そんなこともあって、これまでは、編集者の名前が公になる機会というのもあまりなかったように思います。 (これは今でも見られることですが、 著者のご好意で、 本の序文や後書きに、その本の担当編集者の名前が記されるということはありました。)
でも、これからの編集者は黒子としての存在だけではいけないように思っています。 もちろん、これは 「本の編集よりも、自分を売り込むことに注力しよう」 ということではなく、いろいろなメディアを使って自ら情報発信する、情報を編集できる力が求められる、ということです。
仕事として編集者が自ら情報発信するとすれば、これまでは宣伝部や営業部が中心となって行なっていた、新刊情報や書店で開催する各種のフェア・サイン会などのイベント情報がすぐに浮かぶわけですが、それ以外にも、今進行中の本の舞台裏みたいなものを紹介するというのも、読者の期待感を高めることに繋がっていくように思います。
仕事を離れてとなれば (とは言うものの、常に仕事のことが頭から離れないのですが) 、趣味の領域に始まり、それこそいろいろなことが考えられるわけですが、自ら情報発信をしていると、情報に対する感度が高まると同時に、不思議と情報が集まってくるようにもなるものです。 また、 (これは多くの方がすでに経験していると思いますが) 仕事の延長線上では決して出会うことはなかった人たちとの出会いがあったり、そこから何か面白いコラボレーションが生まれて、仕事にもフィードバックが起こるということもあります。
以前にも同じようなことを記したことがあったと思いますが、これからの編集者は、本や電子書籍の編集という狭い範囲の編集にとらわれずに、多様なメディアを上手に使いこなし、アウトプット先のメディアに合わせて情報を的確かつ柔軟に編集できる力が求められてくるでしょう。
そうした意味では、多様なメディアに囲まれて育ってきた、これから編集者を目指す若い人たちには、情報発信力と情報編集力をぜひ養ってもらいたいと思いますし、私も含め、現役の編集者の方々も、若い人たちに負けないように頑張っていかなくてはいけないと思います。
新しい取り組みに向けて 2011.07.10 コメント(1)
紙の書籍と電子書籍の同時発売のこと 2011.06.25
何事もチャンスを大切に 2011.06.12