サービス・マネジメント

サービスM

サービス・マネジメント
カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ 著



感想:
1988年に発売され、全米で50万部を売り上げたという『サービス・マネジメント革命』リニューアル版。著者によれば、コアとなる内容は初版と大きく変えておらず、事例を新しくしたものであるとのことだ。訳のせいもあってか、すこし読みづらい印象も受けるが、内容としては、サービスという言葉の意味を再定義し、すべての企業はサービス企業であり、顧客志向でなくてはならないという観点から、有形無形の垣根を越えたサービス提供における、マネジメントの重要性を説いている。
企業と顧客とのあらゆる接点において、サービスは2つの意味をもつ。①企業が顧客に約束し、顧客が企業に期待するサービス、そして、②企業が顧客に対して、付加価値を与える意味でのサービスの2つである。前者は、それが約束どおり提供されなければ、顧客は裏切られた、騙されたと思い、その企業と2度と関わりたくないと思う。後者に関しては、特にそれが提供されなかったとしても、顧客はとくに怒りもしないが、それが提供された際には、顧客は期待以上の対応にうれしい驚きを覚え、その顧客がリピーターになる確率はきわめて高い。本書では、前者を「ありきたりのサービス」と呼びながらも、実際にはそれさえ実現できていない企業が驚くほど多いことを指摘すると同時に、後者のサービスをうまくマネジメントすることで、高い顧客ロイヤリティを獲得している優良企業についても紹介している。
当然ながら、サービスの基本は顧客志向である。顧客が必要としないサービスをいくら充実させたところで、それは顧客満足につながることもなければ、企業にとっての競争優位にもならない。本書では、優れたサービスを提供している企業が常に顧客の声に耳を傾けながら、真に顧客が必要とするサービスを提供していること、そして、それを持続的に行なうことで、他の企業に対する競争優位を獲得していることを紹介している。当たり前のことなのだが、顧客を知らなければサービスはできない。だが、ほとんどの企業にとってそれがむずかしく、そのため、本書の存在する価値はまだまだ大きいといえるだろう。


点数:
おすすめ度   ★★★☆☆
わかりやすさ  ★★★☆☆
役立ち度    ★★★☆☆



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