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2012.02.16
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鬼の棲む街2





 トゥレディオの酒場 <10> 




 女は、イルプシマも 『たそがれの港』 も知らないらしく、つまらなそうに、ふーん、とうなずいて見せてから言った。
 「あたしは、エメラよ。 ここの女の子たちはみんなあたしを、エメラねえさん、というふうに呼ぶわ。 この朝霧の街で生まれて、この界隈で遊びながら育った、ちゃきちゃきの土地っ子なの。 ほかの町のことはよく知らないわ。 あたしが行ったことがあるのは、この街の近辺と、首都 『水の都』 だけよ。 18歳の時、女友達と2人で 『水の都』 に仮住まいしていたことがあって、トゥレディオとはそこで知り合ったの。 トゥレディオは 『水の都』 の人だったんだけど、3人で食事をしたりお芝居を見に行ったりしているうちに、あたし、トゥレディオとすっかり意気投合して、2人で朝霧の街にこのお店を出すことに決めたのよ。 それ以来ずっとトゥレディオといっしょにこの店を切り盛りしてるの。 結婚はしてないけど一緒に暮らしてる、事実上の夫婦だわね」

 それからエメラは、ずらりと並んだドレスの山を指さして言った。
 「あのドレスも、靴も、アクセサリーも、みんな、トゥレディオがあたしに買ってくれたものなの。 今でもあの人、週に2枚ずつあたしに新しいドレスを作ってくれるのよ。 だからこんなに溜まっちゃった。 人にあげたりして一生懸命減らそうとしてるんだけど、増えるいっぽうだわ。 ルドゥア、あんたも、気に入ったのがあったらどんどん持って行って。 好きなのを選んでいいのよ」

 ルドゥアは、エメラの話に度肝を抜かれて、ただ目を白黒させるばかりだった。
 この人は、生まれも育ちも何もかも自分とは違う、この上なく幸運な、まさに女王そのものの人生を送ってきた人なんだ、と、ため息が出るばかり。

 ぼうっとしてしまったルドゥアに、エメラがおかしそうに言った。
 「ああ、そうだわね、選べといっても、あんたみたいな山猿ちゃんには、どのドレスがどうなのかわからないかもしれない。 じゃ、あたしが選んであげるわ」

 エメラが始めに選び出したのは、赤いシルクのドレスだった。


 次にエメラが選んだのは、大きな羽根飾りのついた、虹色に輝くドレスだった。
 「もっと目立ちたい時は、こういう大きな飾りのついたドレスを着るのよ。 そして、あっちのテーブル、こっちのテーブルと、蝶のようにめまぐるしく飛び回るの。 客は、きっとあの娘は超売れっ子なんだと思って、そうするとどうしても自分のテーブルに長く置いておきたくなるの。 きっと、チップをうんとはずんでくれるわ」

 その次にルドゥアの前にふわりと投げ出されたのは、目にしみるような鮮やかな青の、スリムなドレス。
 「大人っぽく見せたければ、こういう、体の腺がよく見えるドレスを着るといいわ。 ちょっと勇気がいるわよ。 ほら、スリットがこんなに深いの。 大股で歩いたら太ももがころりと出ちゃうわ。 下品に見えるから、じゅうぶん気をつけて、おしとやかに歩くのよ。 こういうのを品よく着こなせるように練習したら、一流になれるわ」

 それから、胸元に大きなリボンのついた、鮮やかなオレンジ色のミニドレス。
 「でも、時にはこんな少女っぽいのもいいわね。 本物の子どもが大人のフリをするのは人の笑いを誘うだけだけど、本物の女は、本物の少女より少女っぽく見せることもできるものよ。 これを着て上手に甘えることができたら、本気であんたにプロポーズする金持ちの坊ちゃんも現われるかもしれないわよ」






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最終更新日  2012.02.16 18:41:08
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