理不尽な暴力を振るわれた事がある。
それは中学 1 年の時の理科の授業の時だった。
実験でなんかスチールウールを燃やすと化学反応を起こして酸化鉄に変化するみたいな事をやってる時の話。そろそろ中学校生活にも慣れ始め、小学生の時のお調子者、落ち着きのなさにさらに拍車がかかりどうしようも無い奴だった俺。
理科の担当の中川先生は見るからに優しさが滲み出てる様な先生で、俺が入部したバスケ部の顧問でもあり、もう 1 人の滝本先生が鬼の様に怖い先生やったから中川先生は仏の様なイメージやった。まさかそんな人から理不尽な暴力を振るわれるなんて、その時は思いもしなかったよ。
実験が始まる。
4 人 1 組になり、それぞれにスチールウールが配られる。真ん中に置かれたアルコールランプに火が灯され、ピンセットみたいなんでスチールウールを摘み火をつける。するとスチールウールがフワッと燃えて真っ黒になる。これが酸化鉄だと … しょ〜もな。と、内心思いながら教室を見渡すと、周りの奴等は「おっ〜!」とか言いながらテンション上がってる。何気に他のグループにちょっかいをかけながら教室をフラフラと歩いていると、1つスチールウールが落ちている。まぁ先生が落としたんやなと当たり前の様に拾い、当たり前の様に先生に渡しに行く。
「先生、これ落ちてた。」と俺が言い終わる前に …
パ〜ンッ!!
と同時に痛み。
思いっきりビンタされる。
はぁ?
キ〜ンってなってる耳に飛び込んで来る先生の怒鳴る声「ええ格好すなっ!!」 ……
ええ格好すな?
落ちてたスチールウールを拾う。
先生に渡す。
ええ格好すな
…
訳分からんやんけ。
もう一回考える。
拾う。
渡す。
ええ格好すな…やっぱり分からん。
人のイメージってのは時に残酷なもんだ。普段からお調子者で落ち着きのない、クラスを賑やかしてる俺が目障りやったのか鬱陶しかったのか。理由はどうであれ、そこに理不尽な暴力があったのは確かだ。当時何も言えんかったし、無論殴り返す事なんか出来る訳もない。まさに泣き寝入りとはこの事だと思ったね。
そこから中学卒業するまで、授業でもクラブでも中川先生と話した記憶はほぼない。僅かながらの俺なりの抵抗と言うか反発やったのかも知れない。
その日家に帰り、親父にその話をすると「お前が悪い。」とバッサリやられる。やっぱ大人って奴は理不尽だ。
その夜部屋で聞いた THE BLUE HEARTS の「チューイングガムをかみながら」がやけに胸に染みたのを覚えてる。