コニコニにこにこ

コニコニにこにこ

産院到着(まだ余裕編)



その間、少しずつだが痛みが出てきた。
一瞬ずーんと響くが、すぐに消える程度。
出産の経験がない私にも、「この痛みでは
産まれないはず」とわかる。

夜の産院には先客がふたりいた。

時間帯の関係で、スタッフも少ないのか、
ロビーでは少し待たされた。

破水した初産婦はしばらく後回しにしても
それどころじゃない状況が別の部屋では
起きているのか?
でも、結構痛くなってきたけど・・・。

ようやく診察。
「じゃあまぁ、一応このまま入院しましょうか。」
あんまり派手な破水ではなかったからなのか、
私が結構まだ普通に会話に応じる余裕ぶりを
見せていたからか、どっちでもいいけどね、
くらいの調子で当直の医者が言った。

23時30分。NST開始。
ボコボコ、胎児の心音が聞こえる。

この頃、痛みはだんだんと強まってきていた。
波がくると思わず目を閉じたくなるくらい。
それでも、人生でこれくらいの痛みは経験済み。

0時をまわり、日付けは3月20日へとかわる。

「こんばんは!安産教室です!」

小柄でやたら威勢のいいおばさん助産婦が入ってきた。
彼女の説明によると、いますでにLDRに入っている
経産婦が一人と、隣の部屋に子宮口が5cm開いた
やはりこちらも経産婦がいるという。

「あなたはいま1.5cm~2cmしか開いていないから、
 まだまだ産まれないわよ。24時間中には、くらいに
 思っていて。今のその痛みは、産まれる痛みじゃない。」

そうだろうとも。でも結構痛いぞ。
返事は頷くのが精いっぱいなくらい、痛くなっていた。
でも、まだっていうんだから、まだなんだろうなぁ・・・。
いいなぁ、隣の人は、5cmかぁ。しかも経産婦。

産院の両親学級で耳にした、「初産婦は1cm開くのに
だいたい1時間くらいかかります」の説明が頭をよぎる。

ということは、あと8~9時間くらい??
昼までには産まれるのかなぁ。あーそれにしても痛い。
とりあえず今すぐ産まれるわけではないということで、
母は家へと戻っていった。

このときすでに、息子誕生の瞬間まで残り2時間半。

そんなこと、まだ誰も知らない。









© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: