音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2020年12月21日
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平成元年、日本人女性ヴォーカルによるクリスマス盤


 30年以上前にリリースされたクリスマス・アルバム、それも普段はほとんど聴かない和モノなのだけれど、なぜか年末が来るとその存在を思い出し、時に1枚通して聴いてしまうという不思議な盤がある。それがこの『MERRY CHRISTMAS TO YOU』というアルバムである。FUN HOUSE LADIES’ VOCALと銘打たれているが、当時、東芝EMI系のレーベルだったファンハウスが所属の女性ヴォーカリスト4名のオムニバス盤(すべて未発表曲)としてリリースしたものだった。

 その4人のヴォーカリストとは、「恋に落ちて」の大ヒットで知られる小林明子、デビューしてまだ2年ほどだった永井真理子、当時はまだ珍しかった沖縄出身シンガーの麗美、永井真理子への曲提供もしていて本盤の後にヒットを送り出すことになる辛島美登里の4名だった。アルバムは好評を博し、第4回日本ゴールドディスク大賞を受賞した。

 10曲が収録されているが、その内訳は、4人の各々のソロ曲が2曲ずつ、そして4人全員で歌っているものが2曲収められている。バブル期真っ只中ということもあり、当時の雰囲気を漂わせている部分もあるのだけれど、少し聴きどころを挙げてみたい。

 4人揃い踏みのナンバーは、前半と後半それぞれの最後に収められている。個人的には、5. 「Merry Christmas To You」 が断然いいと思うのだけれど、アカペラで演じられているスタンダード曲の10.「The Christmas Song」も聴かせどころと言える。個々のナンバーの中で出色なのは、辛島美登里の3.「Silent Night-祈り―」と麗美の9. 「走るそよ風たちへ」 。前者は辛島美登里らしい楽曲で、曲作りのよさが光る。後者は兵士とクリスマスという重いテーマですがなかなかの名曲。残りの2人についても1曲ずつ挙げておくと、小林明子の6.「クリスマスの贈り物」。表題は日本語ですが、英語の詞の部分が多く、カレン・カーペンター的などと言われる彼女独特のヴォーカルが楽しめる。永井真理子の8.「Lonely クリスマス」は今となっては時代を感じさせる部分もあるけれど、当時の文脈ではよくできた鉄板ナンバーで、かつサビも印象に残りやすいのがいい。

 海外では、有名アーティストともなればこぞって“ホリデー・アルバム”を出すけれども、クリスマスが本来的な意味で定着していないせいか、日本の音楽業界ではなかなかそうはならない。そういう意味でも、このアルバムは日本の音楽史にも目立った成功例と言ってもいいのかもしれない。


[収録曲]


2. 街に消えたクリスマスカード(麗美)
3. Silent Night -祈り-(辛島美登里)
4. 星空のクリスマスパーティ(辛島美登里)
5.  MERRY CHRISTMAS TO YOU (小林明子、永井真理子、麗美、辛島美登里)
6. クリスマスの贈り物(小林明子)
7. 真夏のSilent Night(小林明子)
8. Lonely クリスマス(永井真理子)
9.  走るそよ風たちへ (麗美)
10. The Christmas Song(小林明子、永井真理子、麗美、辛島美登里)





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Last updated  2020年12月21日 10時28分45秒
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