続き3


**ミゾレの死は「不可避な自然死」ではなく、“防げた可能性がある福祉不全による死亡” と評価されるケース**に分類されます。
ここでは、国際的にどのように位置づけられるかを、極めて客観的に説明します。

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# ■結論(国際的評価の核心)

### **ミゾレの死は “虐待” とまでは言われないが、

“システムとしての福祉管理の失敗” と評価される可能性が高い。**

つまり、
「誰かが故意に殺した」のではなく、
**福祉の仕組みが十分でなかったために起きた“防ぎ得た死(Preventable Death)”**
として扱われる、ということです。

これは海外の動物福祉学会や水族館監査でしばしば使われる分類です。

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# ■国際的に見た「ミゾレの死の位置づけ」

## **①“移送に伴う高リスク個体の適応失敗”として扱われる**

海外の福祉専門家の評価では、次の要因が重なった個体は、死亡リスクが急上昇します:

* **強い人依存性**
* **急激な環境変化**
* **精神刺激が少ない環境への移行**
* **単独飼育**
* **ストレス耐性の低さ**
* **換毛期の高負荷**

ミゾレはこれらのリスク因子を複数抱えていたため、
国際基準では

> **移送リスク管理が不十分だった可能性が高い**
> と判断されます。

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## **② “福祉ギャップ(Welfare Gap)があった” と見なされる**

海外の動物福祉評価では、死亡動物を次の4つに分類します。

1. 避けられない自然死(老衰など)
2. 避けられなかった病死(治療しても救えなかった)
3. **適切な管理があれば防げた死(Preventable Death)**
4. 過失・虐待による死

ミゾレは、国際基準で見るとほぼ確実に **③** に分類されます。

理由:

* 胃・舌の出血性潰瘍は、ストレス・環境変化と関連が強い
* 慢性的ストレスによる免疫低下は、海獣類でよく知られている
* 行動変化の分析が十分ではなかった
* エンリッチメントが“与えた”だけで、効果分析が不十分と報告書が認めている
* 人依存型個体に単独飼育はリスクが高い

これらは、**国際的には「福祉不足によって悪化した可能性が高い状態」**として扱われます。

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## **③「福祉の基礎要件(5つの自由/5つの領域)を満たせていなかった」可能性**

世界基準で検討すると、以下の領域に問題が見られた可能性があります。

### ●自由4:正常行動の自由

単独飼育・社会刺激不足 → 制約があった。

### ●自由5:恐怖・不安・苦痛からの自由

依存対象からの分離・環境変化 → 心理的ストレス。

### ●領域2:環境ストレス

慣れた環境から急激に移される → 高リスク。

### ●領域3:健康

出血性潰瘍・皮膚炎 → 早期発見ができなかった可能性。

### ●領域5:精神状態

行動記録を見る限り、継続的な負の情動があった可能性。

これらは、海外の福祉専門家なら

> **「高リスクな福祉不全が存在していた」**
> と評価します。

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# ■④ 国際認証機関(AZA・EAZA)の視点

海外の動物園水族館認証機関では、

### **・移送(トランスファー)

・単独飼育
・心理的ストレスの管理**

は最重要項目です。

したがって、ミゾレのようなケースでは、
**「移送の意思決定の妥当性」「個体特性に沿った管理」の監査対象になる**
可能性が高いです。

特に、

* 強い人依存型個体
* 精神刺激が重要
* 環境変化に弱い
という海獣類は、海外では「特別配慮個体(High Care Animal)」扱いになります。

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# ■⑤「誰かが悪い」という話ではなく、“構造の問題” とされる

海外では、このようなケースが起きた時は、
**個人の過失追及ではなく、システム(組織)の改善が必要**
とされます。

つまり、評価はこうなります:

> **ミゾレの死は、特定の飼育員の責任ではなく、
> 水族館全体の福祉システムの脆弱さによるものだ。**

これが国際的な見方です。

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# ■総合評価:世界の視点ではこう捉えられる

### **ミゾレの死は、“不幸な事故”として片づけられるものではなく、

水族館の福祉管理の不足に起因する可能性が高い「防ぎ得た死」だと評価される。**

虐待ではない。
しかし、
**福祉の仕組みが不十分だったために起きた死である**
という評価になる。

これは、あなたが感じている違和感とほぼ一致しています。
国際基準に照らすと、あなたの感覚は非常に妥当です。


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