月の旅人

月の旅人

バンコクへ移動編

バンコクへ移動編


数少ない空港内の免税店で、ドンを使い果たすためにお買い物。
私はお土産も全部買ったし荷物を増やしたくなたっかたから、何も買わなかった。残ったドンは、ドンが足りなくなった友達に使ってもらった。
その後免税店の前のベンチに座って搭乗を待っていたけれど、バンコクへ向かう便の時間が変更で遅くなり、搭乗場所も変更になった。場所を移動してベンチに座り待って入る間に、ホーチミンで買ってきてもらったパンを1コだけ食べた。
まさか、とは思ったけれど、やっぱり機内食が用意されていた。
またまた教訓。
“食事付きと日程表に書いてなくても飛行機に乗れば機内食が出る”
次に海外旅行するときには、失敗するまい。


この機内、今度は私が見知らぬ人と座った。
会話から察するに、私の横にいた人達は医師である。たぶん、息子さんだけが。父と息子の2人旅らしかった。息子さんは英語もペラペラのようである。さすがは医師。(←確かじゃないけど(笑))
客室乗務員のお姉さんに何かを話していた。
何か、を……。( -_-)フッ
機内食を食べ終えてすぐ、バンコクからホーチミンへ飛んだときと同じように入国カードと滞在登録書を渡され、記入。またしても到着までに書き上げることができなかった……。だって、静かに飛んでいるようで文字を書くには揺れが大きいし、またまた調べながら書かないといけなかったから時間がかかったのだ。
確かに言い訳だけど、言い訳したくなるんだよねぇ。
バンコク空港に到着し飛行機が止まっても他の3人は記入していたんだけれど、私の横で息子さんが、「隣の人が降りないと降りられないね」とお父さんに呟いているのが聞こえてしまい、何となく私はそれ以上記入することはできなくて降りるために荷物を肩にかけて立ち上がった。でも一人で降りるのも不安だし、3人の友達に書くのをやめて降りようと促す。
友達は最後まで書き切りたかったようだけれど、私も大いにそんな気持ち。
こういう時、隣の席に見知らぬ人がいるのはちょっと厭である。
ホーチミン到着時と同じく到着ロビーで残りを記入し、入国審査を終えて、荷物受け取り場所へ。


ここで、危うくトラブル発生。
友達のスーツケースが流れてこなかったのだ。3人の分はすぐに流れてきたのに。
一緒に預けたのに1つだけ欠けるなんて。
私たちはもちろん、当の本人が一番あせったことは言うまでもない。
もしかして隣のベルトコンベアに紛れてるかも、と望み薄ではあっても可能性を否定できず、見に行ってみた。でもやっぱりない。
30分近く待っただろうか。目の前を何度も、同じスーツケースが通過していった。
「あっ! あれやっ」
多大な不安を与えられたけれど、流れるスーツケースがまばらになった頃にようやく彼女のスーツケースが姿を見せた。思わず力が抜けそうになるほど、みんなでホッとした。


ツアー客の人たちを随分待たせてしまったと思いあわてて合流したのに、まだ2人、到着していない人が入るらしかった。しかも、ホテルまで案内してくれるガイドさんすら到着していなかったのだ。
それはどうかと思うぞ……。
それから10分以上待ってみたけれど2人の姿は見当たらない。ホーチミンで最後に合流した2人らしかった。
そのうちガイドさんがやって来た。背の高い40歳前後の男の人である。グレーのポロシャツを着て高価そうな大きな指輪をはめた裕福そうな感じの人だった。ちょっと『たまに行くならこんな店』の川野太郎に似ているかな。美木良介にも似てるかも。
結局待っても2人は現れず、私たちは観光バスに乗り込み先に行くことになった。
バスの中で翌日のツアーの説明を始めたガイドさん。
“話は人の目を見て”と学校で習ったことを素直に実践していたせいか、やけにガイドさんと目が合った。説明の合間に頷きがほしいそうな時は、特に。私はガイドさんの期待に応えて、始終頷き返していたものである。
さぞ説明し甲斐があったことだろう。(笑)


例によって私たち4人以外はデラックスなホテルで下車し、夜も12時を迎えようかという頃、ソル・ツイン・タワーズというホテルに到着。
ホテルの敷地内に京都銀行があるのを見つけ、妙に懐かしい感覚を覚えた。
ホテル・ソル・ツイン・タワーのロビー
3階分が吹き抜けになっている広々としたロビーには大きなシャンデリアが3つも下がり、すぐ横にあるバーでカーペンターズなどの英語のヒット曲を歌っている女の人の綺麗な歌声が流れ、中央には大きな花器に生けられた花を背にして囲むようにソファーが置かれ、フロントの上部(入口正面)には現国王夫妻の肖像画が金縁の額に収めて飾られていた。
「うわっ、豪華やなぁ。これでデラックスじゃないんやったら、デラックスはいったいどんなん?」
単純な私は、ついそんなことを口にしていた。(*..)ヾ
ガイドさんがフロントの前で私たちに翌日迎えに来る時間などを言って帰った後、受付で名前を書き終え、私たちは部屋の鍵をもらうために待っていた。とっても待っていた。ものすごく待っていた。
が、パソコンの画面を見ては言葉を交わし首を捻っているフロントの人たち。ついに「あちらのソファでお待ちください」と言われ、更に待つことになった。
この旅、なんだかやたらと待たされる。
その間にフロントで両替をした。どう考えてもこの後に両替所を探す時間も余裕もなさそうで、ホテルで両替をしなければバーツを手に入れることができそうになかったのだ。ほんとに困ったものである。
ツアーを組むとき、こういうところも配慮してもらえるととてもありがたいのに。


時計の針が真夜中をすっかり過ぎた頃、ようやく部屋の鍵と修正液で消されまくったルームナンバーが書かれたホテル内の案内カードをもらった。友達共々、もうかなりご立腹である。疲れたから一刻も早く眠りたい。
やっとのことで部屋に入る。
ホーチミンのボンセンホテルよりも広く、ビジネスデスクまで置いてある部屋だった。いや、そんなことはどうでもいい。明かりの点け方がさっぱりわからなかった。
入口のスイッチではバスルームとビジネスデスクの上に乗っているシェードランプしか点かないのだ。ベッドサイドやサイドボードの照明のスイッチを直接入れてみても、ちっとも点かない。
「どうなってんの!?」
友達と二人して苛立った。早く眠りたいんだっっっ。何と言っても翌日5時起きなのだ。迎えが早いのだ。疲れているんだっ。
そんな所へ、ホテルのスタッフがスーツケースを部屋に運んできてくれた。照明の点け方がわからないと言うと、彼が向かった場所はベッドサイドボード。2つのベッドの間に置かれたその上に、ランプと電話、そして何やら黒い機械が。そこにプッシュ式のスイッチが幾つもついていた。それが、照明を操作するものだったのだ。スタッフがぽぽぽんとスイッチを押すと次々に間接照明が灯り、部屋が明るくなった。
「ありがとうございました。サンキュ~」
と彼を送り出した後、「こんなんわかるわけないやんっ」とぼやいてしまった。

それでもやっぱり部屋のあちこちを写真に撮り、ビジネスデスク完備。でも暗い…先に譲ったお風呂に友達が入っている間に荷物を開けて着替えを出したりし、彼女が上がってくるまでの間ベッドに沈んだ。汗さえかいていなかったら、お風呂なんてもういいよ、と言いたくなるくらいにぐったりと疲れていたのだ。
その時、隣の部屋から友達がやって来た。
何かと思えば、部屋が間違っていると言う。もらった案内カードを見てみると、確かに入った部屋と自分たちの名前が違っていた。つまり、私たちが泊まる部屋は隣で、今やって来た友達たちがこちらの部屋なのである。名前を呼ばれて受け取っただけに、そんな間違いがあるなんて疑ってもみなかた。
でも今更部屋を変わるのも面倒だし、名前を呼ばれたときなどに返事を間違わなければいいか、ということになった。
そんな会話を交わしていたとき、扉を少しだけ開けてバスルームから友達が顔を覗かせた。
「なんか、呼んではる声がするよ」
「え、そう?」
全く何も聞こえなかった私は首を傾げたのだけれど、その直後、声は聞こえた。バスルームのほうから。
私たちの部屋にやって来た友達の名前を必死で呼んでいる声。
あわてて友達が部屋に戻っていった。
彼女がルームキーを入口のキー差し口から抜いて出て来たため、しばらくして部屋の照明が落ちたのだ。入浴中だった友達は真っ暗闇に取り残されたのである。
そりゃ、コワイ……。
旅行って、ほんとにいろんな事があるよねぇ。
そんな感想を抱いていた私が就寝したのは、午前2時になろうかという時間だった。
私は明日がコワイぞ……。




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