嘲笑。



               さぁ構わずに嘲笑して頂戴。
               全く是が笑わずに居られませぅか。

               元の自分なんて最早解らないのですから。
               他人から必死で悟られぬ程度に殻に篭り
               気が付いたら此の有様なのだから。

               貴方を愛して居るのです。
               同時に貴方を殺したい程憎んで居るのです。
               とても大切に想って居るのです。
               だからこそ、もぅあたしには必要無いのです。

               どうかもぅ飛び立って下さい。
               あたしは是以上貴方を縛り付けたく無いのです。
               扉を開けてあげますから、どぅぞ逃げて下さい。

               どぅかもぅあたしを崇めないで下さい。
               其んな期待を向けられる程あたしは清廉では無いのです。
               あたしは貴方に汚れて欲しくは無いのです。
               是以上あたしに染まって欲しくは無いのです。

               さぁ構わずに嘲笑して頂戴。
               全く是が笑わずに居られませぅか。

               あたしは扉の鉤を捨ててしまったのですから。


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