アオイネイロ

September 27, 2013
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カテゴリ: 小説
誰かが言っていたんだ、
海と空は繋がっていると



コポ……コポリ、

泡がふわりと、目の前を通り過ぎて浮かんでいく。

コポリ……コポ、コポ……

いくつもいくつも浮かんでいく泡は、銀色の光を纏ってゆっくりと浮上する。
目を閉じれば、ふわりと体が浮かんで、まるで泡と一緒になったような錯覚にさえ陥る。

――まだ、もうちょっと下まで

そう思いながらゆっくりと体を動かそうとした時だった。

そうして下から現れたのは、泡を伴ったひとつの影。
浮いてきたのは、友人だった。
彼女は自分の手首を指先で叩いてみせて、そして上を指差す。

残念、時間切れだ。
彼女の言葉に指で丸を作って返すと、私は上へと向かう。
彼女と共に、泡と共に、ゆっくりと浮上する。
私の息と、泡の音が混ざり合って、しんと静まり返った世界に溶けて消えていく。

やがてザア、という音と共に光が溢れかえってきらきらと輝き出す。
白い泡と、波と、光が混ざり合って、そうして私はそこから顔を出した。
途端に波のザザア、という音がやけに大きく耳に響く。
隣で友人が同じように顔を出して、ぷはっと大きく息をついた。



「…………」
「………、かえろっか」

隣で呟くように言った友人の言葉にうん、と頷き返して、私達はばしゃばしゃと水を揺らしながら、波に揺られながら岸辺へと向かったのだった。






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Last updated  September 27, 2013 09:31:52 PM
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