突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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鬼の棲む街2





 トゥレディオの酒場 <11> 




 こうしてエメラは、ただ茫然と立ちすくむルドゥアの前に、美しいドレスを次から次へと積み上げ、ルドゥアの前にはとうとう、小さなドレスの山が出来上がった。

 そして最後にエメラは、妖艶な黒いレースのドレスを手に取り、ルドゥアの顔とじっくり見比べて言った。
 「これはあんたには似合わないわね。 このドレスを着るには、あと10年、この世界で辛抱しなきゃ。 今のあんたがこれを着たら、安っぽい子どもの娼婦みたいで見てらんないわ。 これはあげない」

 それからさらにエメラは数枚のドレスを無造作に積み上げ、さらに、それぞれのドレスにあわせた靴やアクセサリーなどの小物を丹念に選び出して、ドレスの山のわきに積み重ねてから、ようやく、ひと仕事終えたというように、椅子に腰を下ろして笑った。
 「とりあえずこれだけのドレスがあれば、当座の間には合うでしょう。 女子更衣室の中にあんた専用のロッカーをあげるから、その中にしまっておきなさい。 ドレスが増えてロッカーに入りきれなくなったら、人にあげるか売るかして処分しなさいね。 着古したドレスをいつまでも着てたりしちゃだめよ」

 ルドゥアは、今もらった夢のようなドレスの山と、それを惜しげもなくくれるエメラの気前の良さとに、すっかり感激して、目を潤ませながらこの美しい年上の女性を見上げた。
 「ありがとうございます! エメラねえさん! こんなにまでしていただいて、あたし、なんてお礼を言っていいか・・・!」

 だがエメラは、その、綺麗に紅を引いた唇をゆがめるようにしてひねくれた笑いを浮かべ、ルドゥアの感謝の言葉をさえぎった。
 「あら、勘違いしないでよ。 あたし何も、あんたのためにドレスをあげたわけじゃないわ。 このドレスは、あんたの商売道具だから、商売用に支給したまでよ。 あんたには、このドレスやアクセサリーを使ってせいぜい着飾って、うんと女を磨いて、鼻の下を長くした客からお金を吸い上げてもらうつもりだからなの。 そうやって、この店を儲けさせてちょうだい。 それがあたしの望み。 たかがドレスのことぐらいであたしに恩義を感じる必要はないから、そのかわりここで存分に稼ぎまくってちょうだい。 客からチップをしこたま巻き上げたら、その10倍のお金を店の中で使わせてちょうだい。 そのためなら、ドレスでも宝石でも香水でも何でも、ここにあるものは遠慮しないでどんどん使いなさい。 わからないことがあれば、なんでもあたしに聞いて、そして、うんといい女になってちょうだい。 あたしはもう花の盛りは過ぎたけど、あんたはこれからが花よ。 あんたはきっと、この店でナンバーワンの売れっ子になるわ。 あたしにはわかるの。 あんたはそういう、花のある顔をしているのよ。 あたしの代わりに今度はあんたがこの店を大きくしてちょうだい。 頼むわよ」


 目の前の、この尊敬すべき女性の生き方こそ、今まで自分がずっと捜し求めていた目標そのものだと思った。
 ルドゥアは、偶然にも、新しい職場としてこのような優れた女性のいる、 『トゥレディオの酒場』 を選んだことを幸運に思い、小さく武者震いしながら、エメラの、静かな情熱を秘めた黒い瞳を真っ直ぐに見上げた。
 「わかりました。 あたし、エメラねえさんの期待を裏切らないように、一生懸命頑張ります!」 






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最終更新日  2012.02.17 18:56:20
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Re:鬼の住む街 23(02/17)  
ルドゥアは、なんだかボクの予想と違って、良き出会いに恵まれたみたいですね・・・

なんか、ルドゥアの物語に酔っちゃったみたい。ちょっと個人的な話、聞いてくれます?

ボクは、高校生の頃から東京と九州を行き来してて、夢が生まれ、やがて中野区にアパートを借りて、頑張った。けれど夢の第一志望は残骸となり、九州へ戻った・・・でも、東京でのいろんな人との出会いが宝物となっていた。

今でも、年賀状のやりとりをしているのですよ、事件簿に登場する今では善良な都民となった、あの連中と^^

いつの間にか、彼らとの出会いが、ボクの中に夢の第2志望を、長い時間をかけて熟成させてくれていた事に気づいた。
それが小説を書くということだったのです。

すごくいい奴らでしょう?
遠く離れてしまった東京だけれど、ボクの胸の中には、彼らとの思い出が、いっぱいに詰まった、かけがえの無い宝石箱が、鍵をかけないままで居座ってくれていたんです。

すいません^^こんな話し、でも、ルドゥアのおかげで彼らとの出会いがどれほど大切なものだったかを教えてくれたんです。

いつか、この話し、事件簿のラストに書いてみようと思います。

長々とすいません、ランクリして帰ります(^-^) (2013.01.08 02:45:39)

マトリックスさま、ありがとうございます! そして、ごめんなさいっ!  
マトリックスさま、

コメントいただいていることにも気づかず、
お返事もせず、たいへん失礼をいたしました。
ごめんなさいっ!

それにもかかわらず、このように嬉しいコメントをいただきまして、
もう、胸がいっぱいです。


>なんか、ルドゥアの物語に酔っちゃったみたい。

ううう、なんと嬉しいお言葉でしょうか!
マトリックスさまの、しなやかではずむような思い出
(それは本当に、マトリックスさまが作品に描かれた世界そのままですよね♪)
に、こうしてじかに触れることが出来て、
今日は感動してしまいました・‥…━━━☆

マトリックスさまの事件簿に登場なさる
はずむようなパワーみなぎるお友達のエピソード。
それを拝読している時、実は私も、
東京の学校に通っていた青春真っ只中の時代の
(今思えば赤面冷や汗の)友達との思い出あれこれを重ね合わせて、
懐かしく心温まる時間を過ごさせていただいていました。


>遠く離れてしまった東京だけれど、ボクの胸の中には、彼らとの思い出が、いっぱいに詰まった、かけがえの無い宝石箱が、鍵をかけないままで居座ってくれていたんです。

時を経て、こんなふうに輝き続ける思い出をたくさん残してくれる、
そして今も特別な存在でい続けてくれるお友達、
とてもすてき!
そして、その思い出をゆっくり熟成させて
物語にまで磨き上げ、つむぎあげる
マトリックスさまの感性のみずみずしさと
肌理細やかな描写力、ユーモラスな語り口は、
さらに、比類なく得がたい宝物だと思います。


>いつか、この話し、事件簿のラストに書いてみようと思います。

おおっ!
ぜひぜひ!
楽しみにしています!!!

(2013.01.08 20:29:49)

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