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息をきらして、追っ手から逃げ延びた俺とサヤカは、メトロポリタンオペラホール近くの広場の噴水の前にいた。
ハァハァ言いながら、サヤカはまた猫のお面をかぶった。
「ブンくん わたしはわたしの星をつかまなきゃ」
「うん そうだよね」
「ブンくんにもブンくんの星がきっとある。だからそれをつかまなきゃ」
「あるのかな。こんな俺につかめる星があるのかな」
「あるよ。きっとある。 だからね…
」
言葉を中座して、サヤカは猫のお面をはずした。その大きな瞳からは涙があふれそうになっていた。
俺は何を言われるか、その時すでにわかっていたような気がする。
「だから、ここでお別れしよう」
そしてサヤカは、顔だけ俺のほうに近づけて、俺の唇と自分の唇をスライドさせるようにした。
その瞬間、ずっと静かだった噴水は 、ズアアアアアっと
噴出し、あらゆるカクテルライトが俺たち二人に当たった。
それはまるでハイクオリティーな舞台のようだった。
広場にいたいろんな国の人たちは噴水の音に反応して、僕らをみて、そして拍手した。
いろんな肌の色をしたいろんな年齢の人たちがみんな拍手した。
ブラボーとか 指笛の音とか 中にはsuck!(ちくしょ~)なんて声も聞こえて
俺はまるで舞台の主役になったみたいだった。
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俺がNYに渡った20の時、それほど強い信念も当てもあったわけでもない。むしろ何をやってもうまくいかない自分に嫌気がさしていた。
友人たちにはさも自分はビックになるんだなんて事を吹聴し、そのあげく現実には何も動いていない。
なんだかふわふわした夢みたいなものを語るわりに、具体的なビジョンを何ももっていない。かといって何かに向かって死ぬほど努力していたわけでもない。
そのギャップの大きさに、押しつぶされそうになっていたのがその頃。あげくの果てには
「ひょっとしたら、自分は誰にも求められてないのではないだろうか 世の中に必要じゃない人間かもしれない。」
こんな闇に落ち込み。そして、もう死にたいと毎日思うようになっていた。
なんとかしなきゃという気持ちもまだ残っていた。
だから、日本を脱出すればなんとかなるとか漠然とは思っていた。
もしかしたら、東京に夢見る地方の人もそうなのかなとは思う。東京育ちの俺にはそれがNYだっただけの話かもしれない。
何かを求めて、その何かもわからないまま、とりあえずこの都市にやってきた。
これだけの量の人種を飲み込む、人の創りしかりそめのエデン。
あらゆる夢を実現できると言われている世界最大の都市。
だけどそれはとんでもない思い違いだった。そこは世界でもっとも厳しく、そしてもっとも絶望的な街だった。
俺にとっての摩天楼は夢も希望も飲み込んでしまう巨大な魔獣だったんだ。
いきなり始まってすまんすw 今回は超ローペースでよろしくっすw だいたい1年後くらいに完結予定でw
んと、いちおうここまではノンフィクションっすね。ちょっとね。記憶がさだかじゃなさすぎて、フィクションがまざったらごめんなさいっすw
ただこのシーンだけは俺の生涯でも忘れられないキスなので、よく覚えているっすw 偶然が味方したんだけど、すごいかっこいい体験だったなと今でも思うっすよ。
俺に20年以上も長い間かけられた呪いのような体験。同じ日に生まれた18人の彼女シリーズのたぶん最終シリーズっすw
”5番目の彼女 摩天楼のサヤカ” いや~今回は完結させる自信がないw 記憶がたどたどしいw
もっと最近の話ならそれもないんだけど、最近になるにつれて、リアルな関係者や本人に怒られるのは目に見えているのでw
ま~人の恋愛話なんて、つまらんとも思うので、そうゆう時はスルーよろしくっすw
5番目の彼女 摩天楼のサヤカ序章 2006年01月18日 コメント(28)