月の旅人

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オクトーバーフェスト(ビール祭り)

オクトーバーフェスト(ビール祭り)


午後6時少し前、ミュンヘンのホテル『パークホテル シュヴァービング』に到着。ヨーロッパらしい、ドイツらしいぬくもりを感じられる可愛い部屋を期待していたのだが、特に代わり映えのしないアメリカンスタイルのホテルだったため、ちょっとがっかり。
チェックインをして添乗員さんから鍵をもらい、3階の左端の部屋に入って室内と窓の外の風景をカメラに収めると、くつろぐ間もなく夕食に出かける時間となった。夕食はホテルではなく、オクトーバーフェストの行われている会場傍のビアホールで取ることになっ
ていたのだ。
集合時間より少し早くロビーに下りると、添乗員さんが外にもうバスが待っているから乗っていいと、ホテル横のバスまで案内してくれた。真っ白な車体で、ここまで乗ってきたバスとは違っていた。(ちなみにここまでのバスは、青と赤の横縞が車体に1本ずつ走っていた)
どちらもベンツマークがあることは同じだったが。
そう、さすがは本場のドイツだけあって、観光バスもベンツ製なのだ。とにかくベンツマークの車が多い。次いでBMWとアウディだ。日本でトヨタ車や日産車などが多いのと同じで国産車なのだから何の不思議もないところなのだろうが、車には疎い私でさえ高級車というイメージがあるだけにことあるごとに「おおっΣ( ̄ ̄ )」と目が行ってしまった。
バスも変わったが、ドライバーさんも変わっていた。観光バスにはいろいろ規定があるようで、翌日動かすまでにバスは8時間以上は休ませなければならないらしく、ドライバーさんは超過労働にもなるということで交代になったらしい。
おなかが頃良く減ったうえ昼食がおいしかっただけに夕食も期待してか、集合時間にはきちり全員がバスに乗車していた。

オリンピックの塔ホテルから40分ほどかけて、ビアホール『プショーケラー』に着いた。その間に、ミュンヘンオリンピックが行われた会場横を通過して『オリンピックの塔』を仰ぎ、BMWの本社ビル前も通過した。BMW本社は交差点の角にド~ンとそびえていたが、これといって社名が誇示されているわけでもなかったので、添乗員さんが教えてくれなかったら誰も気づかなかったに違いない。添乗員さんもつい言い遅れて、全員が車窓を振り返ってビルを眺めたほどだった。(^o^;
添乗員さんはプショーケラーに何度も訪れているらしく、入口から出てきた顔なじみのウェイターさんが「やあ! ○○じゃないか!」といったような親しげな口調で彼女とハイタッチを交わしていた。海外にも友達がほしいと思ったりしている私にとって、ちょっぴり羨ましい光景だったりした。
店内では生演奏が行われていて、奥のテーブル席にいた西欧人らしき人たちがすでに陽気に盛り上がっていた。彼らの国の唄らしき曲が演奏されると、それに合わせて合唱したりもしていた。
私たちが用意された席に着くとほとんど時を同じくして生演奏が終了し、それぞれの楽器を片づけて演奏者のおじさんたちが舞台を降りてしまった。
なぁんや、もう終わりかぁ。
ちょっと残念に思っていたら、おじさんたちが引き上げていったすぐあとに、白のフリルシャツに黄色の膝丈スカート、黒のエプロン、白のハイソックス、黒のサンダルという民族衣装っぽい出で立ちで金髪女性たちが5人登場した。そして4人がU字型のリースのようなものを手に踊り出し、1人はヨーデルのような歌い方でマイク片手に唄を歌い始めた。金髪美女たちに男性客は釘づけである。
そしてそのうち曲が変わり踊りが変わると、4人の踊り子たちはスカートが円になるほどクルクルと回転して白いパンツを丸見えにさせ、綺麗な足のラインを惜しげなく披露しながら踊り出した。ますます男性客たちは釘づけである。(笑)

そんな大胆な踊りが終わると、ようやくテーブルに置かれたビールやスープに目を落とす。思わず忘れてしまいそうになるが、ここには夕食を食べにやってきたのだ。ビールは、1杯は無料だと添乗員さんが言っていた。だから大した量じゃないんだろうと思っていたら、手のひらが全部入るくらいの取っ手がついた大型ジョッキにたっぷりと注がれていた。私たちはビールを頼まなかったので隣の人にちょっと持たせてもらったが、か弱い私には重くて片手では持ち上げられなかった。いや、マジで。( ..)ヾポリポリ
そのジョッキの大きさや、私たち姉妹の相席者が4人も一人旅だということで盛り上がっているとき、一眼レフカメラでそれぞれを写してくれた外国人女性がいた。何だろと思っていたら、しばらく後にその写真がキーホルダーとなって手渡され、テーブルに“1000円、$8、EURO8とメモ書きされた紙を置かれた。
「1000円もすんの!? プレゼントちゃうんや」
姉妹揃って同じようなことを口にした。富山から来たという隣の一人旅の女性も、
「1000円って、けっこういい値段するんやねぇ」
と同じ意見らしかった。
でもああだこうだと言いながらも、結局は「記念になるし、まぁいいかぁ」と購入した。
「おいしい商売してんなぁ」
と妹。(^-^; 確かに、購入する人はけっこういそうだし、いい稼ぎになるかもしれない。

ビアホールそんな間にもヨーデル風の唄を歌っていた女性が舞台の前に用意されたカウベルで数曲演奏してくれ、踊り子たちはまったりとそれに合わせてステップを踏んでいたが、そのうち聴き知った曲が聞こえてきた。『桜』だ。
「おおっ」と何人もの日本人が声を揃えて驚嘆し、手拍子が始まった。それでも誰も歌ったりしないところが、西欧人と違うところである……。
大小様々なカウベルで見事に演奏を終え、何事もなかったかのように次の曲に突入する彼女。私たちにとっては異国で桜を聴いたことは驚きだが、彼女にしてみれば毎晩のように演奏している曲の1つに過ぎないのだろう。
カウベル演奏が終わると再びヨーデル風の歌と踊り、そしてパンツ見せの大胆な踊りとなり、彼女たちの舞台は終了した。
と、思っていたのだが、彼女たちと入れ替わりに先刻の生演奏のおじさんたちが入場し、さらにまた入れ替わりに彼女たちが登場した。お店が終わるまで、ずっと繰り返しているのだろうか。大変だなぁ。

料理はというと、最初に出されたスープからして期待を大いに裏切られた。とにかく塩っ辛い。メインのソーセージも大しておいしくはなく、そのソーセージの下に敷かれていたキャベツの酢漬けもイマイチで、マッシュポテトも塩の味といった感じだった……。ほとんどの人が食べ残し、かなりもったいないことに。でも体が受け付けなかったんだから仕方がない。
誰かが言っていた。全部食べたら血圧が上がりそうだ、と。誰もが納得。
最後に出てきたデザートはアップルパイの生クリーム添え。少々甘過ぎる気もしたけど、それまでがしょっぱかったうえにほとんど食べていないだけに、これはほとんどの人が完食した。
一日で天と地ほど違う料理を味わい、ドイツ料理の評価に困惑する羽目になったことは言うまでもない。( ̄- ̄;)


食事を終えると、ビアホールの真ん前で行われていた『オクトーバーフェスト』の会場をたった15分だけ見学することになった。み…短い……。オクトーバーフェストの賑わいを体験できるとツアー表に書かれていたが、体験どころか本当に見るだけで終わりである。が、そんなことに負ける私たち姉妹ではない。少しでも“体験”してやろうという意気込みで会場に駆け込んだ。
ビール祭りというから至る所でいろいろな種類のビールを売っているのかと思ったら、お化け屋敷やメリーゴーランドなどの乗り物があったり、綿菓子を売っていたり、遊園地と何ら変わりがないように思えた。ただ、酔っ払いの数は老若男女かなりいたようだが。
互いに写真を撮り合ったり、腕を伸ばしてツーショット撮りをしていたら瞬く間に時間が過ぎ、50mも行かないうちに引き返すことになった。
そんな私たちの姿を、というより、デジカメを珍しそうに覗いていく人が幾人もいた。ドイツではまだデジカメは珍しい存在のようだ。
酔っ払いのかっこいい金髪青年に「わっ!!」と大声で驚かされたりしながら手を振り合い、懲りずにツーショット写真を撮っていたら、さっきも見たような気がするおじさんが私たちの横を通過していった。入口にもう10mほどに迫ったとき、今度はそのおじさんが立ち止まって私たちを見ているのに気づいた。
デジカメに興味津々のおじさん「あの人、最初のほうにデジカメ覗いてはった人やんなぁ」
なるほど。デジカメにものっすごく興味を引かれているわけか。ならばいっそのことってことで、そのおじさんに私たちの写真を撮ってもらうことにした。
嬉しそうにOKしてくれたおじさんにデジカメを渡し、「Just push the button」とボタン位置を指して教え、離れて立つ。おじさんはデジカメを眺め、液晶画面で構図をチェックしているらしく、なかなかボタンを押してくれなかった。そのうち、「No picture…」と困ったように液晶を指差して言うおじさん。
デジカメを眺め過ぎて消費電力モードが働いてしまい、液晶が消えてしまったらしい……。
2人しておじさんの元に駆け寄り、表示ボタンを押して再び離れる。そうして撮ってもらった写真は1枚ではなく2枚になっていたが、どちらもブレていた……。
ま、楽しかったし、おじさんも楽しんでくれたようなので良しとしよう。f(^^;)


これでホテルに帰り、長~い移動と観光を終えて、やっとシャワーを浴び、ベッドで眠ることができた。さすがに疲れて、夢も見ることなく爆睡。(_ _)Zzz


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