今も昔も体の何処か一部の具合が悪くなると、
それがキッカケとなって体中に漲っていたはずのヤル気の全てが奪われていく様な錯覚に陥る。
『ガッコウニコイ!』
ヤツは私のポケベルにそう送ってきた。
今も実家の押入れの奥にあるだろうあのポケベルにはまだ当時のメッセージが残っているのだろうか?
あのメールを受け取った時点で、学校に行かない日々が既に一週間近く続いていた。
私はといえば、友達やヤツからのメールを完全に無視し当所なく彷徨った。
行き場のない悲しみと怒りを抱えたまま―
『ガッコウニコイ!』
三度目のメールを受け取った時だっただろうか、私は仕方なくヤツに返事をした。
イキタクナイの一言だけを。
それに対するヤツの返事がどんな内容だったかは忘れてしまった。
だがその返事を見て私は学校に行くことを決意したのだけは確かだった。
久しぶりの学校。
嬉しそうに話しかけてくれる友達に不思議な安堵感を覚えた。
「やっと来たな」
乗り換えの駅のホームで待ち構えていたヤツに驚いた。
私はかなり不自然であったであろう笑顔を浮かべながらヤツに近付いた。
「おはよう」
再登校初日は、ぎこちない会話を交わしながら友達やヤツから守られるようにして学校に通った。
学校が学校だっただけに同性より異性の方が遥かに多い空間で、何処か異性を避ける態度を取った。
異性は皆自分を傷付ける存在に思えて怖く感じるようになっていたから―
教室で、廊下で極端に少ない同性とじゃれ合うことはあっても、
心配そうに話しかけてくるヤツに対しては無神経なくらい素っ気なかった。
何故なら私から見れば、
“どんなに心配そうな表情を浮かべながら近付いてくる”
ヤツも所詮は異性で私の中では自分を傷付けるであろう存在の一人だったからだ。
だけど、そんな私の頑なな態度にもめげずに時間が許す限り傍に居てくれた。
数ヵ月後、夕日を浴びて振り返ったと同時にポカンと口を開けた私に言ったよね。
「 真面目になるから、俺
」
女に対してだらしがないと思っていたヤツからの宣言。
あの日の出来事は、今では私の中で『忘れられない思い出』として残っている。
ねぇ、ケンジ…―
もし、あの時あの言葉を信じてみようと思わなかったら、私達には違う未来があったのかな?
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