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2005/06/30
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カテゴリ: 徒然
昔オートバイで旅をしていた頃、走行中に時々不思議な錯覚に見舞われることがあった。



今オートバイで走っている自分の肉体は既に現世の物ではなくて、魂だけが肉体が滅んだことを知らずにただ走り続けているような感覚。或いは自分の肉体を置き去りにして、その遥か前方を魂が疾走している感覚。



これらは「ライダーズ・ハイ」と呼ばれるような類のものだと思っていた。つまり蓄積された疲労からくる脳内麻薬の分泌が見せるある種の危険信号なのだと。



オートバイを降りた今でも僕は時々幻を見る。主に仕事で身体が疲れ切った時なのだが、それ以外にもフトしたことがきっかけで自分の肉体が今いる場所とは違う世界に運ばれたように感じることがある。今いる場所じゃないどこか。それは昔訪れたことがある土地もあればまだ見ぬ場所(或いは忘れてしまったどこか)のときもある。でも、どれにも共通しているのがその錯覚の最中の僕はなんともいえぬ安らぎを感じていることだ。



それは幸せな旅の記憶と繋がっているからなのかもしれない。僕の旅の記憶を紐解く鍵はa:空の色b:雲の形c:空気の匂いの三つにほぼ凝縮されている。この中のどれかが記憶の中の旅と結びついて、一瞬であるにせよ僕を「旅人」へと回帰させるのだろう。



しかしそれらが僕に与えるものはいつも安らぎばかりとは限らない。現に先日起きた錯覚は僕にほんの少し恐怖を感じさせた。



僕は外で仕事の後片付けをしていたのだが一瞬の眩暈と共に自分が違う世界の人間になってしまったような錯覚を覚えた。違う場所、違う服装で同じような作業をしている僕。見上げた空の景色も全然違う。色は同じく夕暮れのブルーなのだが頭上にはクレーターが剥き出しの巨大な星が浮かんでいるのだ。当たり前のように星を見上げている幻の僕の思考は現実の僕のものに取って代わり急に恐ろしさがこみ上げてきた。

幻覚は一瞬で終わり、僕はすぐに元いた世界に戻ってきたけれどその時感じた不安は中々拭えなかった。もしかすると僕の住む世界とどこか別の世界が繋がっていて一瞬それが混線してしまったのでは?と。



映画のストーリーじゃないけれど別の世界にもやはり「僕」がいてその世界の「僕」は一体どんな暮らしを送っているのだろう?などととりとめもなく考えた挙句、最後に浮かんだ疑問が一番僕を畏れさせた。










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Last updated  2005/06/30 09:40:25 PM
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