月の旅人

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温泉リゾートホテル満喫

温泉リゾートホテル満喫




10分ほどでホテル『ポラット サーマル パムッカレ』に到着。
Bグレードくらいのホテルらしいが、ロビーに入るなり「すっご~い♪」とつい口に出してしまうくらい素敵なホテルだった。アイアン製の足の籐の椅子が置かれていたり、トルコ絨毯が敷かれていたり、アジアンチックなランプが置かれていたり、スズランを下げたようなシャンデリアの下には小さいながら水辺が作られていたりして、かなり雰囲気のある内装である。なんとレストランへと繋がる階段は、まるで宝塚歌劇団の大階段のように照明がつけられて光っていた。( ̄ ̄*)
各棟へ部屋の割り当てや明日の出発時間などの説明で10分ほど待ち、その間にエフェソス遺跡で転んだ私を助け起こしてくれたおばさんの1人Kさんが消毒薬の“マキロン”を貸してくれた。それからそれぞれの部屋へと向かう。客室は2階建ての棟が幾つにも分かれていて、本館を出て屋外の常夜灯のみの暗い大理石の道を通って割り当てられた棟へ行き、途中からついて来ていた猫と共に階段をあがった。階段の半ばで猫とは別れ、2階に着いて右折れした突き当たりが私たちの部屋だった。
さてどんな部屋だろうと期待しつつ、みきちゃんがドアに鍵を入れる。が、とんだ所に落とし穴があった。鍵が開かない……。くるくると鍵が空回りして、いっこうに開く気配がない。私が代わって挑戦してみたが結果は同じだった。他の部屋の人も何人も苦戦している人がいて、あちこちでガチャガチャと音を立てている。(笑)
「開きませんねぇf^_^;)」
近くの部屋の人と互いにそんなことを言い合っていたが、そうこうしているうちにも無事に部屋へ入れる人が続出。それなのに、私たちは奮闘の甲斐なくまだ外にいた……。
「開かな~いっっ~(>_<。)~」
叫ぶ私たちに、同じ棟の同じ階に部屋が決まったらしいEさんが助けに来てくれて、私たちの部屋の鍵を受け取る。そして、私たちが間抜けに思えるほど難無くドアを開けてしまった。
「えっ!?Σ( ̄□ ̄;)」
驚く私たちに、Eさんはコツがあるのだと言って再びドアを閉め、少しドアを引きながら鍵を回せば開くと教えてみきちゃんに鍵を渡した。その通りにやると、ちょっと空回りしたもののちゃんと開いた。Σ( ̄- ̄;)おっ

やっとのことで部屋に入る。オレンジ色がかった間接照明に照らし出された室内は、入ってすぐ左に荷物置き場があり、その横にクローゼットがあり、その向かい側にバスルームがあった。そこを進むと鏡台が左手に設置され、右にベッドが2つ並んだカントリー風の部屋だった。本館から想像してアジアンスタイルの部屋だろうかと思っていたが、予想は大きく外れた。
メルヘンなんだかカントリーなんだか洒落てるんだかダサイんだか判断のし兼ねる同柄のカーテンとベッドシーツに「この柄はいったい……」と2人して呟きを洩らし、また写真撮影に励む。


ホテル入口借りたマキロンで膝の傷口を消毒してから部屋を出て、本館へ戻った。夕食までまだ30分以上ある。まずは外観を撮っておこうとロビーを横切り、外に出てみる。そこでふと足元に目をやり、ぽつんと1つ、リュックサックが自動ドアの横に置き忘れてあるのを見つけた。どうやら忘れ物らしい。いくら安全な国と言えども、このまま放置しておくのは危ない気がする。そこで、フロントに届けることにした。
日本語のわかるスタッフが誰一人いないためちょっと苦労したが、なんとか忘れ物であることが伝わり預かってもらえた。
今思ったが、この物騒な世の中、もしかして爆弾……ということもあり得たわけだよね……。親切が仇にならなくて良かった。(; ̄o ̄)=Эホッ
その後、館内で写真スポットを探して互いに写り合いながら撮った。そのうちまたカメラマンらしき青年が現れ私たちに場所を指定しては写真を撮っていたが、カメラマンなら腕はいいだろうとにやり( ̄ー ̄)とした私たちは、デジカメを渡して1枚撮ってもらうことにした。
フロント前にトルコ建国の父アタチュルクの大きな肖像が壁にかけられた前に籐の応接セットが置いてあり、左右に分かれて座って撮ってもらう。シンメトリーで、まあまあいい構図である。デジカメは初めて触るらしいカメラマンはこれまでに撮影を頼んだ人たちと同様に液晶画面が消えてしまうまであれこれと見ていて、「No picture」とやっぱり同様の言葉と困惑顔を私たちに向けた。(^_^;) そこで液晶画面の表示ボタンを押しに彼の傍へ行き、再び椅子に座って構える。今度はちゃんとシャッターを押すことに成功し、手渡されたデジカメを3人で覗き込んで画像チェックをすると、素人と大差ない写真がしっかり撮れていた。(笑)
記念にカメラマンも一緒に撮ろうと、やけに不機嫌そうな中国人風の背の高いおじさんに頼み、人工の水辺の縁に腰掛けて撮ってもらった。確認するとけっこうぶれていたが、あまりに不機嫌そうなおじさんにもう一度お願いする度胸がなく、「ま、これでいっか」とみきちゃんと頷き合う。小心者の2人である。(笑)

宝塚階段(←ちゃっかり命名(笑))でも撮り客室棟への通路へと戻る。あまりに暗いため写真などとても無理だったが、幽玄のように浮かび上がる大理石の通路だけは撮っておいた。別館に客室のあるホテルに泊まるなんて初めてのことだったため、一応記念ということで。それから通路を横に逸れて足元の見えない数段の階段を下り、屋外プールのある場所に出る。そこには火山があった。当然ながら人工火山である。ライトアップされたその山頂からお湯が噴出しているらしく、湯気があがっていた。
ホテルはその場所から見るとまるでクリスマスの電飾でも点けたかのように装飾されていて、闇に浮かび上がっていた。ちょうど宝塚階段がガラス越しに見え、幻想的な雰囲気を醸し出している。その光もプールサイドの端のほうに立つと完全には届かず、夜空を見上げてみると、そこには満天の星空が広がっていた。
「なぁなぁ! あれ天の川ちゃう!?Σ( ̄ ̄*)」
みきちゃんに上を見るよう促し、2人ともくらりと倒れそうになるくらいに精一杯上を向いて星の帯を凝視する。
「あれ、天の川やんなぁ? 川みたいになってるもんなぁ?」
ホテルの明かりが邪魔をしてくっきりと見えるわけではなかったため、自信なさげにみきちゃんの同意を求めた。天の川らしき帯は、ちょうど私たちの頭上を縦に通っていた。ホテルの明かりがせめてもう少し控えめだったら、もっとはっきり見ることができただろうにと思うと、少し残念。でも、そうそう肉眼で見ることなどない天の川を見ることができて、幸せだったなぁ♪
実は私、月や星は長時間見ていてもなかなか飽きない人なので。(*_ _)ヾ

どうやら温泉らしい人工火山下の溜め池の横を抜け、プールの見える窓の横にある本館へのドアを開け、中に入る。フロント横の通路を通ってロビーに戻ると、ちょうどフロント横にあるポスターに見入っているツアーの人がいた。私たちも一緒になって見ると、プールやトルコ式蒸し風呂のハマムの料金などが書かれていた。プールはどこにあるんだろうと言うおじさんに、私たちが得意げに指差して教える。もちろん屋外プールと火山温泉も教えてあげた。どうやら食後に入ってみることにしたらしい。
ふと見ると客室棟の方角からこちらへ歩いてくるMさん夫妻とOさんと目が合い、3人とも歩み寄ってきてポスターを見、Mさんの奥さんとみきちゃんは一緒にプールとハマムへ行こうと頷きあった。2人とも用意のいいことに水着を持参しているのだ。Oさんも楽しそうだから自分も一緒にと言って笑った。
そのあとMさんの奥さんがシャンデリアの下の椅子に座ってだんなさんに写真を撮ってもらおうとしたため、すでに撮影済みだった私たちが撮ったデジカメの画像を見せて綺麗に見える角度を教えてあげると、奥さんは大喜びでだんなさんに指示をして同じ角度で撮ってもらっていた。ほんと、可愛いおばさんだなぁ。(*^o^*)
宝塚階段それから水辺に作られたごつごつとした岩場に本物のカメを見つけ、みきちゃんが掌に乗せたりOさんとつついたりしているところを撮ったり、改めて宝塚階段で“手乗り人間”などとおもしろ写真を撮って遊んだ。その画像をチェックするとOさんは大うけして爆笑し、おなかを抱えて「おもしろい!」を連発していた。そこまで楽しんでもらえるとこちらまで嬉しくなる。
もう完全に、私たちは友達だった。Oさんはいつの間にか私たちを名字で呼ばなくなっていたし、もちろん3人とも敬語なんてどこへやら、である。
トルコ旅行、参加してほんとに良かった♪


8時過ぎ、宝塚階段を上がってレストランへ。けっこう広く、白と桃色で2重に布がかけられた円卓がホールいっぱいに並んでいる。椅子にも白い布がかけてあり、背面に緑のリボンが縛ってあった。私たちのツアー以外に西洋人たちも奥の窓辺に陣取っていて、レストランはすでに賑わっていた。私たちのツアーは入口近くに席が用意されていて、適当に席に着く。
そこでそれまで撮った写真をデジカメの画面に映して確認していたら、ウェイターさんが興味津々といった様子で覗き込んで、しばらくずっと飽きずに私の後ろに立っていた。
料理は、入口左にビュッフェ形式で並んでいた。料理の種類も豊富だが、デザートまで豊富だった。期待してしまう気もするし、また甘々で困惑する羽目に陥るような気もして、微妙な視線をデザート郡に送りつつ料理をお皿に盛る。なかなかにおいしいそれらの料理を席で頬張っていると、先刻のカメラマンがやってきて食べている人たちに次々と声をかけて写真を撮り始めた。もちろん私たちも。いい写真が撮れているんだろうか?
最後にデザートにも挑戦してみたが、見かけのおいしそうな感じにまんまと騙され、やっぱりあまりの甘さに辟易することになった。シロップに漬けずに、普通にスポンジケーキとして出してくれればいいよ……てな感じだった。
おいしいデザートに飢えてきたぞ。(笑)


食後、予定通りにプールへと向かった。
ぽよぽよとした太めのおじさんと年齢不詳の男の人が受付にいて、ジェスチャーと片言英語でプールとハマムに入ることを伝え、受付のすぐ隣にある更衣室で着替えていざプールへ。Mさんのだんなさんと私はカメラマンに徹し、だんなさんはビデオカメラで奥さんの姿を追い、私はデジカメで2人をとにかく撮りまくり、その中から写りのいいのをセレクトした。
Mさん夫妻は毎日フォーキングしているだけでなく水泳もしているらしく、私たち以外人の見当たらないプールで奥さんはクロールを披露してくれた。
Oさんも来ることになっていたが、水着を持っていないため断念したらしく、ちょっとだけ顔を覗かせて帰っていった。
火山温泉そしてせっかくだからと外へ出て、人工の火山温泉にも入浴した2人。そこはぬるぬるとして気持ち悪かったようだ。お湯もかなりぬるく、石灰が多く混じっているようで白濁していた。でも火山の傍に寄ると1人か2人しか入れないくらいの囲いが別にあり、熱いお湯が溜まっていたようだ。みきちゃんはそこにもしっかりと入っていた。
それからハマムを利用するため、太めのおじさんに連れられてプール脇の階段を上がっていくみきちゃんについていく。Mさんのだんなさんも入ろうかと思い始めたようだが、水着を持ってきていないからと言って迷っていた。
Mさん夫妻を受付に残して先に2階のハマムへ到着すると、すでに先客がいた。夕食前にフロント横のポスターを見ていたおじさんだった。ドアを開けた途端にむわぁ~っと湿気に押し寄せられて怯みかけた私だったが踏み止まり、床から膝の高さくらいに1段高くなった大理石の台の上に仰向けに寝かせられたみきちゃんをササッと撮影して初ハマム記念写真を終え、「んじゃ、先に部屋戻ってるわ」と手を振ってドアを閉め、階段を下りる。
熱気と蒸気でデジカメが心配になったが、かなり短時間だったため無事のようだった。

受付に戻るとMさんのだんなさんが受付の男の人に、水着を持っていないがトランクスでもいいのかとしきりに説明していた。何とか理解できたらしい男の人が「OK」と言ったが、もし間違った解釈をされてのOKだったらいけないと思ったMさんが改めて確認を取る。何度も「OK」「No problem」と返事をもらってようやく納得した慎重派のMさんは、貴重品も入ってるから、とポケットのたくさんついたアウトドア用のベストとウェストポーチを奥さんと私に預け、更衣室へ着替えに入った。
トランクスに水色のバスタオルを巻いて出てきたあと、再度トランクスを見せて「これでOK?」と確認していた。かなり不安だったようだ。(笑)
そして受付の人に案内されてついていく夫妻とそこで別れ、1人で部屋へ戻った。


開けられるかなぁ……。
とっても心配だった部屋のドアの鍵開けに、まんまと足止めされることになった。
仔猫大理石の通路からついてきていた仔猫が私の足元にちんまりと座り、「ドアが開いたら一緒に入れて♪」という声がありありと聞こえてきそうな視線で私を見上げ、ドアに擦り寄る。風邪でも引いているのか何度も何度もくしゃみをしている様子がかわいそうだったけど、さすがに部屋には入れないほうがいいかな……、と思い、仔猫の前に回りこんで進路を塞ぐようにしながらドアの鍵と格闘した。
が、Eさんに教えられたとおりにやってみても開かない。仔猫が何度も「まだ?」と言いたげに見上げてくる。座る位置も何度か変え、そしてとうとう「もういいわ……」ってな愛想をつかした背中を向けて去っていってしまった。ヾ( ̄- ̄∥)お~い
「どんくさいよね……ごめんよぅ……私も早よ入りたいねん……」
思わず独り言を洩らしながらさらに奮闘していると、誰かが階段を上がってくる足を音が聞こえた。みきちゃんか? と期待したが、Eさんだった。こちらにはまったく気づいた様子もなく反対側の通路のほうへ行ってしまう。そしてすぐに鍵が開きドアの閉まる音が虚しく聞こえた。Σ( ̄ ̄;)あ…
助けてもらったら良かったかなぁ。でもまた開かないとは言いにくい……。
Eさんがあんまりにも簡単に鍵を開ける様子を思い出し、何が何でも開けてやるっ、と改めて闘志を燃やす。←大袈裟(笑)
そして、鍵と格闘を始めてから30分近く経った頃。←こんなにかかった…( -_-)フッ
カチャッ!
念願の音が耳に届き、ドアが内側へ押し開いた。
「やった!!ヽ(^^*)ノヽ(*^^)ノわぁいわぁい♪」
思わず万歳と両手を挙げてしまってから辺りを見回す。誰も見ていない。o(^。^)ほっ
でも30分もドアを開けるのに悪戦苦闘していたら誰でもオーバーに喜んでしまうんじゃ?
……そんな状況になることがまずないだろうけど。(笑)


帰ってきたみきちゃんに『鍵開け奮闘記』を語り、みきちゃんからハマム体験談を聞いた。
ハマムへ案内してくれた太めのおじさんがそのままみきちゃんの担当となり、バケツに石鹸をぶくぶくに泡立て、みきちゃんの体を撫で回したのだそうな……。
テレビで見たり聞いたりしたハマムは体が痛いくらいに擦られ、垢がボロボロと出たりするという印象があったため、さぞ赤くなって帰ってくるんだろうと思っていたみきちゃんだったが、違う意味で赤くなったようである。f^_^;) みきちゃんも納得がいかないとしきりに言っていた。
そんな太めのおじさんと2人きりにされてはたまらないと、先客だったツアーのおじさんに懇願し最後まで一緒にいてもらったのだそうな。
お互い、大変な時間だったんだねぇ。(笑)

みきちゃんが帰ってきたため安心して外に出て、また充電器を貸してあげた。おばあさん姉妹の部屋は私たちの部屋の1つ手前だったが、もう寝てるかなぁ……、と思いつつノックしてみるとすぐにドアが開いて妹さんが出てきた。すでに寝る準備は万端で部屋の明かりも暗くしてあり、嬉しそうに充電器を受け取った妹さんに「おやすみなさい」と言って部屋に戻る。
中からみきちゃんに開けてもらい、私たちも順番にシャワーを済ませて眠りについた。
いろいろと、中身の濃い一日だったな。( ̄- ̄*)



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