ぼくの細道・つれづれ草

ぼくの細道・つれづれ草

2009.10.19
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   坂の上に雲はあったろうか
   はたまた一面の青空だったのだろうか

   坂の両側はスダジイの樹林
   葉群れが視界の仰角を閉ざし
   妄想だけを自由に泳がせた

   椿原天満宮を横手に見て
   徘徊の始まりはその西側を左折した
   馬坂だった


   なにせ九十九折の坂のこと
   上下にかたぶき
   左右に折れ違う町外れのラビリンスは
   座標の軸すら定かではない

   その昔
   草刈場を往来する馬が通った道だとか
   だが待てよ
   いったいその草刈場は
   坂の上にあったのか?
   坂の下にあったのか?
   誰が確かめたのか

   浅野川畔に草刈場?
   坂の上方に広がる小立野台地
   小立野台地に草刈場?

   その昔
   流刑地五箇山で

   馬の背に運ばせた煙硝の道が
   この坂の上の草刈場をよぎったとすれば
   きっと藩の密命を帯びた忍者たちも
   草刈場に出没し
   暗闇にまぎれて馬坂を駆け抜けたに違いない

   いまやさしげに流れる女川
   だが待てよ
   浅野川の対岸には
   そのかみ
   被差別部落があったのらしい
   山の民・川の民・無宿者の梁山泊だったとすれば
   かの浅草弾右衛門の舎弟も居たりして・・・

   妄想は果てもない

   坂の中途に
   一体の地蔵尊がおわす
   地蔵は菩薩の体現でもあり
   修羅の体現でもあるのだから
   お供えの大関のワンカップは
   何を意味することになるのか
   千羽鶴は何の祈りの化身なのか
   坂は仏心の道なのか
   修羅の道なのか

   も一度
   坂を右に折れて
   登りきった古さびた寺院に
   何故か俵屋宗達の墓碑がある
   おどろおどろしく
   風神雷神も
   鰤起しの季節に乗って
   坂の上を天駆けるとしても不思議ではないが・・・

   いまはただ
   鳥も通わぬ
   空間と時間の結界に
   踏み迷ったようだ













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Last updated  2009.10.19 14:38:18
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