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不思議なことに登場人物の会話の中にしか桐島君は出てこない。
タイトル名なのに彼は話のネタなのだ。
桐島君を取り巻く人物が別に桐島君を語るという訳でもなく
話の中にサラッと出てくるだけ。
特に桐島君と親しい訳でもない人物が一つの章として構成されている
高校が舞台になっている不思議な小説だ。
この本が私の心に残っているのは何故かというと
その中の一つの章の女子高生の境遇だ。
その子の名前は忘れた。
桐島君とのつながりも忘れた。
だが、境遇が強烈だった。
その子は父と二人暮らしだったが数年前に数歳(確か2つ位)年上の娘が
いる女性と父が再婚。
義母とも義姉とも仲良く幸せに暮らしていたが、姉が大学受験の朝、
試験会場まで車で送迎した父は姉とともに事故死。
その時から義母の記憶は途絶えてしまった。
義母は自分を義姉と思い込み、自分の存在は全く義母の頭の中から消えてしまった。
決して義母に自分の存在を主張せず、一生懸命義姉を演じるその子のいじらしさと
深い悲しみが心に染みた。
木綿のようにサラッとした小説の中にに不思議なエッセンスを感じた。
東野圭吾にはまっている夫 2010年03月12日 コメント(3)
大丈夫!うまくいくから 2009年07月24日
あなたも私もグロテスク 2008年06月03日 コメント(2)