幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Apr 16, 2008
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  イカ墨のリゾットです。イカ墨料理の本場は、イタリアやスペイン。この料理にもスペイン産のイカ墨(大きな墨烏賊の墨袋だけを集めて冷凍した物)を使っている。

 イカ墨ソースの作り方はいろいろあるのだが、墨の旨味を最大限に生かしながら墨のクセを上手に押さえ込むかが、肝要なところだ。

 私のイカ墨ソースは、このようにまーーっ黒なのだが、こう見えてほとんどトマトソースなのだ。

 いわゆる、ソースプロヴァンサル。ニンニク、オリーヴオイル、トマトだけで作るソースに重量比にして5パーセントほどのイカ墨を入れ、ミキサーにかけて漉して仕上げる。そこにパプリカをたっぷり加えてさらにイカ墨のクセを押さえ込む。

 マリネして下味をつけて温めたホタルイカとソテーした帆立貝柱を添えて、帆立にはボッタルガ(イタリアのサルディニア島産のカラスミの粉)をかけてある。

 カラスミというのは、魚卵の生ハムみたいなものですね。つまり、卵を塩漬けにして乾燥熟成するわけです。日本ではボラの卵巣で作る長崎産が有名ですが、元々は中国から入ってきたもののようだ。

 カラスミという名前も「唐の墨」(中国産の墨。毛筆で字を書くために硯でするあの墨ですね)にボラの卵巣の形が似ているところから来ているらしい。

 塩漬けの魚卵は、地中海沿岸諸国でもよく食されている。南フランスやイタリアの海沿いや、もちろんスペインでも作られているが、中でもイタリアのサルディニア島産が最高級品として有名だ。やはり一番はボラの卵巣で、そのほかにもマグロの卵巣や鯛やスズキなどでも作られている。

 姿のままの物は、スライスしてそのまま食べたり、軽くあぶってガーリックトーストに乗せたりサラダに散らしたりして食べる他、おろし金で卸して粉にしてパスタやリゾットに散らして食べると美味しい。

 やはり、手間と時間をかけて作るものだからかなり高価な珍味だ。キャビアほど高くないですけどね、、、。

 イカ墨リゾットに唐墨を添えるという墨つながりの料理ですね。別にしゃれではありませんが、、。最後の仕上げにサルディニア島産の香りのよいオリーヴ油をかけてある。

 イカ墨、トマトの酸味、ニンニクの旨味と香り、カラスミ、パルミジャーノチーズ、パプリカ、オリーヴ油、少しのバターなどの複雑な要素が絡み合ってアルデンテの米の食感を引き立てるという料理です。普段はあまりやりませんが、自慢のスペシャリテです。






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Last updated  Apr 16, 2008 08:43:17 AM
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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
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