このCDを購入した理由を推測してみると、思いつく点が2つある。ひとつはライリー・マリンズ(ムリンズ?)というトランペッターを聴いてみたかったという理由。普段は懐メロばかり聴いている猫麻呂でも、若手の元気なトランペットは、とりあえずは聴いてみようと思っているのだ。もうひとつはホレス・シルバーの珍しい曲を取り上げている点。一時期はホレス・シルバー・クインテットのメンバーだったルイス・ヘイズがこの曲を取り上げたところが面白いではないか。なるほど、これなら猫麻呂氏が無意識に買っても不思議ではない。
まずは、ライリー・マリンズについての感想から。最初に聴いたときは、派手な演奏スタイルに大喜びしてしまった。とにかくハイノートでキュイーンと吹かれると「参りましたー!」な気分になってしまうのがトランペット吹きの哀しい性なのである。しかし、しばらくすると、マリンズが細かいパッセージを吹き切れていなかったり、何箇所かで音程を外していることが分かってきた。まぁ、そんな細かいことは別に気にしないし、F.ハバードみたいなもんだと思えば許容範囲だろう。それ以上に気になったのは、このCDでのマリンズには大人の色気が感じられない点だ。色気を知性と読み替えても良いだろう。リー・モーガンにしろハバードにしろ、ガムシャラかつ下品に吹いていながらもどこかクールな感覚があって、そこにオトナの音楽を感じるのである。マリンズの場合、ギラギラした音色やハイノートといった技術面での魅力は感じるものの、猫麻呂的には音楽的な共感が得られなかった。このCDだけでマリンズを論じることはできないが、少なくとも、このCDでは「ややガッカリ」だったのである。でも、マリンズの音は凄いですよ!
次はホレス・シルバー関連の話だが、よく聴いてみると、このCDにはシルバーの "Further Explorations"
から3曲も取り上げているではないか。"Pyramid"と"Safari"はシルバーのオリジナル曲なので理由は明白だが、スタンダードの"Ill Wind"を取り上げたところが"Further Explorations"へのオマージュとしてのこだわりなのかもしれない。シルバーの"Further Explorations"は、以前に猫麻呂ブログで書いたように、アート・ファーマー的世界をシルバーが描いた作品だと思うのだが、その"Further Explorations"をシルバー的世界として再演したのが、ルイス・ヘイズのこの作品なのではないだろうか?特に、"Pyramid"のテーマ部でのリズムセクションの動きは、オリジナルの"Further Explorations"よりも効果的で、いかにもホレス・シルバー・クインテットらしいサウンドなのである。(本家よりもそれっぽい。)
ルイス・ヘイズは、本作品の後にキャノンボール・レガシーバンドでの作品"Maximum Firepower (Savant)"を世に出すことになるのだが、ホレス・シルバーやキャノンボール・アダレイのバンドを支えてきたヘイズの功績を改めて実感した。できるものならば、ヘイズが元気にドラムを叩いている姿をライブで見てみたいものだ。(今でも現役で活躍されているのかなぁ・・・?)
猫麻呂ポイント:★★★★(4.0)
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