私は、この作品を、名盤"Eric Dolphy at The Five Spot"への続くドルフィー音楽の軌跡として聴いている。ドルフィーはファイブ・スポットで繰り広げる壮絶なソロの原型が既に現われているが、衝き上げる何かが不足している感じだ。ひとつはフレディー・ハバードの能天気な演奏だ。ドルフィーのような生真面目系ジャズマンにハッタリ度の高いトランペッターはミスマッチなのだ。地を這うバスクラにキラキラ輝くトランペットでは可愛そうだ。ここはドロドロ系のブッカー・リトルやテッド・カーソンがお似合いなのである。もうひとつはリズムセクションである。ジャッキ・バイアードのピアノとロイ・ヘインズのドラムはかなり良い人選だったのだが、それ以上に衝き上げ度が高いのがファイブスポットでのマル・ウォルドロン&エド・ブラックウェルというドロドロ度の高いリズムセクションだったのだろう。ファイブスポットでの切羽詰まったギリギリ感はこの作品ではあまり感じられない。
この作品も良い演奏ばかりだが、特に感動的なのが"Gad to Be Unhappy"でのドルフィーのフルート演奏だ。ただテーマを吹いているだけでも胸にグッと来る。