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※導入部のネタバレあり。
ロマン・ポランスキー監督の、英国文芸大作。これも「 つぐない 」と同じ味わいで、怖い・・・。何故かって言うと、「ほんのちょっとしたこと」で人生がガラっと狂ってしまう話だからだ。
もし、牧師さんがテスのお父さんに「調べてみたら、あなたの家系は名門だったんですよ」と言わなければ・・・。もし、テスの告白の手紙がカーペットの下に入り込んでしまわなければ・・・。あああ!!!!と思わず頭を抱えて悶えてしまいます。英国文芸大作ってこういう「うっかり」とか「ちょっとした」ことで大変なことになっちゃうパターン多いような。
ここであらすじをちょっと書くと、貧乏な家出身の美少女テス(ナスターシャ・キンスキー)が、両親に言われて「遠縁」であるお金持ちの家に奉公に行くことに。テスは可愛いので、そこの坊ちゃん(といってもオッサンに片足突っ込んでる感じ)に求愛されついに愛人になってしまう。
貧乏な家出身(テスの小さな弟や妹がうじゃうじゃいる!)なんだから、これは願ってもないフックアップ!早く坊ちゃんの子種を孕んじまった方が良いのでは?と意地汚く考えてしまうんですが・・・。テスは本当に坊ちゃんが嫌いだったのですね。数週間で我慢出来なくなって実家に帰るテス。
孕んじまった方が、と言ったけど本当に孕んでいたテスは子供を産みますが、赤ちゃんはすぐに死んでしまいます。また意地汚い私は、なんで金持ち一家にたからないんだよー?って思ったけど・・・。その後、紆余曲折あり奉公に出た牧場でエンジェルという男の子と出会い、運命の恋に落ちるが、テスは忌まわしい過去を彼に告げるか悩むのであった・・・。
想像するに、19世紀後半のイギリスの田舎だから、婚前交渉とかエロネタとか結構厳しいものがあったのだろうな。現在の基準で考えてみてもテスの「過去」ってそれなりの「過去」でもあるし・・・可哀相なテス!
しかし、テスは美し過ぎたのだ。だって、ダンスや野良仕事をしているもさっとした農婦たちの中で、一人だけ異様に美人。こういう運命を連れて来たのは彼女の美貌なのかもしれない・・・とも思う。若きナスターシャ・キンスキーは、角度によってはチェコ人スーパーモデルのハナ・ソークポヴァにも似ているなあ(ちなみにナスターシャはポーランド系)。
エンジェル役のピーター・ファースがそんなにイケメンでもなく、普通のいい人風なのがまたいいね。道に巨大な水たまりがあって、教会へ行くためにおしゃれしたテスと牧場の同僚女子(デブ一人、ブサイク二人)が「渡れないわ~」ってなってるところに、野良着のエンジェルがやって来るんですよ。一人ずつお姫様だっこで向こう岸まで運んでやるんです。テスの番になり、遠慮するテスに「君を運びたいから三人も運んだんだ」と言うエンジェル。もーやーだー!!!萌え、萌え~!!!と床をゴロゴロ転がる私なのであった(笑)。
これで一気に燃え上がる若い二人の恋。手に手を取り合って緑の牧場を走ったり、リンゴを木から取って食べたり、いいよなあ。都会のデートでは全く味わうことのできない、この爽やかさ!!!
とまあ、想像通りこれが幸せの頂点で、あとは過酷過ぎる運命が待っていたのだった・・・。エンジェルの気持ちもわからないでもない。しかし、しかし・・・。と人生の不条理を噛み締めるのだった。あと、最初に「シャロン・テートへ」とポランスキー監督の亡き妻(69年にカルト集団に惨殺された)への献呈があるのが切なかったです。
余談:「 スラムドッグ$ミリオネア 」のフリーダ・ピント主演で、インドに舞台を置き換えたインド版テス「トリシュナ」があるそうなんですが、そちらも観てみたいです。
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