2009年02月26日
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生きざま3景
生きているといろいろな場面に出会う。見たくて見たものではない場面も多い。人と人が触れ合う中で、子どもが何を大人に求めているか。何を考えているか。さらに。大人自身が、自分の生き方を考え直すシーンも見てきた

みんなが楽しく夕飯を食べている。テーブルの上には銘々の皿に、キャベツとコロッケ2つ。それだけである。母親がパートで遅いので、子どもたちが夕飯を作る。コロッケも冷凍で安いものをきちんと油で上げ、キャベツも、自転車で30分かかる「野菜市場」まで買いに行く。地元の野菜で新鮮である。「いつもえらいねと」ジャガイモを5つくれた。母親が疲れた顔で帰ってくる「ただいま、ごめんね遅くなって」と笑顔は見せるのだが目の周りのくまが目立つ。「お母さん、今日の一人当たりの食費は100円だよ」「がんばったんだよ」思わず母親は涙ぐむ。夫の借金返済の終われる毎日。子どもの好きなものも買ってあげられない。「お母さんどうしたの、だいじょうぶよ」と親の気持ちを察することができる。こんな家庭もあるのである。たくさんあるのである。

酔っ払って帰ってくる父が、玄関のところで立ってた。偶然二階から覗いたら、父親は立っていた、20分もたっていた。寂しそうであった。いつも元気で、大きな声で笑い、食事のときはご飯を飛ばすぐらい大きな声で話す。朝も子どもより早くおき。庭で体操をしている。賞状をもらってきたとき「すごいなあ、すごいなあ」と帰りに大きな額を買ってきた。そんな父は最近仕事がうまくいっていない。寄って帰ってきては愚痴をこぼすようになった。「これじゃあめだ、だめだ」と言う声が聞こえた。「ただいま」いつもの元気な声。「誰もいないのか、ケーキ買って来たぞ」父親は玄関の前で『顔』を作っていたのだ、仕事のことを持ち込まない。子どもに笑顔を見せる。でも、父親が自分の気持ちを出せるところが家なんだと、思うようになった子ども。「とうさん、ありがとう」。

 足の不自由な母親、家の中を歩く程度で外に出ることはほとんどない。いつも家にいる。若いころ陸上ではこの辺では足が速くて有名であった。大学卒業後もスポーツ代理店の営業できびきびと働いていた。2人の子どもが幼稚園の年長年中のころ。悲劇が起こる。いつもの交差点で信号待ちをしていた。運転手は父、助手席に母、2人の子どもは後ろに座る。信号が青になった。確かになった。横から大型トラックが突っ込んでくる。信号無視だ。とっさの判断で交わそうとしたが。父は即死。母は両足を挟まれる。子どもたちは、椅子の下の入るような形で軽症ですんだ。母親は両足をかろうじて形だけ残した。二度とまともに歩けなかった。あれから8年。こころの傷と足の傷を直すのに8年かかった。中学生になった2人の子どもが母親の面倒をよく見る。「お母さん」「はいどうした、今日のお弁当おいしかったよ」「トートバック」作ってくれてありがとう。今はベランダの家庭菜園を母親は楽しんでいる。小さな芽が出ては喜んでいる。「がんばろうねおねえちゃん」「そうね、お母さんと一緒にね」こういう家もあるのです。





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最終更新日  2009年02月26日 08時08分22秒
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