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2009.01.11
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カテゴリ: 映画/ヒューマン


「ちびまる子ちゃん」でおなじみのさくらももこさんのエッセイに、インド取材旅行についての記事があった。
『インドはおもしろいけど疲れますね。(中略)毎日がほんとうに疲れました。街がゴチャゴチャしてて人や車が多いでしょ。インド人のなかにいるだけで、あの混乱したパワーで疲れるんですよ。』とある。
どうやらインドの国民性に振り回されてしまったらしいさくらさんだが、中にはそんなインドにどっぷり浸かって身も心もガンジス川に内包されてしまいたいと言う人もいるのだ。
それだけに神秘的で、だけど混沌としたインドの刹那的な光景は“自分さがしの旅”にもって来いなのかもしれない。
今回観た「ダージリン急行」も、個性の強い兄弟3人が“心の旅”をするためにインド旅行に出発するというストーリーなのだ。

父の死後、1年間絶交していた兄弟3人が、長男フランシスの呼びかけでインド旅行に出かける。
それは、インド北西部を走るダージリン急行に乗って心の旅に出発するというものだった。
というのも、3人はそれぞれに問題を抱え、苦悩しており、“自分さがし”を必要としていたのだ。


“心の旅”と言うと、何か傷心旅行を連想しがちだがそうではなく、もっと漠然としていて捉えどころがなく、取り留めのない旅行だ。
自分を見つめ直し、自己を改善しようと試みるのかと思いきや、旅の目的そのものが希薄で行き当たりばったりというムードに包まれている。
仕切り屋の長男、ナイーブな次男、自由奔放の三男、この個性豊かな3兄弟がささいなことで口論をしたり、父の死を悼み、母との関係に悩み、プライベートで揉め事を抱えながらのドタバタ劇。
インド旅行で3人が見つけたもの・・・。
それは、あるがままの三人三様のあり方を受け入れたことであろうか。
誰を責めるわけでもなく、非難するわけでもなく。
インドの混沌の中ではそれこそが自然体であり、“死”を迎えるまでのひまつぶしの人生のようにも思えた。
笑いと、ほんのりスパイスの効いた人生哲学のような作品であった。

2007年(米)、2008年(日)公開
【監督】ウェス・アンダーソン
【出演】オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン


See you next time !(^^)





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最終更新日  2009.01.11 06:13:31
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