とは言え、このディスクはB級的魅力満載の愛すべきB級盤であることは間違いない。まずは2曲目の"Spring Can Really Hang You Up The Most"でのワンホーンでの歌いっぷりである。この曲は透明感のある歌い方をする人が多い中、ネイサンは何とも雑味いっぱいの歌いっぷりで、逆に新鮮な感銘を受けてしまうのだ。だからこそ、ピアノ(何故かオルガン奏者のラリー・ヤングが弾いている)ソロでのベースの掛け合いに美しさを感じてしまうという、逆説的効果も期待できるだろう
B級的魅力その2は、ネイサンのオリジナル作品である。"Evolution"という不気味なワルツはいつまでもメロディーが耳に残る強烈な印象がある。ただし、この曲もウディ・ショウのゾルタンのテーマに美味しいところを持って行かれてしままっていて、全体の中ではあまり目立たないのだが、そんな点もB級な所以か。それ以上にB級度に貢献しているのが、1曲目の"The Flute in The Blues"だろう。このディスクを試聴した人の8割がこの1曲でズッコケて購入を断念したのではないかと思われるほど、あからさまにコッパズカシイ曲なのである。この曲さえなければ売れたはずなのに、わざわざ1曲目に持ってくるところがB級盤愛好家の中での評価を高めていると思われる。