野末陳平通信  (メール:nozuchin87@yahoo.co.jp)

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2020/03/06
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老化が急速に進んでいます。テレビのクイズ番組や、芸人たちのボタン早押しの即答競争なども、全然答えられなくて、


漢詩百篇の暗記も思うようにいかず、寝る前の短い時間、暗記をくり返してみても、スラスラ続かず、起きて確認するのも面倒なので、何となくそもまま眠ってしまいます。
今のところ、漢詩十篇は暗記しました。中でも、ぼくが好きな詩は、唐の杜牧の
「懐いを遣る(おもいをやる)」
という男向きのものですが、
「江湖に落魄して酒を載せて行く
 楚腰纎細掌中に軽し
 十年一覚揚州の夢
 あまし得たり青楼薄倖の名」
これは中国江蘇省の揚州の地を背景に、地方役人だった杜牧がおのれの甘美な青春を追憶し、それと共に後悔の気持ちも尽きない、そんな思いをこめた七言絶句ですが、
「十年一覚揚州の夢」
この一句が好きで、ぼくは揚州に何度か行き、運河も渡りました。
楚腰というのは、細い腰の美女を抱きながら酒をのむ、という男好みの風景で、その昔、楚の国のオンナは美女ばかりだった、という伝説(?)を踏まえています。
「要するに、奔放な青春を酒と女で楽しんだ追憶の詩か」
といわれればそれまでですが、チンペイ君は自らの若き日と重ねあわせて複雑な思いにとらわれるのです。
「ああ、何とバカなことばかりしてきた人生80年か。上品さを欠く恥の多い青春だった。後悔だけが残る。今からでもやり直したくなる一生だった」
もちろん、やり直しなどきかないのが人生ですが、恵まれた老後を送りながら、ぼくは何とも身勝手で無反省な追憶で生きています。だからこそ、杜牧の詩が心にしみます。
「十年一覚、揚州の夢」ぼくだけが自己陶酔してるのかも…。
話を漢詩百篇の暗記に戻すと、88歳になると、記憶力が減退してもう何かを覚えるなんてことは無理かもしれません。ぼくは何の特技も趣味もなく、ただ漫然と運を頼りに生きてきただけなので、ひたすら口惜しい限り。
手に職や技能をもつ人生であれば良かった、としみじみ思っています。





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Last updated  2020/03/06 08:49:28 AM


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