HAVE A NICE DAY
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『博士の愛した数式』 小川洋子著 登場人物は、数学博士(64歳)と家政婦(28歳)、家政婦の子供(男・10歳)の3人。博士は 事故に遭い80分しか記憶を維持することができなくなったという。記憶がすぐになくなってしまう人との間に 心のふれあいはとても難しいと思える。毎朝 会うたびに初対面なのだ。メモを見ながらの会話。なのにほのぼのとした雰囲気が漂っているのは 博士がいじわるでも気難しくもない穏やかな性格の人だからで、浮世離れしているせい。数字にしか興味を示さない博士だが 男の子を「ルート」と呼び、あふれんばかりの愛情を注ぎ、ルートの方は博士に友情を抱く。この出だしで連想したのは 映画「メメント」と「ビューティフル・ライフ」どちらも狂気と失望の連続、壮絶な人生を描いているが。。。。。この物語の話題は 数学と阪神タイガースが中心。かなりマニアックである。例えば、博士の言葉はこんな風、「見てご覧。この素晴らしい一続きの数字の連なりを。220の約数の和は284。284の約数の和は220。友愛数だ。・・・(中略)・・・神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字なんだ。美しいと思わないかい? 君の誕生日と、僕の手首に刻まれた数字が、これほど見事なチェーンでつながり合っているなんて」「この世で博士が最も愛したのは 素数だった。」1と自分自身でしか割りきれない数。一見頑固者風の数字、素数。素数といえば、「CUBE」という頭を抱えたくなるような恐い映画があった。博士は「数学の女王」と呼ばれる整数の分野を研究している。完全数(6、28、496、8128・・・)、不足数、過剰数、双子素数(17・19、41・43)巨大素数、三角数、メルセンヌ素数、虚数(i)、対数(log) を博士は語る。彼は数学が表現する目に見えない「永遠の真実」の形を信じ、愛した。この世でもっとも美しい公式の一つとして挙げられているオイラーの公式。 e(iπ)+ 1 = 0 ( πとiを掛け合わせた数で eを累乗し、1を足すと0になる。)数学は苦手なbjkeikoだけど、この話では整数が中心でわかり易いし 面白い。読み流すとまるでお話にならない という訳でもない。阪神タイガースの話も読み飛ばしても たいした影響なし(と思われる)。大事な部分は 「江夏の背番号28は完全数である。」 くらいかな?まるで無味乾燥な数学の話が随所に出てくるが、印象としてはメルヘン。数学というものに宇宙の秘密が潜んで まるで文学の世界のように美しく愛すべき存在であるかのように感じさせられる。のちに ルートは博士が死ぬまで交流を続けすくすくと育って、大学まで野球を続けたうえ、中学の数学教師になった。ねっ、完璧なメルヘンでしょ!どんなに親密な交流があっても 出会いの次には別れがある。博士の記憶は80分だが、一般人だって70~80年の人生でどれだけの記憶が残るのだろうか。刹那の連続だ。永遠なんて 言葉の上だけのこと。。さわやかで温かい話だけど、どこかしら もの悲しい読後感だった。◇データ 発行所 : 新潮社 発行日 : 2003.8.30. 定 価 : 1500円ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<今日の読書>世にも珍妙な物語/清水義範<今日の音楽>JOHN LENNON / ROCK 'N' ROLLWITH THE BEATLES
2004.11.04
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