よっち天市場

「女の園の星 1」レビュー：静かな狂騒とユーモアの絶妙なバランス

和山やまの『女の園の星』は、女子校の男性教師「星先生」の日常を描いたコメディ作品であるが、その魅力は単なるギャグ漫画にとどまらない。独特の間合いと静けさの中にじわじわと笑いが生まれ、気づけばページをめくる手が止まらなくなる一冊である。主人公の星先生は、真面目で無表情ながら、どこかポンコツな雰囲気を漂わせる国語教師。彼が担任を務める2年4組の生徒たちは、女子校らしい自由奔放さを発揮しつつもどこか平和的で、彼の日常は常に予想外の出来事に彩られている。星先生は基本的にツッコミ役であるが、時折見せる天然な一面や、妙に乗せられてしまう性格が絶妙におかしく、クスッと笑わせてくれる。物語のテンポはゆったりしているが、そのゆるさが逆に独特のユーモアを生み出す。たとえば、生徒が学級日誌に書いた謎の「絵しりとり」を星先生が読み解こうとするエピソードでは、意味不明なやり取りが繰り広げられる中、彼の冷静なツッコミがじわじわと笑いを誘う。また、同僚の小林先生との掛け合いも秀逸で、彼の軽妙なノリと星先生の絶妙な温度差が、作品にさらなる味わいを加えている。さらに、本作の魅力は、単なるコメディだけでなく、キャラクターたちの関係性の温かさにもある。教師と生徒、同僚同士の距離感が絶妙で、シュールな笑いの中にも優しさがにじむ。作者の描くシンプルながら繊細な表情や、独特の間の使い方も相まって、静かながらクセになる作品である。『女の園の星 1』は、日常の中に潜む小さな笑いを丁寧に拾い上げ、読者にじんわりとした幸福感をもたらしてくれる一冊。肩の力を抜いて楽しめるコメディを求めている方には、ぜひおすすめしたい作品である。※以下のリンクは楽天アフィリエイトを利用しています。リンクから購入されると、運営者に報酬が発生することがあります。​女の園の星 1 （FEEL　コミックス） [ 和山やま ]​女の園の星　2 （FCswing） [ 和山やま ]​女の園の星（3） （FCswing） [ 和山やま ]​女の園の星（4） （FCswing） [ 和山やま ]​