年に「GLOBAL MEDLEY 2025 (Wall Of Sound Extended Version)」として作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「名曲のウォール・オブ・サウンド化シリーズ」の11番目の作品となります。 「YouTube」 で聴けます。また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは1965年のBeach Boysの8thアルバム「The Beach Boys Today!」収録曲。底抜けに明るく楽しい雰囲気を持つ曲でメロディも実にキャッチーで1960年代のポップスを代表する名曲と言えますね。secondhandsongs.comによると71曲ものカバーが存在しますが、特にその中でも英語以外で歌われるカバーが耳慣れない言語のためかかなり妙味有る味わいの曲であることに気づきました。また、オリジナルの簡素なサウンドに少々物足りなさを感じていたこともあり、どうせなら複数言語でのメドレー形式でのウォール・オブ・サウンド版を聴いてみたいと思い@otokabe_master氏に依頼する運びとなりました。

【順番】
1.The Beach Boys - Help Me, Rhonda (アメリカ)
2.Die Strandjungs - Hilf mir Sonja (ドイツ)
(間奏)
3.Curt Haagers - Help Me Rhonda (スウェーデン)
4.Vazelina Bilopphøggers - Hjelp meg Ragna (ノルウェー)
5.(合唱) The Beach Boys, Die Strandjungs, Curt Haagers

曲の長さは5分24秒で上記の構成となっています。4か国3言語でのメドレーとなります。元は同じ曲ではありますが、キー、テンポ、コード、ほか様々な相違があり、これを違和感なくメドレーにする為に、かなり緻密な計算に基づく調整が必要だったとのこと。追加の短いフレーズの挿入などはその為に必要不可欠だったのですが、大滝詠一風なバンプなどにより面白い展開になったと感じます。何より様々な言語での歌唱が次々と入れ替わる様子は実に賑やかで楽しく感じられます。特にノルウェー語のトーテン方言でコミカルに歌うヴァゼリーナ・ビロップホッガーズのパートはとても愉快で、オリジナルの持つ楽しい雰囲気を増幅してくれたと思います。更にバックはウォール・オブ・サウンド仕様ということで、カスタネット、スレイベル、ピアノなどが華を添え、ベースやドラムがしっかりと配されることで快活で躍動感のあるものになりました。全体として明るく楽しく多幸感に満ちた曲調で、国際色豊かで華やかな雰囲気も魅力的。クリスマス・パーティなど多人数でより楽しめるものとなったのではないかと思います。

【@otokabe_master氏による解説】

Zouky氏依頼による「世界の名曲音壁化シリーズ」、今回はBeach Boysの「Help Me Rhonda」との事でした。まぁ「さもあらん…」と言うチョイスでしたが、なんと7~8アーティストによるメドレーとの事。作業量等を鑑みても愕然といたしましたが、よくよく考察した結果、曲のタイム等を考えても4アーティストならば…と打診いたしました。Zouky氏からは4アーティストの選出と順番が指定されて来ました。前置きが長くなりましたが、この4組、キー(調整)も、テンポもコードも、音質も、更に言語まで違うと言う…なかなかの無理難題でした(笑)。結局はBeach Boysの平均テンポを割り出し、4組ともそれに合わせ、キーの違いは音楽的に美しくない場合にはジェットコースターの様なバンプを挟んで(大滝詠一氏の「君は天然色」で使われている手法です)強引に転調して繋ぎ合わせる、メロディーとコーラスの分離が困難だった為、それぞれのアーティストのコーラスも活かしつつ、共通で使用できるコードを付け、エコーの分離が不可能に近かったCurt Haagers(3番目に登場します)のエコーを活かし他を合わせる等、あの手この手、四苦八苦しながらの制作となりました。

「最後のサビで合唱にしたい」と言うZouky氏と私の共通の希望がありました。Vazelina Bilopphøggersだけはキーが決定的に違うので、残り3組での合唱となりました。実はDie Strandjungsも「Help Me Rhonda」では無く「Hilf mir, Sonja」と歌っているのですが、まぁ聴感上それほど気にならない事と昨今のグローバリズムを考え強引に合唱して頂いています(笑)。3組の中でBeach Boysだけが半音高いのですが、そこは強引に半音下げて合唱に参加していただきました。多くのカバーが存在する名曲をこの様な形でメドレー化した事、それぞれのアーティストに対するリスペクトとしてお許しいただければ幸いです。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
10
8 7 6 7 10 10 8 10 76

(ご参考)オリジナル・バージョンへのリンク
The Beach Boys - Help Me, Rhonda
Die Strandjungs - Hilf mir Sonja
Curt Haagers - Help Me Rhonda
Vazelina Bilopphøggers - Hjelp meg Ragna

【 ポップ偏差値 75

大滝詠一 / 君は天然色 '81 作曲大瀧詠一 編曲多羅尾伴内

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日本ポップス界の大御所の81年の歴史的金字塔。いわゆる分厚いスペクター系音壁の日本における元祖的曲と考えてもいいんでしょうか?ここで聴ける深く厚い音壁は楽器の進歩した四半世紀たった現在でも全く輝きを失う所がないのだから素晴らしい。その後山下達郎氏、岩崎元是氏といったフォロワーやご自身が20数年たってやっている物と比べても全く遜色無いのだから、その普遍的とさえ言える音造りの妙技は驚異的としか言いようが無い。

聞くところによると海外のスペクターファンなどにも大滝詠一氏の評価は高いらしいです。音壁的側面以外でもこの曲の持つ高揚感ある明るく乾いて弾けた、そしてちょっと甘酸っぱいメロディは実に気持ち良い。音壁的アプローチは他のフォロワー達によってそれを凌駕するものも見受けられるが、この曲の持つ空気感は、その時代性もあって、再現はかなり難しいだろう。最新マスタリングされた「A LONG VACATION 20th Anniversary Edition」にはこの曲のインスト的バージョンも収録されています。

姉萌えエロゲー「ONE☆BOKU」の主題歌 「Faraway so close / 吉田裕貴」 はこの曲の影響が見受けられます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(日本版音壁) ポップ偏差値合計
9
10 10 7 8 8 10 8 5 75


【 ポップ偏差値 74

村田恵里 / オペラグラスの中でだけ (2022 ウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョン)



【原曲】作詞/康珍化 作曲/亀井登志夫 編曲/井上鑑 '85
【2022 ウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョン】演奏・編曲・プロデュース @otokabe_master

日本アイドルポップ史に燦然と輝く不朽の名曲「オペラグラスの中でだけ」を2022年に新たにウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョンとして作成したバージョン。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏製作の「史上最高のウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の第3弾となります。オリジナルは当ブログで 本家大滝詠一を上回る胸キュン大名作 村田恵里 / オペラグラスの中でだけ として既出ですが、アイドルポップ史でも類まれな素晴らしいメロディを持つ隠れた大名曲。セールス的には全然ヒットしませんでしたが歴戦の洋楽ファンも唸らせるマニア好みの世界的楽曲とも言えるでしょう。その主たる要因は 歴史的ウォール・オブ・サウンド 大滝詠一 / 幸せな結末 を作り上げた井上鑑氏によるウォール・オブ・サウンド(音壁)的手法にあります。然しながら音壁的にそれほど派手なアレンジにはなっておらず、アイドルポップ向けにマイルドに味付けされたようですね。そこでここは容赦なく全力投球した音壁版を聴いてみたいということで@otokabe_master氏に製作を依頼したという経緯になります。

音壁版ではオリジナルには無かったカスタネットを全編に導入し、ギター部分をピアノに置き換えエコー感を増幅。曲における歌の比重が下がり、ウォール・オブ・サウンドをより堪能出来る内容になっています。そして一番の聴きどころはオリジナルになかったインストパート。アイドルポップ屈指の美メロと言えるAメロ部分が贅沢な音壁仕様でインストとして追加挿入されています。品のあるストリングスをバックにカスタネットの連打が心地よく鳴り響く非常に躍動感のある感動的なパートです。他にもアカペラ的パートが村田恵里の歌唱力の高さをより際立たせるアレンジとなっていて聴きどころは多い。そもそもオリジナル自体が音壁的でしたので、「中島みゆき / 悪女」の音壁版ほど劇的な変化は感じられないかも知れませんが、アイドルポップ史に燦然と輝く不朽の名曲が、より完成度の高い音壁版として生まれ変わった音楽史的意義は大きいと感じております。

岩崎元是 / 勇気のつばさ(off vocal ver.) '16 作曲池毅 編曲岩崎元是



長年に渡り数多くの上質なウォール・オブ・サウンドを作り続けてきた岩崎元是Pによる2016年産音壁インスト。CDシングル「Machico / 勇気のつばさ」に収録。大滝詠一が1997年に井上鑑氏と共に歴史的ウォール・オブ・サウンド「幸せな結末」を作り上げた訳ですが、その大滝氏亡き今、元是Pこそが日本の、否、世界のウォール・オブ・サウンド界をその圧倒的な作品量と質の高さでリードしている唯一無二の絶対的存在だと言えますね。

本曲は既に ポップ界の黄金コンビが実現 Machico / 勇気のつばさ として取り上げた曲のインスト(カラオケ)バージョン。個人的にはヴォーカルの声質や歌声が受け入れ難く、折角の元是P渾身の音壁作品でありながら高評価を与えられなかったことを残念に思っていた作品。ここのところ個人的に元是Pのインストバージョンを聴きなおす機会が多かったんですが、その際に改めてこの曲の音壁の魅力に気づいた次第。元是P作品はアニソンが多いということもあって、その作品の質の高さに反し不当に評価や扱いが低いですが、このインストは全くヴォーカルが入っていないということもあって、多くの方が受け入れやすいんじゃないかな?

グロッケンやカスタネット、アコースティックギター等の高音域のシャンシャン感、アコースティックピアノのエコー感、ストリングスの荘厳で華麗な響きに、ドラムやベースの重低音などがバランス良く配備され奥行のある非常に聴き応えのあるウォール・オブ・サウンドが展開されている。ヴォーカルがなくなったことで、どれだけ大音量で聴いても耳障りに感じることなく怒涛の音壁世界に没頭できる感じ。特に2分45秒からの無伴奏でのドラムの連打は圧巻。(池毅氏による濃い目のメロディもヴォーカル無しの音壁インストで真価を発揮した感じ。)フィルスペクター~大滝詠一の流れをくみながら更に音壁を進化させ、2016年時点での音壁最前線にして最良の作品と感じます。個人的格付けとしては音壁偏差値74で「幸せな結末」と同ランクで世界第2位。優れたウォール・オブ・サウンドのインスト版は世界的に著名な指揮者による大編成オーケストラによる傑作クラシックを楽しむが如く大音量で楽しめますね。音壁ファンの方でも、本曲のヴォーカル版を一度聴いてそれっきりという方も多いと思うのですが、是非とも先入観抜きで聴きなおしてみて下さい。

「YOU TUBE」 で聴けます。フル・ヴォリュームでご堪能を!

大滝詠一 / 幸せな結末 '97 作曲大瀧詠一 編曲井上鑑



1981年の『A LONG VACATION』、1984年の『EACH TIME』の両作以降オリジナルアルバムの発売の無くなった大滝詠一の晩年のシングルCD曲。「君は天然色」はウォール・オブ・サウンドを代表する金字塔だけど、その質・完成度の高さからか晩年は寡作なアーチストとなってしまい、そしてまだまだ良作を残せる現役状態のまま65歳にして亡くなってしまったのがとても惜しまれます。個人的にはより多くの音壁名曲を残して欲しかった。

その大滝詠一の晩年となる97年の本曲はTVドラマの主題歌であったこともあり、かなりのヒット曲となりました。ウォール・オブ・サウンド色の濃い作品として日本では一番売れた曲かも知れませんね。曲はしっとりとした大人向けバラードで、少し哀し気なメロディはAメロからサビに至るまで流石の出来で作曲家としての大滝氏の力量を今更ながら思い知らされます。ですが本曲の真髄は、それらメロディを盛り上げるウォール・オブ・サウンド的アレンジにこそあります。これは当ブログでは、やはり音壁アイドルポップの金字塔、 村田恵里 / オペラグラスの中でだけ でも取り上げた井上鑑氏のアレンジ力が大きい。

時折入るカスタネットの効果的で軽快な響き、きれいに澄みきったエコー感のあるピアノの軽やかな音色、品が有り荘厳な雰囲気を醸すストリングス、大滝詠一節炸裂な迫力あるドラムなど。そして最大の聴き所は美しいメロディとそれら器楽が複合的に重なりあった間奏で、更に追い打ちをかけるように重なり響き渡る快活なカスタネットの連打音でしょう。ここでのカスタの連打は音壁史上屈指の心地よさと言えるのでは?因みにサウンド的には大滝詠一、井上鑑両氏の師匠的存在であるフィルスペクターの Ronettes / I Wonder 辺りに強く影響を受けたものとなっていますので、合わせて聴いてみてください。既に多くの日本人にお馴染みになっている「幸せな結末」ですが、音壁史上に残る歴史的名演でもありますので、是非そのサウンド面に着目したうえで愛聴して欲しいものです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

【 ポップ偏差値 73

The Beatles / No Reply (2024 Wall Of Sound Extended Version)



【Original】Composer / Lennon-McCartney , Producer / George Martin

【2024 Wall Of Sound Extended Version】
Vocal / The Beatles
Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

史上最高のロックバンド、ザ・ビートルズの名曲「No Reply」を2024年に新たにウォール・オブ・サウンド・イクステンディド・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「名曲のウォール・オブ・サウンド化」シリーズの第8番目の作品となります。

「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルはビートルズの1964年のアルバム「FOR SALE」収録曲。本国イギリスではシングルカットされておらずビートルズの中では比較的地味な存在。曲も2分15秒と短く全体的にボサノバ調でロック色が比較的薄い作品(そこが魅力でもある訳ですが)。ただしサビの溌剌とした高揚感のあるロック的盛り上がりは流石のビートルズ節という感じです。個人的には初期の大ヒット曲群にも匹敵する魅力的なフレーズかと思いますが、このサビが一度しか登場しない変則的な構成には長年消化不良な気分でおりました。また、手拍子交じりで盛り上がるこのサビがウォール・オブ・サウンド(音壁)と相性抜群であろうことから@otokabe_master氏へ音壁化を依頼することとなった訳です。

音壁版はリンク先の解説にもありますように、約20種もの楽器を重ねた分厚いサウンドが特徴的。軽やかなボサノバ調は影を潜め全体を通してリズミカルなロック調です。すこし快活で明るい雰囲気が加味された感じでしょうか。またウォール・オブ・サウンド仕様ということで、個人的希望もありピアノの少し悲しげな響きも目立つものとなりました。高音域ではフィルスペクターでもお馴染みのスレイベルやカスタネット、低音域ではティンパニなどの迫力ある重低音など、かなりオリジナルとは異なる音の洪水状態ですので、あまり音壁に馴染みのないビートルズファンの方は違和感を覚えるかも知れませんね。

構成としては消化不良だった一度しかなかったサビ部分も三度登場ということで、ジョンの切実な気持ちのこもった激しい歌声が十二分に堪能できるかと思います。そのサビでは、カスタネットが力強く鳴り響き、より切迫感と説得力が増したと感じます。発表から60年後の最新の分厚い音壁をバックにつけても、しっかりと存在感を示すジョンのヴォーカルはやはり素晴らし過ぎますね。なお、新たに加わった間奏ではマージービート風のギターが入り、偉大なるビートルズへの敬意を感じさせます。

@otokabe_master氏による「名曲のウォール・オブ・サウンド化」シリーズは他にもとてつもない作品が複数あります。他にも音源の公開を予定していますので、どうぞお楽しみに。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
8
7 7 7 7 9 10 8 10 73


金月真美 / 夏に、まだ少し・・・ 作曲東野美紀 編曲岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) '96
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プレイステーション用ゲームソフト「ときめきメモリアルプライベートコレクション」挿入歌。「金月真美 / From the Bests・・・」収録。出だしのピアノの軽快な連打は大滝詠一風。その後ドドンと展開されるナイアガラサウンドは迫力満点。鐘の音、カスタネット、手拍子といった美味しいオカズを散りばめつつ、躍動感のあるエコーのかかったドラム、ピアノの連打といったナイアガラな音壁はファンなら悶絶間違いなしの素晴らしさ。テンポも小気味良く、「空、海、波、風、胸のときめき」などという言葉もさわやかな季節感を感じさせてくれていい。

岩崎元是さん絡みのポップな曲は歌声に難がある場合が非常に多いのですが、この金月真美さんはかなりしっかりした歌声を聴かせてくれるのでアニソン(厳密にはギャルゲーソング?!)ということを意識することなく楽しめ、その意味ではアニソンアレルギーな方にはもってこいな作品。「2002MIX」というのも出ていて、「オケがさらに豪華になりカスタ等の鳴り物が心地良い」とのことです。*元ネタ=「竹内まりや作品全般(「ふたりはステディ」など三連ピアノもの)」、「Roy Wood & Wizzard / THIS IS THE STORY OF MY LOVE(サックス、エンディング部分など)」)
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(爽快な音壁) ポップ偏差値合計
7
9 9 8 7 9 10 9 5 73


【 ポップ偏差値 72

ABBA / Knowing Me, Knowing You (2024 Wall Of Sound Extended Version)



世界的ポップ・グループABBAの名曲「Knowing Me, Knowing You」を2024年に新たにウォール・オブ・サウンド・イクステンディド・バージョンとして作成しました。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「名曲のウォール・オブ・サウンド化シリーズ」の9番目の作品となります。 「YOU TUBE」 で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、 こちら でも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルは1977年のABBAの4thアルバム「Arrival」収録曲。離婚について歌った内省的な曲で、明るくポップなヒット曲を多数持つABBAとしては暗い雰囲気の作品。然しながら出来はキャッチーで後にシングルカットもされたほど。明るさと暗さの対比が見事な作品です。特にインスト部分の明るい未来を予感させるようなギターの肯定感に満ちた高揚感のあるフレーズは秀逸で、個人的にはこの箇所をピアノを主体としたウォール・オブ・サウンドで是非聴いてみたいと思いました。また、 The Bluebells / I'm Falling (2021 Wall Of Sound Version) において@otokabe_master氏が作り上げた重厚で荘厳なサウンドは この曲とも相性バッチリで、きっと素晴らしい作品になるとの確信から音壁化を依頼することになりました。

音壁版はピアノ、カスタネット、ティンパニなどを大幅に導入し、きめ細やかな上に重厚かつ荘厳なサウンドが特徴的。特にピアノが大活躍で力強い響きによりヴォーカルの勇ましさと説得力を増幅し、煌びやかな響きで曲全体に華を添えています。聴かせどころのインスト部分でもピアノがギターにとって変わり、そのエコー感のある高らかな響きにより曲に空間的拡がりを与えるることが出来たと思います。更にカスタネットの快活な響きとの相乗効果で分厚い極上のウォール・オブ・サウンド(音壁)を実現しました。また、オリジナルには無かったティンパニの大幅な導入により迫力のある超重量級サウンドを実現。特に「aha」の部分は音壁効果をより高めるためにティンパニの強烈な一撃に置き換え、より雄大でダイナミックな内容へと変貌しました。全体として音壁史上稀にみる重低音に魅力を持つ作品に仕上がったのではないかと思います。(重低音を感じられる装置で聴かれることを推奨致します。)離婚という重い事実をしっかりと受け止め、前向きに生きていこうとする決意の勇ましさ、そして必ず来るであろう明るい未来への予感が重厚で荘厳なウォール・オブ・サウンドにより増幅され、説得力と感動が増したと感じます。

「YOU TUBE」 で聴けます。
オリジナルPV
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 楽器 瑞々しさ ボーナス(音壁&二次創作) ポップ偏差値合計
7
7 8 7 7 9 10 7 10 72


成清加奈子 / ハートのピアス '84 作曲編曲井上大輔

NARIKIYO.jpg

NHK「レッツゴーヤング」オリジナルソング。明るくポップな曲というタイプの曲ではありませんが、息もつかせぬ切迫感&緊迫感のある展開が素晴らしい曲。出だしなどに使われる印象的なフレーズで聴けるドラムの重低音はエコーも深く迫力満点。フゥーフゥーコーラスやカスタネット、華麗なストリングス等等の厚めのサウンドはかなりフィルスペクター/ナイアガラ系音壁度が高い。

メロディもCメロへと盛り上げていくBメロのラインがとってもスリリングで快感。きっちりと突き抜けきったメロディラインが素晴らしい。それにしても「TELL ME DARLING~♪」以下のサビはまんま何かの曲のフレーズ使ってますね。でもそれが何という曲だか思い出せない~。どなたか教えて下さい。(その後ちびまる子ちゃんのOPテーマ曲 B.B.クイーンズ / おどるポンポコリン とのご指摘を頂きました。)「おしえてアイドル 徳間ジャパン編 初恋進化論」収録。

尚、この曲の当時の動画が「YOU TUBE」などで見ることが出来ますが、残念ながらスタジオ録音版の迫力や緊迫感が全く伝わらない内容になっています。なるべくなら見ないで直接スタジオ録音版を聴くようにして下さい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(切迫感&緊迫感) ポップ偏差値合計
7
10 9 8 8 9 9 7 5 72


楠瀬誠志郎 / 君と歩きたい '92 作曲楠瀬誠志郎 編曲武部聡志&楠瀬誠志郎 「素晴らしい恋をしよう」収録

KUSUNOSE

「恋はあせらず」トラック名曲の「CRAZY FOR YOU」も収録した92年のアルバム「素晴らしい恋をしよう」に収録されている曲ですが、ここでも大ポップ大会やってます。摩天楼の満天の輝きを思わせる煌めきの分厚いサウンドは限度というものを知らず、ひたすらド派手に作りこまれてます。エコーが深めなのはドラムぐらいだけど、エレピや煌きの装飾音も満載ということでスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドと認定してもいいんではないでしょうか?メロディはちょっと泣き節入ってますが、それでもヴォーカルの能天気な声質と相まって全体として乾燥感が感じられて良い。なかなか良く出来たメロディなので静かなバラードタイプの曲でも成功したはずだが、テンポを早め、スーパーハイテンションな曲に仕上げたその心意気、ポップ感覚にシビレます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(厚い音壁) ポップ偏差値合計
9
10 8 7 8 8 10 7 5 72


鈴木真仁 / あのね・・・。作曲編曲岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) '96 「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ ソングコレクション」収録
YAMAMOTOYOUKO.jpg
いわゆるフィルスペクター/大滝詠一/ナイアガラサウンド系ポップサウンドの最高峰にして、現在のところ私の知るアニソンポップのナンバーワンソング。岩崎元是作品はその「WALL OF SOUND」的側面では現在の日本において大滝詠一氏と全く互角かあるいはそれ以上の素晴らしいサウンドを聴かせてくれる(ということは世界一?)。然しながら歌い手に恵まれないことが多く、また岩崎元是氏が作曲を手がけずに編曲のみを手がけた作品の場合はそのメロディに不満が残るものも多い。そういった中でこの作品はそういった不満要素が一切入り込まず、全てがうまく噛み合った非常に稀なケースと言える。

メロディはどちらかというとしっとりと湿っぽく、決して明るい曲調ではないが、歌詞との相性はなかなか良くちょっと胸にグッとくる内容。サビから始まる出だしのこみ上げるメロディとともにいきなり全開となる音壁の分厚さとエコーの深さ。気持ちよいシャッフルビートと鈴の音や手拍子、ブレイク部分で聴こえるエレピの心地よい響きや清涼感いっぱいのストリングス。それら全てが一体となって大迫力で迫ってくる様子はまるで全身に音のシャワーを浴びているかのようだ。

私の知る限り現時点で間違いなくアニソン界の王位に君臨するスーパーポップソングで、日本が世界中に声高に誇れる最高の「WALL OF SOUND」だ。岩崎元是さん、素敵な曲をどうも有難う。*元ネタ=「竹内まりや / 色・ホワイトブレンド」
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(爽快な音壁) ポップ偏差値合計
6
10 10 6 7 10 10 8 5 72






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