ヴェネツィアの獅子たち

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Reiko Fujiwara Marini

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カテゴリ: 街について

 15世紀半ば頃、ドゥカート金貨はゼッキーノ金貨と呼ばれるようになり、貨幣としての信用と名声はもちろん、「ゼッキーノ」という言葉は、「純金」の同義語にもなったのでした。
 またヴェネツィアは、ヨーロッパの中で「国債」特に、「長期国債」を考えついた最初の国であると言われています。「モンテヴェッキオ」と呼ばれる、長期国債の利子は5%で、ヴェネツィア人だけでなく、外国の王族や貴族の間でも、この長期国債は人気がありました。何よりも価値が安定していたため、確実な投資や貯金の対象になっていったのです。
 こうして、度重なるジェノヴァやトルコとの戦争による、大きな出費にもかかわらず、ヴェネツィア共和国は他のどこの国よりも、安定した財政運営を行っていました。

 貨幣や国債の発行などに関する、その財政と政治運営にヴェネツィアの本当の「ヴェネツィアらしさ」が集約されていると言えます。つまり、最新の流行溢れるきらびやかな都、誇り高く法王にも「ノー」という大胆不敵な国は、実は地道な努力と知恵によって築き上げられた「堅実」な国であったことが、「ゼッキーノ金貨」ひとつにも体現されていると思うのです。
 それは水に浮かんでいるような、あぶなげな印象のこの街が、水面下の何千万本の「杭」で支えられている、堅牢な土台を持っていることにも似ているでしょう。
(写真はゼッキーノ金貨。左側は聖マルコにひざまづく総督、右側はイエス・キリスト)





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Last updated  2008/01/24 02:26:17 AM
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