　楽天４番候補の新外国人、サンチェスがフリー打撃で能力の高さを見せつけた。最初は逆方向の右中心の打撃で長打性の当たりを連発。感覚をつかむと３本の柵越えを放ち「本塁打を打つことではなく、自分の意識した通りの打撃をしようと思った」とパワーと広角に打ち分ける技術を披露した。

　重心を下げた構えは１３年に在籍したマギー（現ジャイアンツ）にそっくりで「見た目は確かに似ている」と本人も認める。そのマギーとは１２年にパイレーツでともにプレーしており、背番号「３」も受け継いだ。１３年の日本一に貢献した先輩助っ人のように打線の軸となる。

４４歳斎藤、順調・久米島キャンプ

河北新報

　東北楽天の春季キャンプは３日、沖縄県久米島町の久米島野球場を主会場に練習を続行した。フリー打撃では新外国人のサンチェス内野手が３本の柵越えを放つなど、主砲候補として存在感を示した。上園啓史投手らが打撃投手を務めた。２軍が練習する仲里野球場では、１４日に４５歳の誕生日を迎えるベテランの斎藤隆投手がブルペンに入り、順調な仕上がりぶりを見せた。（曇り、最高気温１８．３度）

　チーム最年長、４４歳の斎藤が元気だ。キャンプ初日に続き、早くも２度目のブルペン入り。「別に飛ばしているわけではない。体の状態がいいので投げ込んでいるだけ」。落ち着いた口ぶりに順調さが感じ取れる。
　この日のブルペンでは直球中心に４５球を投げた。「ばらついてるな」「今のは高校生の球だ」。一球ごとに漏らす言葉は自らに厳しいものが多いが、杉山２軍投手コーチは「いい球を投げていた。（１４日で）４５歳の球じゃないよ」と舌を巻く。
　日本球界に復帰した２０１２シーズン、斎藤はリーグ優勝と日本一を経験した。昨季は一転、リーグ最下位という屈辱を味わった。今季は「何としても優勝、日本一を奪還しようという思いが強い」と言う。
　そのためには経験豊かな右腕のシーズンを通した活躍が必要だ。「今は足場固めの時期。雪山を登るように一歩一歩、着実に仕上げていきたい。ベストな状態になれば、チームの力になれる」。開幕後の１軍戦力となれるよう、今は焦らず調整を続ける。（中村紳哉）

＜サンチェス柵越え３本＞
　４番候補のサンチェスがフリー打撃で３本の柵越えを放った。米大リーグ通算６１本塁打の右打者は「良かったよ」と笑みをこぼした。
　打撃練習では右方向への打球が目立つ。「体が開かないように、キャンプではいつも右方向を意識して打ち始める」と強調。本塁打は意識せず、自分のイメージ通りの打撃を目指してバットを振り込むという。
　日本のキャンプ期間が米国より早く、長いこともプラスに捉える。「それだけ練習する時間があるということ。打撃を中心にしっかり調整していきたい」と意欲を見せた。

＜上園、精力的に投げ込む＞
　上園が３日連続でブルペン入りし、フリー打撃の投手も務めた。球数は３日間で約３７０球に達し、順調な仕上がりを見せる。「投げて（良かった頃を）思い出したい」と意気込む。
　ブルペンでは捕手側の左足を踏み込む位置を確認するため、目印の棒を置き、フォームの安定に取り組んでいる。「だんだん（左足が）前に出てくる。まだまだ」とは言うが、イメージはつかめている様子だ。
　阪神から移籍して４年目。東北楽天ではまだ勝ち星がなく、「一つも貢献していない」と無念さをにじませる。プロ９年目の３０歳が今季に懸ける思いは人一倍強い。