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tdo1976 @ Re:不思議だね♪(09/21) BIGFIELDさん >旧友との再会、いいねぇ♪…
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上海ドリーム @ Re:雑魚が虚業で巨魚を獲る(08/22) なかなか興味深い話しですね~。(笑) …
2005.09.21
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カテゴリ: 徒然なるままに
先週末は旧友とここ上海で再会した。

中学卒業後、お互い進路は別々の道を歩んできたが、折に触れて再会したり、電話で連絡を取り合ってきた仲だ。
今回、彼が出張で上海に来ることになり時間の都合をつけて久方ぶりの再会をこの地で果たすことができた。

中秋節の夜、妻と連れ立って旧友をホテルに迎えに行った後、久しぶりに訪れた台湾料理レストランは雑多な人で溢れかえっている。
僕らは4人掛けの席に座り、青島ビールで乾杯をする。
4年ぶりに会う彼は、彼のままだった。
4年分きっちり齢を重ね、29歳の男の顔を持った旧友が僕の目の前にいる。
それは僕にしてみたところで同じことなんだろう。


そしてどちらともなく、はにかみながら
「なんだか不思議だな」というような言葉を交わす。

確かに不思議だ。

14年前、小さな瀬戸内の田舎町の片隅で、毬栗頭でそれでも精一杯お洒落や流行やらを追いかけて好きな女子の話で胸いっぱいだった、あの二人の少年がこうして上海で再び会うことになろうとは。

僕は思うのだけれど、過去に確かに交叉した糸がまたいつの日か交じり合うそういう瞬間は、人間にとってささやかだけれど幸せな時間だと思う。

料理が運ばれてくる間、僕は彼に中国そして上海の印象を尋ねる。

彼は彼が感じた通りを言葉に乗せて答える。僕はなるほどという感嘆でもってそれを聞く。

そしてお互いの近況やら、地元の古い仲間(少なくとも僕にとっては)の話やらがその後を引き継いでいく。

僕の知らない、だけれど確かにかつてそこに暮らした郷里の話だった。
僕の知らない、かつてはよく知っていた仲間の話だった。

妻は僕の横で静かに、だけれど楽しそうに、そんな僕らの会話に聞き入っている。

彼は坦々面をすすり、僕はワンタンを食べる。妻は妻で辛揚鶏肉を頬張る。

そのようにしてささやかな中秋月の夜は更けていった。
おなかと心が美味しい料理と御酒と語らいで満たされたりなどして。

レストランを出ると、上海では珍しい晴天の空に14夜の月がぽっかりと浮かび上がっていた。
店の前には偽物タバコの行商が露店を広げていて、僕らを勧誘する。

「おーあるでー。ちょっと待っとけーよー」と僕は威勢良く答える。
僕は広げられた品物からマルボロを探し出して、交渉する。
大げさに僕らが「高い」と言って怒ったふりで立ち去ろうとすると、観念したように行商は僕らの言い値でタバコを投げ出す。
この地におけるありふれた光景だ。

そして月夜の道を僕ら3人は歩き始める。買ったタバコを吸い始めた彼は「なんだか味が違うのー。」と独り言を言っている。
そんな彼を見ながら僕と妻は目を合わせて、笑みを浮かべる。
やがて歩きながら限りなく真円に近い月を見上げると、僕はふと自分が今正しい方向に向かっているのだろうかと思う。

僕は正しい方向に歩いてきたのだろうか。
僕は間違った方向に生きてきやしなかっただろうか。

昼間の秋老虎はとっくに冷めて、風いささか肌寒かった。
僕はそのような奇妙な冷熱を胸に懐いて、妻と旧友とともに月夜の道を進むのだった。





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Last updated  2005.09.21 18:02:33


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