北海道の魅力とは?


 ―褒めれば、いいってもんじゃないよ―


 私は、北海道の出身。なんだかんだと批判されても、
やはり心から愛しています。とは言っても、最近の北
海道は、並みの観光地になっていくような気がしてな
りません。「昔は良かった…」は、年寄りの常とう句
ですが、それでも構いません。現在の北海道は、あま
りにも観光地化されて、だんだん、その魅力が失われ
つつあリます。
 代表的なのは、その味です。何年か前に、札幌を訪
れて、魚を食べさせる店に行ったとき、あまりの味の
ひどさに驚きました。店のほうでは、こちらも、単な
る観光客と思ったのか、ノートを出してきて「感想を
どうぞ」とリクエストされました。正直に、「北海道
で、こんなまずい魚を食べたのは、初めて」と書くつ
もりでいたのですが、ノートをパラパラめくって、読
んでみると、そこは、「こんなおいしい魚を食べたの
は初めてです」といった賛辞の言葉ばかり。あまりの
阿呆らしさに、何も書かずに、文句も言わずに、店を
出てしまいました。

 これは、なんなんでしょう。北海道を甘やかしてい
けません。私たちはよく言います。「北海道の料理は
料理じゃない。単に素材をそのまま出せばいいんだか
らな」と。でも、これは、魚の新鮮さを表した、僕ら
道産子の最大の褒め言葉なんです。それを、悪いけど、
いちげんの本州の観光客が壊してしまっている。

 褒めれば、いいってもんじゃありませんよ。褒める
ばっかりだから、観光客をバカにして、いいかげんの
ものを出して平気になる。増長する。こんなことが、
札幌オリンピック以降、ずっと続いて北海道が、ダメ
になったんです。


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