江東区・木場公園内の東京都現代美術館で開催されている「花と緑の物語」の展示作品71点の中から、近代フランス絵画の魅力と見所を紹介する。
1883年ジウェルニーに移ったモネが庭作りに丹精し、晩年はひたすらその庭からモチーフを得たことはよく知られている。川から水を引き入れた特別あつらえの池に浮かんだ睡蓮は、今やモネの代名詞でさえある。特に最晩年の十年間に描かれた睡蓮は、その水面に接近し、水にかこまれてしまったかのような構図で、 モネは睡蓮という実体よりもむしろ移ろう水面の表情や、そこに映し出された空に魅かれていく。日本では初めて展示されるこの作品も、画面の主役は睡蓮というよりもむしろ映りこみながら睡蓮と重なりあう草の影である。現実の葉や花と反映である草の影という実体のないものが水面で交錯し、虚実ない交ぜの絵画空間を作り出している。
画面を前にした我々も水の中に取り込まれ、日常と違った視点から、水面に眼差しを向けることになる。水の中をたゆたう様な、また水面にそっと浮かんでいるような、不思議な浮遊感を味わえる作品である。9月26日まで。
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