彼は少し疲れていた。
この世界のどこにも彼の希望を見つけ出すことができないでいた。
流行く時間に嫌悪の念を抱きながらも
彼にはこの世界を否定することさえ嘘のように思えた。
全ては生がもたらす矛盾と真実との競合がまねいた不条理。
存在しうるはず自分さえ漆黒の闇に閉ざされ
架空の自分が織り成した世界に生きている。
切なる願いは闇に消え、一瞬の煌きを放っては聖者を装い
ありとあらゆる物を闇の色に塗りかえる。
彼はふと思う。
「これが俺の運命か?」
生への希望が闇に消された彼には
運命はその謙虚な態度とは背反した事象を投げかけたのだ。
全ては彼の思いが作り出した幻想にすぎない。
生への純粋な思いを描こう
命が運ぶもの・・・
それが
運命なのだから・・・