フリーページ

2004年10月31日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
ウテメリン、マグネシウム、抗生剤、増血剤…さまざまな点滴を打たれたが、なかでもウテメリンと
マグネシウムが辛かった。
副作用として、心拍数があがるのはわかっていたが、点滴ペースは上限の限界値くらいの高さ。
少しでも体を休めようと思っても、苦しくて眠れない。

お腹の子に栄養を送って、少しでも育ってもらおうと思っても、食欲がない。
無理に食べたら、一旦は胃が受け付けてくれたのに、忘れたころに気持ち悪くなり戻してしまった。

氷まくらと、額のタオルを何度も取り替えてもらい、一夜が明ける。
入院初日の夜が、一番頻繁にナースコールして、お世話になった気がする。

なんとかうつらうつらすることはできたが、寝た気がしないうちに朝が来た。

体が少し楽になり、気も軽くなったせいか、この日は一日中、安定していた。

このままいけば、26週までもつかもしれない、安静は必要にしても妊娠のまま退院も夢ではない、
と手応えを感じる。
希望を胸に、その夜は比較的ぐっすり眠れた。

入院3日目、前日よりは体が辛かったが、慣れもある上、初日よりはぜんぜん楽だったので、
これくらいのブレは許容範囲内だろうと勝手に思い、気楽に過ごした。

入院4日目。2日目ほどいい感じではなく、でも3日目よりはいい…まさに2歩進んで1歩下がっている
状態だ、と思っていた。
朝の診察が終わり、しばらくしてデータの分析が済んだらしく、例の女医さんが来た。
なんでこんなに難しい表情をしているんだろう、ただでさえ近寄りがたい雰囲気なのに、
余計キツそうに見える…と余計なお世話を内心思う。


抗生剤の投与にもかかわらず、感染の値を示す数値が下がるどころか上がっている―――――。
もはや、妊娠の継続は母子ともに危険だった。

延ばし延ばしにしていた出産方法を、もはや決めなくてはならない。
いや、調子の一番良かった2日めに、一応の結論は出していた。
24週なら母体の保護優先で経膣分娩で、25週までもったなら子供が生き延びる方に賭けて

でも、それは少なくとも26週まではもつだろうという予想の上で出したとりあえずの判断だった。

3日しか引き延ばせなかった―――――。
苦しんだことが無駄だったとは思わないけれど、希望に変えるにはあまりにも短い期間。
心の中が、絶望の色で塗りつくされていく。

お腹の子の死が確定ならば、そして見捨てることができるならば、どんなに楽な気持ちに
なれることか、とさえ思った。
考えてはいけないことも考えた。どうせ生きれない子ならば、次こそはきちんと自然分娩
できるよう、傷のない子宮を選んだ方がいいのではないか。
仮に生き延びても、障害を負った子を愛せるだろうか。

反面、文字通り自分の身を削ってでも、生かしてあげたかった。
既に胎動を感じて2ヶ月め、まだまだ小さくてもその生命を体で感じていたから。
それに…彼女にはなんの落ち度もなかった。

自分がどうしたいのかがわからない。混乱。
何を思ったのか、口から出た言葉は「もう一度、小児科の先生の話を聞きたい」。

聞いてどうにかなるものではない。改めて質問したいことも特になければ、
同じ話を聞いたところで、結論の判断材料にもならない。
それでも、先生は来てくれた。

再度聞く話。
無事に育った実績も、週数が低いほどない。
本当にどうなるかわからない、なんとも言えない微妙な週数であることを再認識。
逃げの姿勢とも取れなくもないけれど、希望を持たせず、かと言って絶望に陥れない
その話し振りを誠実に感じた。

「どの道を選ばれても、我々は最善を尽くすだけです」
縁のない医者が、頑張ってくれようとしているのに、私がこの子の事を諦めては
駄目なんだ。気持ちを立て直した。

そして何かの拍子におっしゃった言葉。
「少なくとも帝王切開の場合、生まれてすぐに死亡ということはないです」
小児科医も、産婦人科医も、経膣分娩だと死亡しやすくて帝王切開だと助かる、という
ふうに思いこまないよう、言葉を工夫していたけれど、それでもこの情報にすがって
みようと思った。

「切ってください」
手術に向けて皆が動き出してくれる。
そして、私のウテメリンとMGのペースは落とされた。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年11月15日 16時24分36秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

sakoya-

sakoya-

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

sakoya- @ Re:バレテル(11/15) みかげさん 一応、ありがと。 でもこ…
みかげ@ バレテル オメデトォ チイサナ チイサナ アカチャン ダイジナ ダ…
sakoya- @ お、お客人第一号! 百鬼~蒐~さん 初めまして!ご来訪、…
百鬼~蒐~ @ イラストレーター平凡・陳淑芬が描く少女や女性 彼らが描く女性たちの肌の透明感・・ す…

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: