月の旅人

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メコン川クルーズ出発・ハチミツ農家編

メコン川クルーズ出発・ハチミツ農家編



5時前に目が覚めてしまい、ほとんど睡眠を取らないままでメコン川クルーズへ向かうことになった。それでも、自分が思っている以上にわくわくしているのか全然眠くない。
部屋の窓からささやかなテラスに出てみると、私の気分同様天気も快晴だった。
オリエンタルな雰囲気のホテル1階のレストランへ行き、なかなかに美味なパンやおかずやフルーツジュースが並ぶバイキング形式の朝食を異国を感じながら食べた。


観葉植物に囲まれて魚の彫刻が水を吹き上げているロビーの小さな噴水の前で、迎えを待っていた私たちの前に現れたのは、意外にも綺麗な大型観光バスだった。てっきり昨夜の送迎に使われたマイクロバスだろうと思っていたから驚いた。
同ツアーの他のお客たちはすでに乗っていて、私たちは最後尾のほうにまで進み両サイドに別れて座った。
ホーチミンのバイクの群れ
ホーチミン市内からメコン川の流れるミトへ向かって進む道中片時もカメラを放さず、車窓越しにたくさんシャッターを切った。とは言っても、残念ながらその全てがしっかりと撮れたわけではない……。
3時間ほどの道のりだったけれど、退屈することなく一睡もせず窓の外に流れる景色を楽しんだ。
ホーチミン市内の溢れるバイクの群れの間を走り抜け、中国と西欧の影響を受けた多種多様な宗教建築物が窓の外に見え、帽子屋さんやフランスパンの路上販売風景をいくつも通り過ぎ、中古バイク店や農業用トラクター店、彫刻店
にハンモック喫茶など次々と通過して家屋の数が減ってゆき、宮崎駿監督の映画作品にでも出てきそうな田園風景が広がっていった。
田圃には茶色の牛やアヒルが飼われている所もあり、その糞を肥料として土を活性化させているらしい。ホーチミンでは三耗作なのだそうだ。さすがは常夏。
実は、その田圃の中に驚くべきものがある。
それは、お墓。
田圃の中に立派な墓石のあるお墓がいくつも散在していた。畦道のような場所に固まっている所もあれば、田圃の中にあるお墓もあったりした。
ちなみに、土葬らしい……。( ̄  ̄;)

田圃に散在するお墓←点在しているのはお墓…


メコン川のクルーズ船が出ている場所で下車し、少しの休憩を挟んで、狭くて急な階段を船頭さんたちの手を借りて降り、20人乗り程の船に乗ってクルーズが始まった。
いつから置いてあったのか定かでない、上部を刳り抜いてストローが差し込まれたぬるいココナッツ椰子が1人に1つ配られた。途端に“デング熱”という単語が頭に浮かび上がり、それがひどく怪しげな飲み物に思えてきて、試しに一口飲んではみたものの味はさっぱりわからなかった。(^^ゞ
茶色く濁った大河を中洲を右手に見ながら進み、その中洲を回り込んで左手の細~い船着場に接岸した。
日程表にも記述はなくガイドさんも言っていなかったけれど、ガイドブックなどを見てみるに、おそらくタイソン島というメコンデルタにある島のうち一番大きな島だろうと思われる。
幅30cm程かと思われるそこを少しばかり脅えながら渡り、民家の間を抜けるようにして水溜まりのあるぬかるんだ道を歩いて辿り着いたのは、ハチミツ農家だった。


懐かしさを覚える扇風機やテレビの置かれた屋内を少し見せてもらったあと、家の前に張り出した屋根の下でハチミツ茶をいただいた。小さな円卓を囲んで無風の暑さの中熱いそれを飲み、
「これおいしいっ♪」
と感動していた私たちに、ベトナムの民族衣装であるアオザイを着た女の子が新たな飲み物を持ってやって来た。指で摘まんで持たなければならないくらい小さな緑色のガラスコップに、とろりとした茶色い液体を注ぐ。いったい何なのかわからなかったそれは、ものすごく濃度の高いアルコール。
感想は「かはっ、こほっ……熱っ」である。(笑)
味がどうのこうのと言える余裕などないほど、濃厚なアルコールだったのだ。一口どころか、ちびりと飲むのが精一杯だった。

こんな風に、優雅に(?)お茶休憩していたわけではない。私たちのテーブルのすぐ横にあった木箱で蜜蜂を飼っていて、その蜜蜂が激しく飛び交っていたのだ。
友達は飲みかけのハチミツ茶の中に入られてショックを受けていた。
キャーキャーと騒ぐ私たちを尻目に他の人たちは蜜蜂が傍に飛んでくる気配もないのか、静かにハチミツ茶を飲んでいた。
そればかりか、農家の男性が木箱から取り出したびっしりと蜜蜂がはりついて蠢く板に近づき、指を伸ばして蜜を嘗めたりまでしている人もいた。
す、すごい……。






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