夢旅行 石井春香の詩と薔薇の部屋

夢旅行 石井春香の詩と薔薇の部屋

March 17, 2021
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​​​詩集『砂の川』は第二詩集です。
娘を失くした​哀しみの中で書きました。
未だ哀しみは背中に貼りついたままです。
母にとって子どもの死は​一生抱えていくものです。 癒えることはありません。

この詩集で「福田正夫賞」を受賞しました。
国学院​大学での受賞式に出席したのが、ついこの間のような気がします。

また長い間  近畿大学のゼミの教材にも使って頂きました。
そのことは、詩人の
元日本現代詩人会会長の以倉紘平氏から伺っておりました。氏は教師でもあります。
ある日、以倉氏から
連絡があり、 ゼミで教えていた生徒が詩集を買いたいと言っている。との事でした。

​高槻​市の柳川中学校の教師だというその方は、私を訪ねて下さり​​
「まだ学生だった時、そのゼミでプリントされた石井さんの詩が印象的で、自分も国語の教師になったので生徒たちに教えたい。是非『砂の川』を買いたい」と
その旨仰いました。

ほんとうに嬉しい出来事でした。
こんな時、詩を書いていて良かったと心から思えます。


『砂の川』から        

           白梅      石井春香

ひとりでいい
この場所で 花を咲かすと決めている

思い決めても
痛みだし
滲みだし
しらしらと溶けていこうとする
ひとすじの意志

誰にも悟られては いけない
風のさいなみが 辛いのだなどと
こんな風で折れたりは しないのだから

消えかかる意志
 消しては いけない
 もっと強く

祈りの声は
埋もれた無数の根を くぐり
かじかんだ地上の幹を めぐり
垂直に伸びた蒼い枝を 這いのぼる

のぼり詰めた声のあいだから
支えきれない溜息が
はらりと枝先から こぼれそうになり
あわてて空を ふり仰ぐ

高みから
寒月が
青白い視線を放って 見下ろしていた

潔く
凛としている筈では なかったのかと ​​





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Last updated  March 18, 2021 12:45:48 AM
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