月の旅人

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東洋と西洋の交差点へ

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11日間もの長い海外旅行へ出るのも初めてなうえ、今回初めて関空特急はるかを利用せずにタクシー会社の空港送迎バスを利用した。スーツケースをゴロゴロと転がして移動しなくてもいいから便利だが、予約している他の乗客も拾っていくため時間がかかり、迎えの時間を7時過ぎである。10時までに関空に到着しなければいけない。間に合うのか不安だったが、同行者である友達のみきちゃんはいつも送迎バスを利用しているらしく余裕たっぷりだった。
そうそう、初めてといえばみきちゃんと旅行するのも初めてである。今年の1月にひょんなことから十数年ぶりに再会した、小学校、中学校の頃の同級生だ。
6月には韓国行きの話が出て7月にはギリシャ行きの話が出、漠然とトルコの話も出ていたのだがどれも実現せず、ネットでこのツアーを見ていたみきちゃんが誤って申し込みボタンをクリックしてくれたおかげで急遽実現した。(^o^)v
が、みきちゃんは前日に風邪を引き、一日寝込んでの出発となってしまった…。
送迎バスに乗り込んだ私に「風邪うつらんようにな」と言いながら咳をしていたみきちゃん。(^-^;
みきちゃんの次に私、そして祇園方面などへ行って4人を拾ったあと、高速に入って一路関空を目指した。


見事にちょうどいい時間帯に関空に到着し、かなりの風が吹く中スーツケースを受け取って代金を支払い、添乗員さんが待つ受付カウンターへと移動した。
今回の旅も年齢層が高く、卒業を控えた女子大生2人と私たちの他は50代以上ばかりらしい。73歳の人が最高齢で、しかもツアーの人数は39名だとか。事前にかかってきた添乗員さんからの電話でみきちゃんが聞き、それを知った私はかなり驚いたものである。
それでどんなベテラン添乗員さんが引率してくれるのかと思ったら、とっても若い人でまたもや驚いた。
39人も連れて行くなんて大変やのに、ようやらはるなぁ。( ̄- ̄)ほぉ~
感心しながらカウンターで添乗員さんに挨拶をして手続きを済ませ、スーツケースを預けて集合時間を待った。
ところが、時間になっても添乗員さんが集合場所へ来ない。集まった人が、どうしたんだろうと眉をひそめて受付カウンターのある方面を見やる。しばらくして駆けてきた添乗員さんが、「ちょっと遅れている方がおられますので、もう少しお待ちください」と申し訳なさそうに言った。
早々に遅刻する人がいるなんて、先が思いやられる……。(ーー;)
ぼやいてみても、なかなかその遅刻した人たちがやって来ない。こんなことで大丈夫なのかと不安になったが、時間どおりに集まった人に添乗員さんが「私の名前とこの顔を覚えてください」と自己紹介するとなぜか少し笑いが起こり、場が和んだところで軽い説明をしてくれた。そして遅刻の人は添乗員Oさんが待つことになり、私たちは各自で出国手続きを済ませた。


無事に全員が揃い、時間どおりシンガポール航空機に搭乗を終えてまもなく出発時間という頃、真ん中の3人掛けの席に座っていた私たちに右斜め前に座っていた添乗員Oさんが振り向いて言った。
「窓側の席に来ます?」
添乗員さんの右側の2つの席が空いていたのだ。私は即座に頷き、聞こえていなかったらしいみきちゃんにそれを伝えて席を移動する。添乗員さんもそのまま座っているのかと思ったが、私たちの席だったほうへと移動した。ところが荷物を移し終えてすぐ、自分たちの席はここだ、と日本人のカップルがやってきた。出発時間寸前だったため、もう誰も乗ってこないだろうと思っていたのだが……。
元の席に戻りながら、添乗員さんは何度も申し訳なさそうに謝ってくれた。
いえいえ、誰もがもうその場所は空席だと思ってましたよ、きっと。
というわけで、窓側席のチャンスをあえなく逃し、映画を見ようと決意した私たちだった。←大袈裟

機内食うな丼離陸して2時間ほどすると、昼食が運ばれてきた。ドイツ旅行の時に利用したキャセイパシフィック航空の時とメニューが似ていて、うなぎ丼とそばの登場である。それにゼリーかと思わせるようなビニールの蓋がついた容器の中にミネラルウォーターが入ったものや、北海道の六花亭のバターサンドのようなお菓子もついていた。
機内食のとてもおいしかったキャセイよりも人気のあるシンガポール航空だけに、期待して食べてみる。その期待を充分に満足させてくれる味だった。が、そばはキャセイの茶そばのほうがおいしかったな。(^^ゞ

沖縄上空を通過中、乱気流に突入。機内が一瞬悲鳴に包まれたほど急降下し、思わず足が浮き上がった。墜落するのかと、本気で心配してしまう。(××;) 心臓は激しくバクバクと脈打ち、思わず身構えて食べる手も止まった。
その後も少し揺れは続いたがそれ一度きりで再び急降下することなく、現地時間18時頃にシンガポールの空港に到着した。


客室乗務員の女性たちの民族衣装っぽい制服が可愛かったので、ほとんどの人が降りてしまうのを待ってから一緒に写真を撮ってもらった。と言っても、私たちの座席が後部だったため、それも容易なことだったのだが。それでも遅いことに変わりはないため、私たちが写真を撮ってもらったのを見て自分も頼むとお願いしていたおじさんをチラリと見ながら、駆け足でボーディング・ブリッジ(搭乗通路)を渡ってゲートを出る。
そして集合した全員を見、その人数の多さを実感した。多っっ!!Σ( ̄□ ̄;)
あまりに多くてなかなか顔を覚えられず、遅刻してきたのが誰で何人だったのかもわからなかった。
熱帯の国らしく椰子の木などが植えられた花壇があり、その傍でこの後の説明を受けていた私たちを、花壇前のベンチに腰掛けたいろいろな人種の外国人たちが物珍しそうに見ていて、やっぱりこの人数はかなり目立つよねぇ……。f(^^;)
と改めて思った。それに、人数が多いということはそれだけ添乗員さんから遠い人もいるわけで、添乗員さんは声を張り上げて頑張っていた。
声のとおりにくい人だったら、ツライ仕事だなぁ。
などという感想を抱いて添乗員さんを見る。白いシャツと黒のスーツに身を包み、茶色のショートの髪をした添乗員さんは、どう見ても20代半ばより前にしか見えない。でもとてもしっかりとしたその口調は慣れと自信を感じさせ、もう少し年上なのかとも思わせた。
そんな添乗員さんの説明が終わり、5時間後に再度同じ場所に集合となって解散した。
そう……乗り継ぎに5時間もの時間が空いているのだ。かなり長い。
かといって空港を出ることはツアー上でき兼ねるということで、免税店の並ぶ空港内をひたすらうろうろすることになった。


免税店の多い広い空港で、本当に良かった。“見てるだけ~”ショッピングだったが、かなりの時間を潰すことができた。
半ばまでショップを回った頃、荷物や手紙の郵送を受け付けているカウンターを通りかかった。ポストカードは至る所に置かれていたが、送るとなると切手がいる。旅をするとその国から自分宛てにポストカードを送ることにしているみきちゃんは、そこで切手を買うことにした。気が合うようで、実は私もいつも自分宛てにポストカードを送っている。そこでいくらの切手がいるのかが問題となった。
「シンガポールから日本までって、いくらかかるんやろう」
とりあえず訊いてみようと思ったが、何人かすでに外国人が並んでいて、順番を待つことになった。そのとき、
「同じツアーの人?」
と、鞄につけていた『trapics』の水色のタグを見て声をかけてきた人がいた。とても雰囲気のある、アウトドアっぽい出で立ちの笑顔のだんなさんと、丸顔でころんとした小さな可愛い奥さんだった。とても話し好きらしいそのMさんご夫妻とそこで話が盛り上がり、1ヶ月前に行った中国の話やイタリアやドイツなど、これまでの海外旅行の話を聞かせてもらった。だんなさんの野球帽には、国の形をしたイタリアの国旗バッジやコロッセオのバッジなどがつけてあった。その小さいバッジがお洒落で可愛い。
このご夫妻とは、トルコ旅行中何度も行動を共にするくらい仲良くなることに。今でも手紙や電話のやり取りをしている。本当に話題の尽きない楽しい2人だ。
結構立ち話をしたあと「それじゃあまた後で~(^o^)」と言って別れ、さて切手を…と思って振り返ると、先刻より並んでいる人が増えていた……。
時間もまだまだあることだし後でいいかということになり、その場を離れて再びショップ巡りを再開した。

漢方のお茶を試飲できるお店で一口試飲させてもらい、そのショップの先には搭乗ゲートしかないようなので引き返して、ここまでに通ったのと反対側の通路のショップを回る。
その途中、1人でゆっくりと歩いている添乗員さんに出会い、ひとことふたこと言葉を交わして別れた。が、
「添乗員さんに切手のこと訊いてもらおっか」
と提案した私にみきちゃんが頷き、すぐにその姿を追った。どこへ行ったのか見つからなくて諦めようとした頃、視界の端にその姿を捉え、駆け足で追いついて「Oさんっ」と呼び止めた。
一瞬何と呼ぼうか迷ったが、何となく親しくなれそうな雰囲気の人だったので「添乗員さん」ではなく名前で呼んでみた。
快く引き受けてくれた彼女は、「じゃあ私も1枚買っとこ」と言って郵送受付カウンターに向かう。流暢な英語でサラ~ッと訊いてくれて、瞬く間にそれぞれ1枚ずつ切手のゲットに成功した。

サッカーボールチェアその後またすぐにOさんと別行動し、ショップ巡りも予想より早く終わってしまい、小腹が空いたため食べるものを探し求めて歩いたが適当なものが見つからず、歩き疲れてサッカーやバスケットボール、テニスのボールを模した1人掛けソファの傍のベンチで集合時間近くまで座っていることにした。座ってみると思った以上に疲れていたようで、体がどっさりと重く感じた。飛行機に7時間乗ったうえ4時間ほどうろうろしていたのだから、そりゃあ疲労も溜まるというものだ。


時間になり、最初より少し大型の飛行機に搭乗して右の窓側の席に座る。みきちゃんの隣には同じツアーのちょっと上品な感じのするKさんご夫妻が通路を挟んで座った。このご夫妻ともあとで仲良くしてもらうのだが、やっぱりそういう人には最初から縁があったりするものなのだろうか。今も奥さんとはメル友だし、だんなさんとは京都観光も一緒にしたりした。
でもこのときはまだほとんど会話らしい会話も交わさず、夜食に出た長さ20cmくらいの大きなミルクパンのサンドイッチを食べたあとは疲れからひたすら眠り、瞬く間に7時間のフライトが終わって乗り継ぎ地ドバイに到着した。

ドバイは今度は中継のようなもので機内にそのまま残っていてもよかったらしいが、座りっぱなしというのもツライので降りることにした。ほとんどの人がトイレ休憩も兼ねて降りたのだが、搭乗通路から空港の通路へ出ると、そこには大行列ができていた。何事かと思えば、いちいち係員の人が搭乗券をチェックして出た人順に番号を書き込み、それと同じ番号のプレートを渡していたのだ。再搭乗するときに引き換えるらしい。
先に出ていた添乗員さんに搭乗時間まであと20分しかないと言われ、急いでトイレへ走る。それから登場口のある階下へ降りようとしたら、セキュリティチェックを行っていた。カーキ色の兵服のような制服を着た男性が金属探知機の前と後ろにいて厳しい顔で乗客を見、ベルトや時計まで外してチェックされた。ここまで厳しいチェックは初めてだ。
しかもみんな無言で、金属探知機を通ったあともその正面のカウンターの中にいかついおじさんが目を光らせていて、物々しい雰囲気だった。
ここまでテロ対策をしていたら、ちょっとやそっとじゃ外部から危険物を持ち込むなんてことはできないんじゃないだろうか。と、ちょっぴり安心感を高めた。(^_^ゞ

無事に免税店と搭乗ゲートの並ぶ階下へ降り、時間も迫っていたのですぐにゲートへと向かう。まだ中に入れないらしく、またもや列ができていた。
ドバイの空港はまだ建設されたばかりなのか床のタイルがまだ貼られていない箇所もあり、空港内も汚れひとつ見あたらない綺麗な建物だった。
あちこち見回していて気づいたことが1つ。イスラム教では20という数字が忌まれているのか、19番ゲートの次が21番ゲートになっていた。それともアラブ首長国連邦だけのことなのだろうか。
太くて高い柱の天井際には太陽の光の様子を模したような黄金のオブジェがつけられており、友達と2人それを見上げる構図で添乗員Oさんに写真を撮ってもらう。
それからまもなくゲート前に設置されたカウンターの仕切りが開けられ、入場が始まった。これがまたなかなか進まない。乗客の持っているプレートと手元にある搭乗券の番号を1枚1枚確認して交換しているのだ。なんだか、要領が悪い。(-_-;)

待合室に入ったら入ったで、搭乗時間を過ぎてもちっとも搭乗が始まらない。
「遅いですね~」
座る椅子がなくて立ったままだった私は、目の前に座っていたKさんご夫妻とあれこれ話しながら言う。
「外国はみんな時間にルーズなんだよ」
と、だんなさんが苦笑いした。
こんなに疲れたのにまだ飛行機に乗るのかとか、機内泊で往復2泊分浮かしてるから旅行代金が安かったんだと溜め息をついたりとか、ホテルも期待はできないだとか、疲れのせいかマイナス思考になりまくりの話題を交わしていると(^-^;、ようやく搭乗が開始された。すでに20分遅れである……。
最終的に40分近くも遅れての出発となった。


ドバイからトルコのイスタンブールまでは4時間のフライトである。
夜食に出たサンドイッチはおいしかったがかなりこってりしていたため、朝食はほとんど食べられなかった。それにさらに現地に着いてからレストランでも朝食が待っていたのだ。座りっぱなしなのに、本当に食べてばっかりだ。(^o^;
添乗員Oさんが現地で朝食が出ることをあらかじめ言っていたがそれを聞き逃した人もいるようで、Kさんご夫妻も「また食べるの!?」とかなり驚いていた。(笑)


あれほど出発が遅れたのに、たった2分だけの遅れでイスタンブールに到着。なんで?( ̄- ̄;)
かなり飛ばしたんだろうか。それとも出発の遅れも計算済みの時刻表?
何はともあれ、時間どおりに到着できたのだから素晴らしい。良かった良かった。
空港で入国審査を受けたあと、Oさんが人数確認を始めた。39人もいるためなかなかうまく数えられないらしく、困っている彼女を見たお客さんの1人が提案した。
床のタイルの升目に5列ずつ並んでもらえば数えやすい、と。
なるほど!
ってことで、さっそく実行。みんな楽しそうに整列する。
「あれ!? 1人足りひんっ」
Oさんがあわてた。ちょうど他のツアーの日本人団体が一緒に降りたため、その人たちに紛れてついて行ってしまったらしい。誰がいないのかと互いの同行者を見てみるが、しっかりいるようだ。そこで、一人旅で参加しているおじさんがいないと判明した。
誰かと一緒ならまだしも、1人でそこにいるのが違う人たちだと気づいたら心細いだろうと、しみじみ誰かが呟いていた。本当にそのとおりだと思った。←迷子経験者の感想f(^^;)
Oさんが名前を呼んでみるがそのツアーの人たちはとっくに先へ行ってしまって聞こえないようで、周囲からも返事がない。
仕方なくOさんはまず38人を手荷物受取所まで案内し、両替所の位置を教え、各自のスーツケースがあるかをチェックしてもらっている間におじさんを探しに行った。それからは自分の荷物確認と両替で手一杯だったが、おじさんは無事に見つかったようだ。

さて、きっと混乱するとは言われていたが、トルコリラの“0”の多さには本当に困った。5000円分を両替したのだが、手渡されたトルコリラは7000万トルコリラ。Σ( ̄- ̄ )
それが合っているのかどうかもよくわからず、誰もが計算機を取り出してレシートと金額を見比べてチェックしていた。ゼロを取って計算しないと、携帯用の小っこい計算機などでは桁が足りない始末。計算に計算を重ね、みきちゃんも私も端数が切られていることに気づいた。
「なっΣ( ̄ ̄ )、足りひんやんっ」
すぐに両替所の窓口で訊ねてみる。すると、細かい金額過ぎて両替は無理だと言う。
てっきりお札しか置いてなくて小銭のトルコリラには両替できないと言われているのかと思っていたが、あとで日本円にしても10円にも満たない金額であったことが判明した。
案の定“0”の数に振り回されていたわけである。
ケチケチした日本人だと呆れられたかなぁ。(;ーー)ヾ
そうじゃないね~んっ!! ←叫び(笑)



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