が、テーマが『受難』だけに、シンプルなほうが人々に考えさせる効果を生み出させるのだろうか。どう思っているのか、ちょっとガウディに訊いてみたい。
受難のファサードの彫刻は、反時計回りにイエス・キリストの受難の物語が表現されている。正面の女性が持っている布にある頭部はキリストを表していて、どの角度から見てもこちらを見ているように彫られている。ちょっと怖い……。
中は、まさに建設現場だった。あちらこちらに足場が組まれている。そして植物の茎に似せた柱が林立し、先は枝を張るように天井に広がっていた。
立ち止まってゆったりと聖堂内を見回している大勢の人々の間を3人で小走りに通り抜け、何をそんなに急いでるんだ? というような視線を時折受けながら降誕のファサードへ出た。塔へ登るエレベーターを探す。それはすぐに左手に見つかり、ファサードの柱をすでに100年以上も頑張って支えているカメを逃さず激写してから(笑)エレベーターの列に並んだ。
6人乗りの小さな手動のエレベーターに偶然にも日本人のカップルと一緒に5人で乗り込み、上昇中に運転士のやさしげなお兄さんに2ユーロを支払う。壁にエレベーターと階段の案内図があり、お兄さんがそれを示しながら、
橋を渡って、違う塔からさらに上ってみる。そして最上部の渡り橋に到着し、「高っ!!Σ( ̄- ̄;)」「すご~い♪」とそれぞれに言いながら、眼下に広がるバルセロナの街を眺めやった。
塔の最上部に登ることができて幸せ気分に浸りつつ、集合時間が迫っているため今度は急いで下る。くるくるくるくると。目が回りそうになりながらも何度か立ち止まっては塔内の写真を撮り、ここにいつか鐘が吊るされるのかぁ、などと未来に思いを馳せてみる。
金属のパイプ手すりがつけられているが、ガウディの天才ぶりはそんな手すりは必要ないのではと思わせるほどのものだった。渦巻きの内側にある盛り上がりが、手すりの役目をちゃんと果たしているのだ。見るだけだと低過ぎて手すりの役目を果たさないように思えるが、実際に持って下りてみるとこれがなんともしっくりくることに驚く。高さもぴったり!Σ( ̄□ ̄*)おおっ♪
彫刻のモデルになっているのはガウディが散歩中などに「おっ、いい顔だ」と思ったバルセロナの市民で、赤ん坊を殺戮する兵士のモデルには近所の食堂のウェイターが選ばれたそうだ。
ちなみに、ファサードにある3つの入口は『信仰』と『希望』と『慈愛』を表している。
ガウディは塔を建てるときにどういう形にすればもっとも自然なのかを考え、重力を目に見える形にしようとし、その結果紐におもりをぶら下げて塔の形に曲げてみた。すると重力と天井の力がつり合った形ができあがり、その天地を逆にして石を積み上げれば、構造の上でも自然で、重力にも逆らわないという理想の形になったのだ。
私が買ったのは右の写真の置物。振ると下に沈んでいる飾りが浮遊して雪のように舞い、とても綺麗なのだ。そもそも『降誕のファサード』はつららをイメージして作られている箇所もあり、ガウディも気に入りそうな置物だなぁ、なんて勝手に思って選んだものだ。f^_^*)