アオイネイロ

February 25, 2013
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カテゴリ: 黒日記
目が覚めてから、私は今日やるべきことを頭の中で反芻した。
書類を出しに行って、図書館に本を返しに行って
そう、あと夕飯を作ろう。
やるべきことの順序を決めて、着替えを済ませると外へと出た。
ここ最近使われることが増えた自転車をこぎながら、まずは図書館へと向かう。
空は晴天、けれど風は冷たく、自転車で移動すると耳がじんじんと痛くなってくる。
また返しに来なくてはならないことを考えると、今日は本を借りる気にはなれず、返却ポストに数冊の絵本を押し込んで再び自転車にまたがった。

さあ、書類だ。
いそいそと目的の場所に向かい、軽い挨拶を済ませ書類を手渡す。

最近できたパン屋の前を通り過ぎれば焼き立ての小麦の香りが鼻孔をくすぐる。

そんな時、ふと目に入ったのは「あいすくりーむ工房」の文字が踊る看板。
さあどうしようかと束の間考えて、けれどたまには良いかなんて自分に甘い私が自転車を止めた。
丁度同じように店内に入っていく女性二人を尻目に、私もいそいそと中へ入る。
店内は静かで、女性客と私しかいない。
フレーバーの並ぶボックスを覗きこみ、少し考えた後レジに向かう。
そう種類が多くなければ、決めるのは早い。カウンターで目当てのものを注文してお金を渡す。
「コーンでよろしいですか?」という店員の問いに「カップで」と返した。さくさくのワッフルコーンなら好きだが、それ以外のものならアイスの味だけで楽しみたい。
少しして出てきたのは、カップに入ったイチゴミルクとブルーベリーのジェラート。
それを受け取って、店内をぐるりと見渡した後外へ出る。
少し寒そうだけれど、日向ぼっこでもしながら食べたい気分だった。


時折ひゅうっと吹きぬけていく風が冬の寂しさを匂わせて、なのに振り注いでくる日差しはうららかで春を感じさせる暖かさだった。
ゆったりと微睡みながら、ジェラートを口に運ぶ。冷たい甘みが口いっぱいに広がって、思わず笑みを浮かべた。
ここの店は、隣に牧場がある。ちょいと覗けば牛の姿を見ることだってできるのだ。そんな新鮮なミルクを使ったここのアイスは、勿論美味しい。
滅多に入ることはないが、たまにはこうしてのんびりするのも悪くないなんて思いながら、空になったカップをゴミ箱に入れて私は再び自転車にまたがった。

さあ、次は買い物だ。

日向に自転車を止めて、中に入れば真っ赤な苺が真っ先に目に入った。誘惑にかられながらも、カゴを持ってその横を通り過ぎる。
作るものはもう決まっている。
昨日小説の中で食べているシーンを見かけて、思わず食べたくなってしまったピザだ。
パプリカを手に取って慎重に吟味しながら、形のよさそうなものをカゴへと投げる。
あとはスイートバジルとイタリアンパセリ。やっぱりこれは生のものがいいな。なんて考えながら次々とカゴに入れていく。
そして真っ赤なトマト。次に乳製品のコーナーに向かって、モッツァレラチーズを手に取る。
いくつかあるうちの二種類を目にとめる。
モッツァレラは、まんまるのあの状態が好きだ。けれどピザ用の薄いものも売っているし、どうしようかなんて考えて、

結局、二つともカゴに放り込んだ。
仕方ない、ひとつはカプレーゼにしよう。そんな風に考えて、会計を済ます。

家に帰って早速生地を作りにかかった。
パリパリのクリスピーも嫌いじゃないけど、今日はもっちりした生地がいい。
強力粉と薄力粉、牛乳とドライイーストを混ぜて丹念に練って、しばらく置く。

発酵させている間に、今度は近くの酒屋さんへ向かった。
ピザはイタリアンだから、やっぱり赤ワインが一番合いそうだ。
けれど甘めのカクテルなんかも飲みたい気分で、リキュールを取り扱っているか不安に思いながらも酒屋さんへと向かう。
少し小洒落た趣ながらも、落ち着きのある酒屋。
看板には大辛口純米や大吟醸の文字。良いものが揃えられているが、滅多に敷居をまたぐことはない店だった。
お目当てのものは、『ディサローノ アマレット』というリキュール。
有名どころだと、ゴットファザーなんかのカクテルに使われているものだ。
私が飲みたいのは、イタリアン・アイスティーやコットンフラワーなんかだが。
とにかく、目当てのものは入り口をすぐ入ったところにあった。大分古いもののようで、少しほこり被っている。
店員のおばさんに声をかけると
「ああ、それねぇ。古いから、いくらだか分からないの。お父さん帰ってくる頃に、また来てくれないかしら」
困ったようにそう返された。それなら仕方無いと、再び家へとって返す。

今度はソース作りだ。
作るソースは二種類。一つはマヨネーズと醤油と七味を混ぜたもの。
もう一つはトマトソース。
オリーブ油とニンニクを鍋で温め、香りが立ってきた所にみじん切りにした玉ねぎを投入する。
白ワインやホールトマト等も入れて丹念に混ぜ合わせ、味付けの確認をして、火からおろす。

発酵した生地を薄く伸ばせば、段々とピザの形になってくる。
その上に作ったばかりのトマトソースを乗せ、ベーコンと、薄く切ったトマト、モッツァレラチーズを乗せてオーブンに入れる。
時計を確認して、再び酒屋へと向かう。
戻ってきた店主から、目当てだったリキュールを買って
外へ出るとぽっかりとほの暗く蒼い空に浮かぶ月。
家につくと、香ばしい香りが部屋に漂っていた。

お気に入りのジャズを流して、夕飯の準備を整える。
買ってきたばかりのお酒をグラスに注いで
今日一日を終わりにする。
DSC_0602-1.jpg


劇的の無い小説。
一日の流れを書いた日記。
煩雑な自分史。





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Last updated  February 25, 2013 11:03:06 PM
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⊂(*´・ω・`*)⊃  
め-ぷりんο さん
ゅかりぃん⊂(*´・ω・`*)⊃

め-ぷりんοきたょぉ⊂(*´・ω・`*)⊃


ゅかりん

ほんとのにちじょぉ

しょぉせつにしてるねぇ⊂(*´・ω・`*)⊃

め-ぷりんοさぃしょしょぉせつかなぁoo|・ω・`)⊃て

|・ω・`)⊃こしょぉりょぉすみてたらほんとのにちじょぉぽくて

さぃごにぴざでてきてゎぁ~⊂(*´・ω・`*)⊃なたょぉ⊂(*´・ω・`*)⊃


め-ぷりんο

ほんとのにちじょぉのにっき

しょぉせつにしてるこはぢめてみたから

ゅかりんぁたらちぃなぁてぉもったょぉ|・ω・`*)⊃◎


め-ぷりんο

4ねんまぇの12がつ28にちに

ぷりんせぃからめ~ちゃんοのまねして

らくてんぶろぐにぷりんにっきつくったんだけど

ぁのころみたぃにみんならくてんにもぷりんにっきにもこなくて

しょんぼりoo⊂(´・ω・。`)⊃ooさみちぃきもちなてるんだけど

め-ちゃんοもめ-ぷりんοもぁのころみたぃにみんなとぉはなしできるょぉに

|・ω・`)⊃"ちょぴちょぴがんばるからゅかりんこれからもょろちくねぇ|・ω・`*)⊃◎



ぢゃぁまたねぇω
(´・ω・’っ)ぱたぱたοοο


(March 11, 2013 04:56:56 AM)

>めーぷりん  
うん、
今回は、日記らしい感じに書こうと思って
日常書いてみたよ♪

私も段々忙しくなっちゃって
中々日記あっぷできなかったりだけど
頑張って続けてこうと思ってるから
よろしくねぇ(*・∀・*)
(March 16, 2013 10:07:00 PM)

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