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2011.02.26
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カテゴリ: Editor's Life




 私が勤める出版社では、 最後まで担当編集者が編集作業を進めていきますが、 担当者が三校のチェックを終えて印刷所に責了で渡す直前の段階で、上司が担当編集者のゲラ(校正刷のこと)を “一読者として客観的に読む” ということをしています。全く同じではないにしても、 担当編集者以外の第三者が一度目を通す作業は、他の出版社でも行なっているのではないかと思います。

 この、第三者が読むということは、本作りにおいて、とても大切な役割をしています。 というのは、原稿やゲラには著者と担当編集者の2人で何度も慎重に目を通しているとはいえ、 やはり人は完璧ではないですから、何等からのミスや見落としをするからです。

 これはどうしようもないことなのですが、何度も同じものを読んでいると、頭の中には正しいと見える文章が擦り込まれてしまい、ゲラには確かに誤植や文章的に変な箇所があっても、全く気がつかないことがあるからです。このエラーを見つけ出すために、第三者の目がとても大切なのです。

 実際、 他の人が目を通すことで、 「どうしてこんな誤植に気がつかなかったのだろう」 と、著者と担当編集者が驚くようなミスが結構見つかります。 そのため、このプロセスは、たとえ経験を積んだ編集者であっても、編集者同士で互いにゲラを交換し合って読むようにして行なっています。 (経験を積んだ編集者ほど、このプロセスの大切さがわかっているからです。)

 しかし、 編集者になって数年が経って上司や先輩からの細かい指導もなくなり、 漸く独り立ちをしたばかりの頃というのは、最初から最後まで著者と2人だけで進めていき、「この本は他の人の力を借りずに自分の力で最後までやり遂げたい」 という思いが強く、他の人のチェックが入ることにとても抵抗があるものです。 いまは部下や後輩のゲラをチェックする立場ではありますが、私も独り立ちをした頃はそういう思いを持っていたので、その気持ちはよくわかります。

 確かに、第三者のチェックは、担当編集者には 「なぜチェックするの?」 という気持ちを起こさせるものとなるのですが、 でも、特に独り立ちしたばかりの編集者には、 このプロセスの大切さ、 重要性をわかってもらいたいと思います。 

 なんだか、自分の部下や後輩へのメッセージのようになってしまいました・・・。






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Last updated  2011.02.27 09:39:50
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