こんな事を言うと笑われそうだけど、
街はクリスマス一色。
毎年、この時期になると思い出す。
過去に一度だけ、本物のサンタクロースが私の前に現れたことを。
バイクに乗ったサンタクロース。チープでベタな設定だが―
当時つき合っていた彼氏が、深夜の高速道路を飛ばしてプレゼントを届けに来てくれたことがあった。
今から9年前のことだ。
当時、私は17歳で、ケンジとつき合い始めて2ヶ月程経った頃だった。
「クリスマス、どうする?」
という彼の質問に、私は言った。
感化されているみたいで嫌だから一緒には過ごしたくない、と。
この一言が原因で私達はクリスマス前日にケンカをした。
今思えば、何て可愛くない事を言ったのだろうと思う。
だか、当時の私としては『クリスマスを彼氏と過ごす』という事が恥ずかしくて仕方なかったのだ。
冬季休業(冬休み)初日、その日はクリスマス当日だった。
ケンカした事を後悔しながら、重たい頭を抱えて自室から降りてきた私に母が近付いてきた。
母の様子があきらかにおかしかった。ニヤニヤと含み笑いをしていた。
「凄いよ!朝起きたら玄関先にアンタ宛にプレゼントが届いとったよ」
一瞬言われている意味が分からなかった。
お姉ちゃんには本物のサンタが来た!と妹達からからかわれるも、さっぱり意味が分からない。
すると母から綺麗にラッピングされた箱を手渡された。
『郁へ』
箱の中身は、マフラー。
すぐさまケンジに電話した。昨日はゴメンネ、と
街はクリスマス一色。
行き交う楽しげなカップルを眺めながら、今年もあの出来事を思い出した。
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