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大正関東地震(関東大震災)があってから,約91年がすぎた。政府は,いま,首都圏の真下を震源とする,マグニチュード7級の「首都圏直下地震」の発生を警戒すべきとし,注意を促している。 なお,多くの地震学者が関東では想定外の地震が起こるかもしれないと考えを始めている。その理由は,次のような新たな発見,問題提起による。
◆
その1-不気味,第3の関東地震
関東の地下は世界でもまれに見る複雑な構造。これまで研究者の間では,関東エリアでは,「関東大震災型地震」と「「元禄型関東地震」の2つのタイプの大地震の発生が想定されていた。この考えを否定し,これまで想定外の地震が起こるかもしれないと考えを改め始めている。
マグニチュード7.9の関東大震災(大正型関東地震)は,神奈川県西部から太平洋へ延びる「相模トラフ(浅い海溝)」が引き起こした。ここでは,関東地方を乗せた北米プレート(岩板)の下にフィリピン海プレートが沈み込み,さらにその下には太平洋プレートが潜っていく。
相模トラフでは,複数の震源域が連動することで元禄16(1703)年,M8・1の大規模な「元禄関東地震」が起きている。これまで,「大正型」は200~400年おき,「元禄型」は約2300年おきに発生すると考えられてきたが,近年の研究でこの2タイプ以外の地震の可能性が浮上してきた。
房総半島太平洋側の千葉県南房総市で地震によって地盤が隆起してできた海岸段丘を調べていた産業技術総合研究所 活断層・地震研究センターの宍倉正展(ししくら・まさのぶ)氏は,第3の関東地震の存在を指摘する。
宍倉氏によると,大正型でも元禄型でもない,第3の関東地震が存在する可能性を示す隆起が見つかったという。同氏は「観測データから計算すれば,太平洋側の震源域ではひずみが十分にたまっている。東日本大震災で誘発される可能性もある」と警鐘を鳴らす。
▼1703年元禄関東地震 「津波map」 : by 産総研 活断層・古地震研究報告

▼千葉県長生郡白子町幸治に鎮座する「無縁塚津波精霊様」

▲ 出典:産総研 活断層・古地震研究報告 https://www.gsj.jp/data/actfault-eq/h22seika/pdf/namegaya.pdf
研究論文 ⇒⇒
活断層・古地震研究報告 ⇒
南関東沿岸の地殻上下変動から推定した1703年元禄関東地震と1923年大正関東地震の断層モデル (行谷佑一・佐竹健治・宍倉正展)
https://www.gsj.jp/data/actfault-eq/h22seika/pdf/namegaya.pdf
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その2-いまの地震発生状況は,大地震が集中した9世紀に似る
「地震考古学」を提唱し,歴史学の視点から地震を研究する産業技術総合研究所客員研究員,寒川旭(さんがわ・あきら)氏は,大地震が集中した9世紀と現代の類似性に着目する。
9世紀前半は北関東や東北でM7前後の地震が相次ぎ,869年には東日本大震災規模とされる海溝型の「貞観地震」が発生,大津波が東北を襲った。さらに9年後の878年に南関東でM7以上の直下型地震,887年は東海・東南海・南海地震の3連動とみられる「仁和地震」が起きた。
一方,阪神大震災(9995年,M7・3),新潟県中越沖地震(2007年,M6・8)など直下型の後,海溝型の東日本大震災が発生した。寒川氏は「現代の状況は9世紀と類似しており,近く首都直下や3連動が起きる可能性がある。千年に1度の巨大地震の世紀となるかもしれない」とみる。
こうして研究成果の発表もあって,多くの地震学者が関東ではこれまえ想定外の地震が起こるかもしれないと考えを始めたというワケである。
● 産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/
産業技術総合研究所は日本の産業を支える環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、計測・計量標準、地質という多様な6分野の研究を行う最大級の公的研究機関である。
本部を東京及びつくばに置き、つくばセンターを除く全国8ヶ所にそれぞれ特徴ある研究を重点的に行う地域センターを配している。総職員数は約3,000名。その内2,000名余の研究者が、組織・人材・制度を集積する「オープンイノベーションハブ」構想の基に、産業界、大学、行政との有機的連携を行い、研究開発からイノベーションへと展開している。
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