一般に 「ユーザビリティ」 と言えば、使いやすさや、わかりやすさといったことを意味していることもあって、 身近なものでは、家電製品やウェブページの操作性やデザインなどに対して使われることが多いのではないかと思います。
それに対して、「本のユーザビリティ」 といった話は、これまでほとんどされたことがなかったように思います。 本のカタチは、 扉・序文・目次・本文・後書き・索引・奥付といった中身 (内容) をカバーと表紙で包み込んだシンプルなものであり、「それを手に持って、開いて読む」 ことになるわけですが、あえてユーザビリティを評価するとすれば、目次や索引のわかりやすさ、本文のレイアウト (これらはエディトリアル・デザインにも属するものだと思いますが)、 紐のしおりの有無などといったことになるのでしょうか。
前に記したように、 電子書籍の登場によって紙の本が消滅してしまうということではなく、 紙の本と電子書籍は読者の好みやその目的に応じて使い分けられ、共存していくことになると思っています。 でも、今後、ユーザビリティの優れた電子書籍端末が次々と登場してくることを考えると、これまではおそらくほとんど考えられてこなかった紙の本のユーザビリティについて、考えてみたい気もします。
もちろん、紙の本は今のカタチで十分と思っている方も多いと思いますし(それ以前に、本のカタチについて考えたことがある人がほとんどいないかもしれませんが)、本は中身 (内容) が一番に大切でしょう、ということもあると思います。 でも、 そうしたことを踏まえた上で、 もしかしたら、 まだ私たちが思いもしないような、読書することが楽しく、そして心地良くなるような、全く新しい (そして、ユーザビリティにも優れた) 斬新なカタチの本があるかもしれません。
紙の本のカタチは、 時代を超えて、 今に至っています。 でも、 その当たり前と思っているカタチを一度リセットし、もう一度、一から考えてみたらどうなるでしょうか。それでもやっぱり、今のカタチに行き着くのか、それとも、何か思いもしないようなカタチが生み出されるのか・・・。
そんなことをちょっと考え始めただけでも、紙の本にも、まだまだいろいろな可能性が潜んでいるのではないかなぁと、紙の本が大好きな私は思ってしまいます。
新しい取り組みに向けて 2011.07.10 コメント(1)
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何事もチャンスを大切に 2011.06.12