ジャズの神様の思し召しのままに

ジャズの神様の思し召しのままに

2008年01月14日
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テーマ: Jazz(2004)
カテゴリ: ★★★★
ネイサン・デイビスのCDはどうしてこんなに早く市場から消えてしまうのだろう。このCDも既に廃盤であり、入手困難(それでも今なら探せば入手できる)となってしまった。これから中古市場でプレミア付きで出回るのだろうが、大枚はたいて購入するほどの価値のある内容ではない。B級はB級価格で買ってこそ価値があるのであり、B級ものをA級価格で購入して喜んでいるのは愚の骨頂である。

とは言え、このディスクはB級的魅力満載の愛すべきB級盤であることは間違いない。まずは2曲目の"Spring Can Really Hang You Up The Most"でのワンホーンでの歌いっぷりである。この曲は透明感のある歌い方をする人が多い中、ネイサンは何とも雑味いっぱいの歌いっぷりで、逆に新鮮な感銘を受けてしまうのだ。だからこそ、ピアノ(何故かオルガン奏者のラリー・ヤングが弾いている)ソロでのベースの掛け合いに美しさを感じてしまうという、逆説的効果も期待できるだろう

B級的魅力その2は、ネイサンのオリジナル作品である。"Evolution"という不気味なワルツはいつまでもメロディーが耳に残る強烈な印象がある。ただし、この曲もウディ・ショウのゾルタンのテーマに美味しいところを持って行かれてしままっていて、全体の中ではあまり目立たないのだが、そんな点もB級な所以か。それ以上にB級度に貢献しているのが、1曲目の"The Flute in The Blues"だろう。このディスクを試聴した人の8割がこの1曲でズッコケて購入を断念したのではないかと思われるほど、あからさまにコッパズカシイ曲なのである。この曲さえなければ売れたはずなのに、わざわざ1曲目に持ってくるところがB級盤愛好家の中での評価を高めていると思われる。

魅力その3は参加メンバーの面白さだろう。ウディ・ショウを参加させて時点でハード作品に仕上がることは間違いないのだが、そこに何故か、オルガンのラリー・ラングがピアノで参加という面白さ。更にはジミー・ウディを参加させてリズムをかっちりまとめているところが憎い。ただし、作品全体のコンセプトがよく分からないところが何ともB級的な感じで良いのではないか。期待して聴くほどの作品ではないかもしれないが、期待しないで聴くとガツンと来る作品と言えるだろう。

猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)

Nathan Davis / Happy Girl (SABA)
Happy Girl

1. The Flute in The Blues
2. Spring Can Really Hang You Up The Most
3. Happy Girl
4. Evolution

6. Along Came Byrd
7. Mister E.

Nathan Davis(ts,ss,fl), Woody Shaw(tp), Larry Young(p)
Jimmy Woode(b), Billy Brooks(ds)
Recorded January 31, 1965





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最終更新日  2008年02月16日 19時07分50秒
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