この花を見て、あるいは、かぐわしいにおいで、映画「旅情」を思い出すのは年配の方だろうか。キャサリン・ヘプバーン演じる独身の米国人女性ジェーンは長年秘書として働き、ようやく取れた夏の休暇で水の都ベネチアを訪れる。そこで孤独なジェーンは、妻子持ちの中年男性ネラートと恋に落ちるのだが、
その小道具として登城するのがクチナシだ。アカネ科の常緑低木。梅雨時の6,7月ねじれて畳まれた蕾みが膨らんで10センチ大の白い花を咲かせる。花が散った後は、黄赤色の箕をつけるが、 熟しても口を開かないことからクチナシと命名されたらしい。欧米では恋人に贈る花とされており、
映画では最後の別れのシーンで、レナートが汽車に乗って帰国するジェーンにプラットホームを走りながら揚げる。いかにもイタリヤ人男性と言う感じだが、我々日本人に似合いそうもない。東京駅から出てくる通勤客を横目に箕ながらクチナシも相思っているに違いない。![]()

